白雪姫④
私は絵本の光に包まれた後、気がつくと月明かりに照らされた森の中にいた。
頭上には絵本の形をした穴が開いていた。
私「来たんだ...」
私「ここはとっても暗い...」
私「...どこに行けばいいの...」
私は空を見上げた。
私「あれは何?...」
夜空には白い亀裂のようなものが入っていた。
私「まぁいいや...。とにかく誰か探さないと...」
私「寒い...」
森は凍えるほど寒く、至る所に雪が積もっていた。
私は雪を踏みしめながら暗い森を歩き回った。
森の奥の方に何か緑色に光りながら動くものを見つけた。
私「あれなんだろう...虫?」
その光を私は追った。
すると、その光は一本の木の裏に姿を隠した。
私は光が姿を隠した木の裏を確認した。
すると、そこには小さな木製の小屋があった。
「小さな小屋...」
ドアの高さも私の足先からお腹ほどまでしかなかった。
私はドアをノックした。
私「あの...すみません...どなたかいませんか?」
?「ふぅん?」
そうすると、ドアが開き背の小さい赤色帽子を被ったおじいさんが中から出て来た。
赤色帽子を被ったおじいさん「おや、どうしたんじゃい?スノウ...」
私「いや、私はスノウじゃ...」
赤色帽子を被ったおじいさん「おーい。みんなー。スノウが帰って来たぞい」
その小さな赤色帽子を被ったおじいさんは部屋の方を振り返りながらそう言った。
私「いや、だから私は...」
中からぞろぞろと色とりどりの帽子を被ったおじいさん達が奥から出てきた。
黄色帽子を被ったおじいさん「おお!スノウ...なんで戻って来たんじゃ...」
黄色帽子を被ったおじいさん「お前さん。マリーを助けに行ったんじゃないのかい?」
私(スノウ?...マリー?...いったい何のことを言っているの?)
私(そうだ...スノウは確か鈴香さんがみんなにそう言われていたって...)
私(きっと、この人たち鈴香さんと私を見間違えているんだ...)
私「いや、私はスノウじゃないですって...」
小さなおじいさん達はみんな無言で首を傾げた。
緑色帽子を被ったおじいさん「おめえさん。どこかで頭をぶつけたのかい?」
そう言って、緑色帽子を被ったおじいさんは小屋の中から手鏡を持って来た。
小さなおじさん「ほれ...」
緑色帽子を被ったおじいさんは私に鏡を向けた。
何を言っているのかと疑いながらも、私は月光によって鏡に映し出された自分の姿を見て驚いた。
私「え...」
私「...誰...」
顔をまさぐったが、それは自分の顔だった。
私「これが自分!?...」
緑色帽子を被ったおじいさん「おや...こりゃ重症じゃな...」
緑色帽子を被ったおじいさん「本当にどこかで頭を打ったのかい?...」
私(いや...打ってないって...)
私(そっか...これは鈴香さんの若い時の姿なんだ...)
私(ここは鈴香さんの記憶の中の世界...だからこうなるのか...)
私(正直言って、この人たちにすべてを説明するのは面倒臭い...)
私(頭を打ったってことにしておこう...)
私「あー...痛たたたぁ...」
私「そう。実は頭を大きな木で打って...痛たたたぁ...」
私「それから、何にも覚えてなくてー...」
私(どう?)
私は薄目でおじさん達の反応をみた。
紫色帽子を被ったおじいさん「やっぱりそうなのか...」
小さなおじさん達はガヤガヤと騒ぎ出す。
私(上手くいった?...)
だが、その中のオレンジ色帽子を被ったおじいさんの眼光は鋭かった。
オレンジ色帽子を被ったおじいさん「ふーん...。何も覚えていないのに木に頭をぶつけたことは覚えているんだなぁ...」
オレンジ色帽子を被ったおじいさん「何んだかさっきは、きな臭かったぞ...」
私(ギクッ!...)
私(やばい...バレた?...)
