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忘却のグレーテ  作者: だい
第三章其の二
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白雪姫⑥

イライアス「紹介するよ。森のお友だちを」

イライアス「きっと、僕らの旅をサポートしてくれる」


イライアス「まずは、黒コウモリのエコー」

エコー「よろしく」

私「よろしくね」


黒い翼を持ち、目は深い青色で、夜空に溶け込むような外見をしていた。


イライアス「エコーはね。音波を使って隠れ場所を見つけたり、敵の数を感知できるんだ」


イライアス「次はリスのフリスキー」

フリスキー「よろしくですぅー」

私「よろしくね」


イライアス「フリスキーはね。森の中で速く動き回って、木の上から見張りをしたり、食べ物を探すのが得意なんだ」


明るいオレンジ色の毛並みを持ち、フサフサのしっぽが目立っていた。


イライアス「次はカメレオンのモス」

モス「よろしく...」

私「よろしくね」

イライアス「モスはね。周囲の風景に溶け込んで敵から隠れることができるんだ」


緑色を基調にした柔らかそうな鱗をしていた。


イライアス「次は子鹿のルン」


ルン「よろしくね」

私「うん。よろしく」


イライアス「ルンはね。枯れた森に癒しの力を与えることができる。それに人の気持ちを落ち着かせる能力があるんだ」

イライアス「王城に向かう途中に枯れた森の一帯があってね。そこの木々は女王に魔法をかけれていて、養分欲しさに動物や人を襲うんだよ」

イライアス「その木々から魔法を浄化するために必ずルンの力が必要になってくる」


イライアス「最後は黒猫のロウウェル」

イライアス「彼は王城への案内役さ。以前行ったことがあるみたい」


毛並みは光を吸い込むような深い黒紫で、動くたびに微かに光沢が揺らめく。


私「よろしくね」

ロウウェル「...」


私(ん?...)

私「よろしくね」


ロウウェルは私の挨拶を無視して横を通り過ぎて行った。


私「ん...」


私 (...なんだこいつ...)


イライアス「ごめんよ。ああゆう性格なんだ...」

私「そうなんだー...ふーん...」


イライアス「あっ...ロウウェルが着いて来いだって...」

イライアス「じゃあ、みんな行こうか」


私「うん!」


私たちはロウウェルに続いて歩き始めた。


私(なんだアイツっ!自分はカッコいいとでも思っているのかぁ...)

私(あー。ムカつく!)


私は歩きながら空を見上げた。

空の亀裂は最初この世界に来た時よりも、大きくなっている気がした。


私「ねぇ...あの空の亀裂って何?」

テオ「ん?どれのこと?」

私「あれだって」


私は指差した。


テオ「ん?そんなものないけど...」

テオ「他のみんなは何か見える?」


小人のみんな「ううん。見えないよ...」


私「えっ...」

私(もしかして、私にしか見えていないの?)

私(じゃあ、あれって...)

私(うん。多分そうだ...あの亀裂はこの世界のタイムリミットを示しているんだ...)


テオ「スノウ...まだ見える?」

私「あっ...ううん...やっぱりなんでもない」

私「なんかまた見てみたら、何にもなかった...」


テオ「そう。ならよかった」


私たちは暫く歩き続けた。


エコー「みんな狼だ!こっちに迂回しよう」

エコー「あれっ...こっちにも!」

エコー「ダメだ。回り込まれている...」


草むらから狼たちが姿を現した。


私たちを囲むように狼たちがぐるぐると円を描きながら歩き回った。


私たちは中央に集まり、顔を外に向けながら背を合わせ合った。


ヴィクター「これはまずい...」

コンラッド「お前たちの要求はなんだっ!」


コンラッドが槍を構えながら狼たちに問いた。


狼「その肌白い女をよこせ。美味そうだ」


私(...私!?)


コンラッド「そりゃあ、よこす訳にはいかねぇな...」


狼「ふーん...」

狼「それじゃあ、お前ら全員餌にしてくれるわ!!」


そう言って、一匹の狼が私たちに跳び掛かって来た...


私(うわぁー。ダメだ...)


