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十一日目

あら、なんだかお久しぶりですね。

ここは、裏路地の語り場。

今日は支配人が居るようです。

やぁこんにちは。初めましてかな。私はここの支配人だ。あの異世界の語り部を探しているんでしょう?

彼、最近来ていないんですよ。きっと本業が忙しいんでしょう。

今日は、私がお相手しましょう。…そうですねぇ、この語り場の誕生秘話なんてどうでしょう? 不幸話ではないが、一つ聞いていって下さい。ええ、きっと後悔はさせませんよ?


「他人の不幸は蜜の味」。我が語り場のモットーです。

不倫モノしか語らない彼も、異世界モノしか語らない彼も、大きく言えば他人の不幸を楽しむ変態です。ああ、今までその数々の物語を心から楽しんでいた奴らもね。…まさか、あなたのことじゃないですよね?


この荒廃した世界に足りなかったもの。それは娯楽です。争いにより遊園地は破壊され、俳優は居なくなり、映画館はクローズ、インターネットも使えない。娯楽がなくなっていったんです。

争いが終わった後も、人々は無気力のままでした。

人間による創作の全盛期と言われる、二十世紀から二十一世紀前半に作られた物語。これが、人々の原動力でした。しかし、前向きで活気溢れる物語など、読んだところで虚しくなるだけ。

人々は、他人の不幸話を読むことで、つかの間の快楽を得るようになっていきました。


それを見た一人の男。まぁ、私のことなんですが。男は、不幸話のみを語る、倫理観に欠けた場所を作りました。この時代なら間違いなく儲かると踏んだのです。男は読書好きの者、口の上手い者を集め、運営を開始しました。儲かりようは…まぁ、周りを見渡せば分かるでしょう? ぼちぼちです。こんな小さな場所でも客入りは結構なものなんですが…人件費がねぇ……。世知辛いもんですよ、本当に。


と、まぁこんな感じです。物好きの男によって建てられた場所が、他の物好きたちの職場になっている。嬉しい限りです。

ああ、明日も来てくれますか? あの異世界の語り部に代わって歓迎しますよ。

では、また明日。

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