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忘却のグレーテ  作者: だい
第三章其の二
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白雪姫①

翌日 、旅に必要なものを買い揃えて帰宅した。

キャリーバッグに荷物を詰めた。


メアリ「着替えは何日分ぐらいいる?」

私「着替えはとりあえず、三日分で良いと思う」

ネム「シャンプーとかって小さいものに入れて持っていきます?」

私「そうだね。念の為」

私「みんなこれ今日の新幹線のチケット」

メアリ「ありがとう」

ネム「ありがとうございます」

私「なんだか楽しいなぁ…。これから出かけるんだって思うとワクワクするっ」

ネム「本当ですね」

ネム「あっそうだ。カノンさんって剣ですよね」

カノン「そうであるな」

ネム「このまま持って行ってもいいんですかね?」

私「あっ…」

私「なんかあったね。銃なんとかっていう法律…」

私「どうしよう…」

カノン「法か…大きさなどが関わるのであるか?」

私「そうそう。なんか小さかったらよかった気が」


私はスマホで調べた。

私「刃対が六センチ以下だって」

カノン「六センチというと?」

私「うーん。これぐらい?」


私は右手の親指と人差し指で示した。


カノン「そうであるか。承知した」


そう言ってカノンさんは手のひらに収まるぐらいまで小さくなった。


私「わぁ…そんなのできるんだっ」

カノン「あぁ。元が剣であるため人の姿にはなれぬが、本体の大きさと少しの形であれば変えられる」


私「そうなんだ」

私「あの剣の持つところの先になんか輪っかみたいなの作れたりします?」

カノン「こうであるか?」


カノンさんは形を変えた。


カノン「ここに何かを通すということか?」

私「そうそう」


私は部屋からボールチェーンを持ってきた。


それをカノンさんの輪っかに通そうとた。


カノン「ハハッ…ハハッ…」

カノン「くす…くすぐったい」

私「ごめんなさい。すぐ終わるのでっ…」

カノン「ハハハッ…」


私「通った!」


ボールチェーンを通して、キーホルダーのようにした。


私「ここに付けて…」

それをリュックサックに付けた。


私「うん!良い感じ」

私「カノンさんどう?」

私「これで、外見えるでしょ?」

カノン「あぁ。助かる」

私「よかった」


私「みんな準備おっけー?」


私「よーし。じゃあ、みんなこれから行くよっ」

メアリ「うん!」

ネム「うん!」

カノン「あぁ」


東京駅までバスで向かった。

相変わらず、二人は不思議そうにバス中でガラス越しに外を眺めていた。


駅に着いてからお弁当を買ってなんとか無事、予定していた新幹線に乗ることが出来た。


メアリ「いやー。すごいね。こっちの世界にはこんな乗り物があるなんて」

ネム「本当ですよね」

私「まぁ、でもこっちの世界は魔法がないからさ…」

メアリ「そっかー…」


新幹線が動き出した。


メアリ「走り出したね」

私「たぶん…三時間ぐらいで着くと思う」

私「みんなお弁当にしない?」

私「朝からバタバタして何にも食べられなかったし…」

ネム「はい!」

メアリ「そうだね」


駅で買った牛飯弁当を食べた。


私「うーん!美味しいっ」

メアリ「本当!」

ネム「はい。すっごく美味しいですっ」

メアリ「そう言えばさネム。もう私たちには普通に友達のように話してくれてもいいんだよ」

ネム「あー。なんか口癖というか。私昔からこうゆう話し方なので…」

メアリ「そっか。そうだったら、いいんだけど」

メアリ「気を使っていたらって思ってさ…」

ネム「あー。私そう思われがちなんですよね…」

ネム「はい!私全く気は使ってはないので」

メアリ「じゃあ、よかった」


その後、新青森駅に着くまで三人で、これからのことや自分の夢、過去の出来事など話し合った。


アナウンス「次は新青森、新青森…」


私「次だ」

ネム「話していたらあっという間ですね」

メアリ「確かに」


その後新青森駅で下車し、別の路線に乗り換え、小柳駅に着いた。


私「やっと最寄駅に着いた」


辺りは閑静な住宅地だった。


私「ここから少し歩くよ」


私たちは白森鈴香さんの住所に向かった。


私「うーん…たぶんこの辺かな…」

私「あっ…ここだ」


年季の入った平屋だった。


私はインターホンを押した。


?「はーい」

中から四十代ぐらいの女性が出てきた


私(あれ?住所間違えたかな…)

私「私、篠崎と言います」

私「白森さんのお宅ですかね?…」


?「あっ…はい。白森ですけれど何か」

私「そうですか」

私(よかったー。間違っていなかったー)


白森「何か…うちに用ですかね?」

私「あのー…白森鈴香さんはいらっしゃいますかね?」

白森「私の母ですが…今は…」


私(まさか…間に合わなかった…)


白森「今は近くの病院に入院しています…」

私「こんなこと聞くのは申し訳ないのですが…何かご病気ですか?」

白森「アルツハイマー病とお医者様から診断を受けまして…」

白森「痴呆がひどく、私の名前もたまに忘れる時があります…」

白森「紹介が遅れました。私は娘の彩です」

白森彩「それで、母に何か?」


私「あのー…」

私(なんて説明すれば伝わるんだろう…)

私「『迷える少女の会』ってご存知ですか?」

白森彩「すみません。知らないです」

私「そうですか…」

白森彩「何かの宗教ですか?」

白森彩「いや、そうゆうわけでは…」

メアリ「朱音、絵本は?」

私「そっか!」


私は鞄から本を取り出した。


私「こんな感じの絵本って見たことありますかね?」

白森彩「あぁ。幼い頃、母がよく持っていた似たようなものはあります」

白森彩「たしか、うちにあったかと…」

白森彩「それって絵本なんですか?」

白森彩「絵本なのに表紙が無地で、中は白紙…。昔から変だなとは思っていました」

白森彩「でも、母はずっと大切にしていた」

私「その絵本について私、お母様ににお尋ねしたいんです…」

白森彩「ごめんなさい。母はもうそれについての記憶がないかと思います…」

白森彩「父は他界し、私に残されたのは母のみで…」

白森彩「母に余計な記憶を掘り返すことは私は望んではいません」

白森彩「私は母に少しの間でも自分のことを覚えておいてほしい」

白森彩「そう思っています…」

白森彩「どうかお引き取りを…」

私「そんな…少しだけでも…」

白森彩「失礼します」

メアリ「ちょっと、アンタそれはいくらなんでもっ!」


彩さんは軽く会釈し、引き下がりながら玄関の戸を閉めた。



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