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廻る蜘蛛の巣

作者: 藤乃花

青い絵の具を溶かした様な青空の下人気のテーマパーク『ファンタスピア』では休日という事もあり、多くのお客で賑わっている。休日、つまりイベント盛り沢山の中で、人々のハートをわしづかみにしてくれる着ぐるみショーも人気の一つ。「休憩入りまーす……っち―」「お疲れ様、水分採ってね。次のショーも宜しく」「はーい……」スタッフオンリーの休憩室にて、身長二メートルはありそうな緑のカンガルーが(正式名称着ぐるみ)長椅子にドカリと腰掛けて、頭の部位を解体させた。頭の下にはアッツアツの人間が顔面から湯気を噴射させ、今の状態を主張している。カンガルーを脱ぎ捨てた人間の年はまだ二十代と考えられ、最近このメルヘンの国に仲間入りしたばかりだ。この人間、背中のファスナーを仲間の朱色のウーパールーパーに下ろしてもらい、中の腕を出しテーブルに置いていた缶コーヒーの蓋をパシッ!と開けた。「んっんっんっ……ぷはー!」獣の中は激熱、あらかじめ冷やしておいた飲み物の上手い事。「あ……」紫のコアラが半分人間の姿を出しながら、一点を見つめる。隣の黒いヒヨコが渋い顔で尋ねた。「ん?どした?」「クモ……そこの椅子のはしっこに……」紫のコアラが示した場所に、大きくはないがビクッとなるような蜘蛛が闊歩している。「オレ、苦手。足が多いヤツ」「払いのければ問題ない」軽くそう言うと、オレンジ色のウサギが片手で蜘蛛を払いのけ床に落とした。すかさずピンクのヒツジが落ちた蜘蛛を踏んづけた。「これでいい」獣等は少し蜘蛛を見、また雑談に入った。ー許さない……よくも父を……ー突然獣等は身体の自由が効かなくなり、何かに引っ張られていく。「えっ?えっ?」「なんだ?体が……!」「どうなってる?助けてくれ……!」透明な太い糸が獣等を外へと引っ張っていき、巨大な蜘蛛の巣で巻きとっていく。巨大な蜘蛛の巣……それは、観覧車の事だ。観覧車はゆっくり回転し、獣等を引きずり込む。「「「ぎゃああああ……!」」」パークじゅう

に叫び声が響き渡る。赤黒い血を溶かした様な夜空の下人気のテーマパーク『ファンタスピア』では閉園後という事で、そこに住む動物たちだけが巨大な蜘蛛の巣に宙吊りになっている。














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