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夏がまたやって来た。季節は忘れることなくいつも必ずやって来る。Ramonを愛し始めて2年。愛に質量はあるのだろうか。深いとか浅いとか、熱いとか冷たいとか、性質はあるのだろうか。私の愛は痛いほど深くなっている。海溝に沈んでいきたい。


暑さは体を弱らせる。呼吸を浅くさせる。右の脇腹が痛くなってきた。乳頭がかぶれたように見える。Ramonに見つからないように気を付ける。


でもなぜかニューヨークの面接から帰って、彼は私を求めなくなった。老いた体の醜さに気づいたのだろうか。Jacquelineの体と比較して萎えてしまうのだろうか。自分にもう女としての価値がないことは理解していたが、最後の僅かな自尊心さえも磔にされた。


「どうしてsexしないの?体調悪いの?それとも他で済ませているの?」


堪えられなくなって、ふざけた調子で単刀直入に聞いてみた。


「肉体を交わせば心も通ってしまうんだよ。絆が強くなったら離れる時辛いから。」


思いも寄らない答えに狼狽える。単独の計画的な犯行に衝撃を受けた。


「ずるい。一人で先に別れる準備を始めるなんて。」

「Annaに辛い思いをさせたくないんだ。初めからわかっていたことだろ。」

「そうだけど、一人取り残された気分よ。」


上手な別れ方を演出したということ?


「Annaもきっと相応しい人がすぐに見つかるよ。」


『も』ということはやはり彼はもう他の女を愛しているということ?


「Jacquelineを愛しているの?」

「まだそんな関係じゃないよ。可能性があるってだけ。」

「・・・・・」


『可能性』と言った時の、彼の顔の一瞬の緩みを私は見逃せなかった。もうRamonの新しい舞台の幕が上がっていた。一人、前章の終わりに置き去りにされて立ち尽くす。彼の次の章に私の役はない。章の隙間の真っ暗な奈落に落ちていく。



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