私は目を瞑った。


「キュイーン...」


犬のような鳴き声が聞こえた。


目を開けると、そこには飛び掛かって来た狼が横たわっており、矢が突き刺さっていた。


狼たち「なんだ?何が起きたっ...」


?「その場を去れっ!狼どもっ!」


声のする方を向くとそこにはガタイの大きな男が弓を構えており、続けて矢を放った。


狼たちは慌ててその場を去っていった。


ガタイの大きな男「大丈夫かい!?」


私「助かりました...。ありがとうございます...」


ガタイの大きな男「危ないところだったね...」


フェリックス「こっちに近づくなっ!」


私「えっ...なんで...」

私「あの人が助けてくれたんだよ...」


小人たちは険しい目つきでその男を睨んだ。


ヴィクター「キサマは確かっ!」

ヴィクター「女王の差し金でマリーに斬りかかろうとした狩人!」


私「えっ!」


ガタイの大きな男「あの時は悪かった...」

ガタイの大きな男「いや、本当に悪かったよ」


ガタイの大きな男は弓を下ろして近づいて来た。


フェリックス「近づくなって言っているだろ!」


フェリックスが槍の矛先を男に向けた。


ガタイの大きな男「あーごめん。近づかない...」

ガタイの大きな男「このままここを去るよ。ごめん...」


そう言って、ガタイの大きな男は両手を上に上げて去ろうとした。


私「なんで助けたの?」

ガタイの大きな男「ん?あぁ...そこのおチビちゃんが槍を下げてくれたら答えてやってもいいが...」


私「フェリックス...槍を下ろして...」

フェリックス「何を言っているんだ!スノウ...こいつはな...」

私「分かっている...下ろして...」

フェリックス「知らないぞ...」


フェリックスが槍を下ろした。


ガタイの大きな男「よぉし、答えよう」

ガタイの大きな男「みんな耳の穴をかっぽじって聞けぇ」


ガタイの大きな男「俺が女王の命令であの嬢ちゃんの命を奪おうとしたのは.....事実だ」


フェリックスが再び槍を持ち上げようとする。


ガタイの大きな男「おいおいちょっと待て、最後まで話を聞いてくれよ...なぁ...」

ガタイの大きな男「あの時の女王の金払いは良かった。だから俺は引き受けた...」

ガタイの大きな男「でもよ。俺は人を殺したことがなかったんだ...」

ガタイの大きな男「だから、切り掛かる時に躊躇しちまったのさ。それに子どもをって...」

ガタイの大きな男「俺はそのおかげでまだ人の道を外しちゃいない...」

ガタイの大きな男「まぁ、俺じゃなきゃあのお嬢ちゃんの命はなかっただろうな...」

ガタイの大きな男「それに今、俺はあんたらを助けた」


ガタイの大きな男「今の状況...お分かり?」


フェリックスが再び槍を持ち上げた。


ガタイの大きな男「おいおいおいおい。何故そうなる...」


私「フェリックス...下ろして...」


フェリックスは槍を下ろした。


私「なんで助けたの?」


ガタイの大きな男「そりゃまぁ...あれだ...たまたま通りかかって...悪かったなって思ったからだ...」

私「ふーん...。私たちに対して申し訳ないって思っているのね?」


ガタイの大きな男「まぁ、そうだ...」


私「じゃあ、私たちの護衛をして!」


フェリックス「えっ...スノウ...それマジで言ってる?」

私「うん...」


フェリックス「スノウ...本当に言っているの?」


ガタイの大きな男「おいおいおいおい。それは俺のセリフだ...」

ガタイの大きな男「お嬢ちゃん...俺の役目はこれで終わりだって...」

ガタイの大きな男「これで失礼するよ...」


私「ふーん...そうでるんだー...」


私「ククッ...」


私「みんなっ!復讐の時だ!あの男に襲い掛かれー!」


みんな「オーーーーーー!」


ガタイの大きな男「待った待った!分かった!分かったよ!」

ガタイの大きな男「いくらなんでも分が悪すぎる」


ガタイの大きな男「護衛をするよ」


私「するぅう?」


ガタイの大きな男「さ・せ・ていただきますぅ!」


私「よろしい」


フェリックス「スノウ怖っ...」


私「ん?なんか言った?」

フェリックス「いや...なんにも...」

フェリックス「続けて...」


私「名前は?」

ガタイの大きな男「ん?俺?ハンだ」

私「ハンね...よろしく」

ハン「あぁ...よろしくな。お嬢ちゃん...」


フェリックス「スノウだよ...」

ハン「あっ...スノウっていうんだね」

ハン「それで、目的は?どこまで?」


私「女王に会いに王城まで行くの」

ハン「フッ...お嬢ちゃん正気かい?」

ハン「俺一度、裏切ったんだぜ女王を...殺されちまうよ」

ハン「やめだやめだ。付き合ってらんねー...」


私「あなた今の立場を分かってそれを言っているの?」

私「今やられるのか...後でやられるのかどっち?」

ハン「ハハッ...お嬢ちゃん怖いね...」

ハン「まぁ、人間長く生きながらえた方がいいよな...」

ハン「後者で頼む...」


こうして、ハンが護衛として加わり、王城に向かって歩き出した。


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