七日目
また来てくれましたね。
ここは、裏路地の語り場。
昨日の続きですよね? どうぞ聞いていってください。
よぉ。昨日はすまなかったね。
じゃ、聞いてってくれよ。
ゴブリンたちは、武器を捨てて投降していきました。
それを見た人間は、満足げに笑いました。
「よく勇気を出してくれたな。俺はリード。勇者リードだ。」
なんと、この男こそが勇者だった!
ゴブリン一同はひれ伏しました。
「勇者様とはつゆ知らず、とんだご無礼をつかまつりました。我々は危害を加えるつもりはありませぬ。どうか、勇者様の寛大なお心の故に、この村を、見逃してはいただけないでしょうか。」
パイは言葉の限り言いました。まあ、要は見逃してくれってことです。
勇者は優しい声で言いました。
「そうか。お前にも、大切なものがあるんだな。」
ああ、なんて寛大な勇者様! こんな雑魚の言うことも聞いてくれようとは!
「が、しかし」
と、勇者の声が急に鋭くなりました。
「王国周辺の魔物は根絶やしにせよというのが王の命だ。」
勇者が言い終えるのと同時に、ゴブリンの一匹が射止められました。
ヤバい、敵だった! しかし、応戦しようにもここからじゃ武器を取りにいけない!
絶望しているうちに、一匹、また一匹とやられていきます。
ここにいたら殺される!
そう直感したパイは、村長ながら情けなく逃げ出してしまいました。
「おい、全部やった。帰るぞ! 」
勇者が仲間らしき人物に叫んでいます。
戦いは終わったのだろうか。村は!?
パイは前も見ず走り出しました。もしかしたら、生き延びている奴がいるかもしれない。
…村には酷い光景が広がっていました。生き延びている奴がいるとはとても思えない。
自分さえ逃げ出さなかったら、守れたかもしれない。
そんな考えが、彼を覆い尽くしました。
彼は生気なく歩いていき、森の暗闇へ消えていきました。
…どうだったかな? この話、すげぇ人気なんだよ。俺はあんまし好かないんだけどさぁ。
あ、帰る? じゃ、またな。
では、また明日。




