名探偵の父親
名探偵の父親
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ホテルで事件が起こった。どうやら空き巣、あるいは泥棒の類い。盗まれた金品は高額の物らしく、歴史価値も高い。警察がやってきて、我々は足止めされていた。身動きが取れず、仕事に行けない。私は聞いてみた。
「アーサー、君なら何かわかるんじゃないかい?」
バカを言わないでくれ、とアーサーはあきれた。私は高額のパイプも使わないし、弾痕だらけの部屋にも住んでいない。もちろんコカインなんてしたことがない。同じにしないでくれ、と言って黙り込んだ。そうか、それもそうだな。私はそうつぶやいて、警察の調査が終わるのを待った。
警察は手こずっていて、金庫の鍵なんて開けれるわけないのになんでなくなったのか、と騒いでいる。ホテルの宿泊客にも疑いの目が向いて、刑事が怒鳴りに来た。アーサーはしばらくその話を聞いて、刑事に言った。
「本当に入っていたんですか?」
入っていたと思っているだけなら無くてもおかしくないでしょう。入れていなかったのでは?刑事は目を丸くして飛んでいった。ほどなく泥棒は捕まり、私たちは仕事場に移動した。そのときに、私はアーサーに聞いたのだ。なぜわかったんだね?と。アーサーは当たり前に答えた。
「全体を見ることができれば、当たり前にわかるんだ」
簡単な推理だよ、と言い残したアーサーを、私は頼れる男だと思えた。




