日常5
特に技術も能力もなく、心躍るバトルもありません
片田舎の接骨院のおっさんが日々の業務の中で起きた事件?騒動?を
お客とただ話している話です
本当に当人に野望も希望もなくただただ日々のだらだら過ごす話です
作中の話はフィクションです!
若干時代に合わず古い情報があったりしますが
厚生労働省等への問い合わせはお控えいただけると助かります
「公立中学校の「部活」を廃止 地域団体によるクラブ活動に全面移行へ。」
かぁ、少子化や授業の数が多く、教員の負担軽減の為の外部委託か、なんか本末転倒な気もするな・・・。
「まぁもともとの部活動の意義が心身の成長とかが目的なのだが、都市部とか移動距離が短いところはいいんだろうけど、うちみたいな田舎はどうするんだ?、そもそもの集合場所へ移動だけで1.2時間終ってそうだな。外部コーチ雇うにしても予算はどこから来るんだ?予算不足で廃止になる未来しか見えんな。役人の考えることなんてまぁその程度だろうし、最終的に活動自体無くなってくれてもOKといったところかな」
まぁ部活動自体にいい思いではないが、まったくやらなかったことを想像すると、自分にとっては有って良かった。夏の練習でゲロ吐きまくった経験も今となってはよい思い出である。
私の名前は、姓は安藤、名は善治郎、50歳、ここ20年ほど嫁さん募集中だ、だがこんな片田舎で今にもつぶれそうな接骨院に嫁いでくれる変わり者は一回り以上年上の未亡人婆ぁくらいで、理想の女性はいまだに現れない。
中学校や高校の運動部にトレーナーまがいのこともしていた時期はあったが、しょせん田舎の公立学校の為たいして喜ばれもせず、無償でこき使われただけで終わったので、この10年ほどはそういった出張業務はやめている。
そんな時間があるなら、趣味の模型製作に情熱を注ぎたい。
たまには海外製の模型もいいぞ、国産物と違って説明書通りに組んでも素直に完成しない天邪鬼なところや。
「あれ?俺どこか間違ってたっけ?あってるのに何でずれるんだ?・・・、普通に組んでるのにピッタリ合わないぞ?」
など自分の今まで培ってきた常識を正面から叩き潰してくれるのが特に良い。
不条理を体験したければぜひ海外のプラモデルをお勧めするとくにヨーロッパだ!
中国・韓国製は近年、日本の技術を丸パクリしているからそういった不条理さを味わうことはできなくなってきている。
「院長、一人で何ぶつぶつ言ってるんですか?気持ち悪いですよ」
と、恒例の飛田君が目の前にいる。
「いたのか、飛田君」
「30分くらい前からずっといますよ、いきなりぶつぶつ独り言言い始めたんで、とうとうボケが始まったのかと」
相変わらず失礼な人物である、年長者を敬う気持ちが全く感じられない。
「部活動が廃止になって、地域の活動に移行していくっていうネットの記事を見て、数年前の自分の学生時代を思い出してたのさ」
「数年前って・・・またえらくサバ読んでますね」
「まぁ云十年前だな」
月日の過ぎるのはとても早く残酷である
「院長部活何してたんですか?、やっぱり柔道ですか?」
「あー、中学時代はそうだったが、高校は文芸部だな」
「ぶ・・・文芸?って何する部活なんですか?小説でも書いてたんですか」
「まぁ、そうだなぁ。部室に集まっておやつ食べてマンガ読んでる思いでしかないな・・・」
「ろくでもない部活ですね」
「部費でおやつ買って食う、漫画買って読む!最高だろ?」
「最悪ですねwダメ人間の巣窟じゃないですか」
「たまーに詩とか書いてたぞ、強制で年1か2くらいだが」
「全然活動してないですやん」
「あとは授業出るのが面倒な時は朝から部室に籠って寝てたな」
「いよいよ、ダメなやつじゃないですか、最低だなあんたw」
「まぁ高校の文化部とかってそんなもんじゃないの?」
「軽音とかただのやりサーだったぞ、部活だからサークルではないが」
「ろくでもない学校ですね」
「まぁ田舎の底辺校だったしなぁ。賢いところかバカの学校の2択しかなかったから。あと田舎だとやることがなくて、ヤルしかないw」
「下品すぎ」と苦笑いする飛田。
「君も同じようなもんじゃないのか?」
「いやうちは私立の男子校でした」
「あー監獄か、地獄でしかないな」
「男子校は男子校で面白かったですよ、会話の7割下ネタでしたけど」
「大差ないじゃないかw」
下らない話は置いておいて
「話戻るけど、部活動の意地域活動移行ってどう思う?飛田君は」
「メジャースポーツ以外消えてなくなりそうですね」
「だよなぁ、カバディ部とか消える未来しか見えんな」
「なんでカバディなんですかw、というかそんな部あるんです?」
「うちはあったぞ、3人しか部員いなくて同好会だったが」
「部じゃないですやん」
「まぁ少子化のせいだろうなぁ」
「絶対関係ないですけどね、ただ単にマイナースポーツ過ぎでしょ、田舎じゃ絶対受けないですって」
「とかいにいきて~な~」
「いきなりですね、まったく行きたいという気持ちが感じられないですけど」
と飛田君に白い目で見られる。
「行く気がないからね」
「でしょうね!」
「飛田君も同じじゃないのか?」
「いえ、僕は学校卒業したら出ますよ!」
「で、1年で戻ってくると?」
「そんなことはないと思いますけど・・・」
「都会で仕事見つかるといいねぇ。」
「絶対出てやるー!w」
「でもまぁ、今のご時世、別に都会に出ないと仕事がないってわけでもないじゃない?」
「何かありますか?」
「ようつーばーとか…」
「絶対嫌ですw」
「目指せ登録者100万人!田舎の富豪目指そうぜ、あとは政治家とか?」
「どっちも無理です!」
「為せば成るってw」
「適当に知ったかぶりで小難しいこと言ってれば登録者増えるし、票も入るってw」
「舐め過ぎですよw」
「大丈夫だってこんな田舎、情弱とあほのヤンキーしかいないって」
「自分の故郷ボロカス言いますね」
「知ってるから言えるんだって。ほぼ事実じゃない?」
「あまり否定できないですね」
「賢い学校いった子の大半は都会の大学か国立行くじゃないか、おのずと残りは田舎の沈殿物しか。」
「あぁ恐ろしい、こうやって田舎の人間は劣化したやつしか残らなくなっていくんだよw」
「現に見てみろよ、今の総理大臣も、田舎出身の政治家だぜ、きっと口先だけで老人ども騙してのし上ってきたんだって。」
「そんな返答に困ることやめてくださいよw」
「ほら政治家なりたくなってきただろ?、いよっ!将来の総理大臣w」
「もう、帰りますw」
帰り支度を始める飛田。
「急にどうしたんだ?」
「かえってちゃんと勉強してこんな田舎出て行ってやるw」
頑張り給え若者よ!
だが本当に田舎の人口問題は深刻である。
最近ではその頭の悪いほうも田舎を出て行ってしまい、本当にゴーストタウンになりつつある地域も多数存在している。
田舎の限界集落は消えて行ってしまうのであろうか?・・・
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