十三日目
あら、お久しぶりですね。
ここは、裏路地のとある語り場。
あの語り部が復帰したようですよ。一つ、お話を聞いていきませんか?
よお、来たか。その…悪かったな。俺の都合で話を先延ばしにしちまって。まあ座れよ。
今回の件でアンタに俺の事が色々バレたらしいな。あのオッサ…支配人がどこまで話したか知らねえが、とりあえず改めて自己紹介と、事件の全貌を話そうか。こんな奴の身の上なんぞつまらんかもしれねえが、一つ聞いていってくれよ。
改めまして、俺の名前は翔。暇な時のバイト感覚でここの語り部やってて、本業は闇社会のお掃除屋さん。ラノベを愛し、銃に愛された男。
年齢は内緒…のつもりだけど、まあ見れば分かるだろ。まだギリギリお兄さんだ。
就活真っ最中の時に戦争が始まって、気付いたら戦火で何もかも失ってた。…あれ?今ので年齢バレたくね?まあいいや。
家族も居なくなって絶望してた時に、あの支配人に声をかけられたんだ。語り部をやらないかってね。
どうせ行く当ても無かったし、もうどうにでもなれって感じであの怪しいオッサンについてったんだけど、語り部って案外楽しいもんだった。
語り部始めて半年ほど経った時、今の本業の上司が客としてここに来たんだ。
もう運命的な出会いってやつ?その時も半分ヤケだったから、これまたホイホイついてった。あ、アンタは真似したら駄目だそ。
それでまあ、俺に暗殺の才能があることが分かって、語り部は副業になった。暇な時にふらっと行くべ、みたいな。
俺はこう見えてもそれなりに人気な方でねぇ、語り部のほうでもグングン成長して、気付けば支配人を抜いてトップ語り部になってた。あ、でもアンタ平日にしか来ねえから分からんか。土日は人が押すな押すなとやってくるんだよ?
そんで、支配人は俺を妬んで、俺への嫌がらせが始まった。商売人なのに、馬鹿な話だよねえ。利益が出るならそれでいいじゃないの。
んで、その中の一つが今回の件ってわけ。本当はあのオッサンの気が済むまで…大体一週間くらい気絶したフリして、その後自力で脱出、オッサンを殺るって計画だったんだ。けど、アンタが助けに来てくれたから、より早く計画を遂行できた。感謝してるぜ。
…え?何も殺す必要無かったろって?
甘いな。あんなのを社会に放置しておいたらえらいことになるだろ。第二の被害者を出さないためにも、ああしたほうが良いって。
とまぁ、そんな感じだな。
あんまし自分のこと語らんもんで、いつもより下手くそだったかもしれないが、もし楽しんでくれたのなら良かった。…アンタ顔に出ねえから反応よく分かんねえんだよな。別に構わんけど。
ま、今日のお話はこれでおしまい!今日の話聞いて俺と距離置きたくなったらもう来んでも良いし、俺の素性なんて気にせんよって感じなら、また来てくれると嬉しいな。
それじゃあ、また。
では、また。




