二日目
またお会いしましたね。
ここは、裏路地にある秘密の語り場。
また一つ、異世界ものの話を聞いて行きませんか?
とっておきを用意してありますよ。
やあ、また会ったね。あの話の続きを聞きたいんだろう? さあ座って。
えーっと、どこからだったかな。あ、そうそう。「彼は伝説の魔術師として優遇を受けることになりました。」からだね。 よし、いくぞ。
彼は伝説の魔術師として優遇を受けることになりました。
しかし、特別扱いされて過ごす王宮は、何とも居心地の悪いもので、彼は王様に訴えました。
「このような生活は私には合いません故、私にも普通の魔術師として修行をさせてください」と。
王様は快く承諾し、彼の修行生活が始まりました。
伝説の魔術師といえどまだまだ素人、彼は周りの才能に圧倒されていってしまいました。
修行を重ねるうち、彼は一級魔術師の資格を取ることに成功しました。……え? それがどれだけ凄いか?
なあに、一級なんて下の下、魔術師の基本中の基本だ。彼はそんな一級を取るのに、普通より時間がかかってしまいました。
それを見ていた王様達は、もしや彼は本物の伝説ではないのかもしれないと思うようになりました。…伝説の魔術師にしては、実力も才能もなかったもので。
ある日、彼は王様から呼び出しを受けました。彼が本物の伝説かどうか確かめようというのです。
沢山の一流検定師が集まり、彼の力を分析しました。
するとどうでしょう! 彼が伝説というのは真っ赤なウソ。最初に彼を検定した者が、手柄ほしさに彼こそが伝説であると嘘をついたのだと言うのです。
落胆した王様と貴族達は、葵とその検定師を国から追放してしまいました。
彼はただ巻き込まれただけでした。たまたまあった超能力のせいで苦しめられ、死にたかったのに異世界転移してしまって。
彼はこれ以上にない不幸の星のもとに生まれていると言えるでしょう。
これは、私の知る限り一番不幸な男の物語。
…さあ、お楽しみいただけたかな? それなら良かった。
明日は違う話を用意するから、良ければまた聞きにきとくれよ。
また明日、お待ちしています。