オレンジ色帽子を被ったおじいさん「それに急に頭が痛み出して...」
黄色帽子を被ったおじいさん「まぁまぁ...コンラッド...そう言うなよ」
黄色帽子を被ったおじいさん「スノウがもし嘘を言っていたとして、彼女になんのメリットがあるんだ」
みんながうんうんと頷く。
コンラッド「うーん...まぁ...」
コンラッドは腕を組みながら納得していない様子だった。
黄色帽子を被ったおじいさん「それに、どこからどう見てもスノウだろ?なぁ?みんな」
私はおじいさん達にまじまじと下から見上げられた。
コンラッド「まぁ、そうだな...」
コンラッドが納得した様子を見てみんながうんうんと頷いた。
赤色帽子を被ったおじいさん「それじゃあ、ワシらの名前もか?」
私「うん...。ごめんね...」
赤色帽子を被ったおじいさん「そうか...。それは残念だが仕方がない...」
赤色帽子を被ったおじいさん「もう一度紹介しよう!なぁみんな!」
黄色帽子を被ったおじいさん「おぉー。我らのスノウの為だー!」
みんな「おー!そうだそうだ」
赤色帽子を被ったおじいさん「じゃあ、みんなっ!いつもの歌うぞっ」
赤色帽子を被ったおじいさん
「ぼくの名前はヴィクターさ!
みんなの道を切り開く!
どんな嵐も怖くない、
勇気と地図で進むだけ!
頼ってくれよ、この僕に、
リーダーとして誓うから!」
ヴィクター「次はフェリックス!」
フェリックス「おう!まかせろ!」
フェリックス
「どうもみんな、フェリックス!
笑顔と元気を届けます!
どんな時でもハッピーに、
失敗だって宝物!
黄色、幸せの色!
明日はもっといい日になる!
笑っていこうよ、どこまでも、
フェリックスがいるから安心だ!」
フェリックス「次はイライアス!」
イライアス「うん...」
イライアス
「こんにちは、イライアスだよ、
森の声を聞いてるよ。
風のささやき、木々の歌、
動物たちとおしゃべりさ!
のんびりゆったり、急がない、
時間はたっぷりあるんだよ。
疲れた心、癒してあげる、
僕がそばにいるからね」
イライアス「次はー...次は...」
イライアス「...ネオ?」
緑色帽子を被ったおじいさん「イライアス...僕はネオじゃないよ。テオだって...」
テオ「いい加減覚えておくれよ...何年の付き合いさ...」
テオ
「ぼくの名前はテオだよ!
発明大好き、謎解きも!
歯車回してカチカチ音、
道具と知恵が友だちさ!
ポケットいっぱい、アイデアの山!
ベルトには道具がキラキラさ!
森の中から見つけたヒント、
テオがひらめく、不思議な答え!」
テオ「次はヒューゴ」
ヒューゴ「...はーい...うわぁ...恥ずかしいなぁ...」
ヒューゴ
「ぼくの名前はヒューゴだよ、
恥ずかしがり屋だけどね。
誰かが困ったそのときは、
そっと手助けするんだよ。
紫の服に小さな花、
ふわりと揺れるやさしさの風。
みんなの笑顔が見たいから、
影からそっと力になるよ」
ヒューゴ「次は、レオン...お願いできる?」
レオン「うん。任しておきなっ」
レオン「
ぼくはレオン、夢追い詩人、
星が瞬く夜空の下、
ぼくの心は詩を描く。
静かな風に耳を澄ませば、
自然が歌う愛の調べ。
言葉と旋律、愛で紡ぐ。
花も風も、仲間の笑顔も、
すべてがぼくの永遠の詩」
レオン「最後はコンラッド」
コンラッド「おうよ!」
コンラッド
「名前はコンラッド、頑固者、
曲げぬ信念、胸に抱く。
昔ながらの道を信じ、
正しいことを貫く男!
ハンマー叩き、鉄を鍛え、
木に命を吹き込む力。
仲間を守る誓いの言葉、
『やると決めたら最後まで!』
」
ヴィクター「ってなわけだ。ワッハッハッー!」
他のみんなも楽しそうに笑い出す。
ヴィクター「俺らはよぉ。おめえさんスノウ、そしてマリーの永遠の友さ」
ヴィクター「ワッハッハッー!」
フェリックス「そうだよ。スノウ...」
私「わぁー!みんなすっごいねっ!」
私「歌がステキで」
私「本当に良かったっ!」
ヴィクター「よろしくなっ!」
私「うんっ!」
私はヴィクターと握手した。