登ろうが落ちようが
登ろうが落ちようが
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ええ、毎度バカバカしいお話を。成り上がりというのは才覚がないとできないものでございます。だがなんでも知っていなければいけないかというとそんなことはない。これさえ知っていればいい、そういうものであればそれを上手く使えた者が成り上がっていくわけですな。例えば皆さん今も手に持っていらっしゃるかと思いますが、指。片手に五本両手に十本、足も合わせりゃ二十本。使えるようで使えない指がたくさんございます。これを上手に使えれば天下を取ったも同じ、日本一の大物になれるのでございます。もちろん考えないといけない、いつも何かを持って飛び回り、もしかするとつかまって登っていたかもしれない。それでもお偉方に気に入られれば、ご愛敬。こう呼んでもらえることでしょう。
「猿めが!」
草履一つで天下人に気に入られたその男は、後に国を治めて天下を取った。そして必要になったのは大量の棒。棒であればなんでもいいので一番たくさんあったいらない棒をかき集めた。刀というのは一本持っていれば鞘があるので二本になる優れもの、別に振り回すわけではないのだからこれを持っていればいい。農民は普段から鍬や鋤を持つのが日常であればこれは侍に持たせる。なあに、先っぽがどうなっているかなんて秀吉公に言わせれば大した問題ではありません。しかしせっかく刀を集めても適当に持たれては意味がない、ならばと今度は数を決めた。ここから何寸と言っておれば配下の者に思ったように棒を持たせることができる。これに詳しいのが太閤秀吉の大物たる由縁、全員が使わぬ刀を持つ時代がやってきた。はてさて、もちろん指というのは手の十本ではありません。足にも十本指がある。こちらにも非常に秀でていた秀吉公は、何かを踏んだとか踏ませたとか……あれま、そろそろお時間だ。次お会いするときは、なぜ河童は川を流れるかをお話しいたしたいと思います。それでは、ご機嫌よろしゅう。




