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忘却のグレーテ  作者: だい
第三章其の二
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メンバーリスト

有栖川「フフフッ…じゃあ、さっそく…」

有栖川「これが『迷える少女の会』のメンバーリスト」


有栖川さんは一枚の用紙を机の上に置いた。

———————————————————

赤ずきん 朱川紅空

愛知県狼谷町紅葉通二丁目五番地

白雪姫 白森鈴香

青森県霧氷市白霞台一丁目十一番地

シンデレラ 月宮瑠奈

東京都白金区時計台通り五丁目十番地

人魚姫 水音碧依

和歌山県潮音市月ヶ丘七丁目四番地

オズの魔法使い 空野陽葵

北海道虹谷市風車通り六丁目十二番地

いばら姫 藤咲花蓮

茨城県水戸市霞ヶ原三丁目一番二号

———————————————————


有栖川「もう何十年も会っていないから、どうかしら…」

有栖川「みんな元気だったら良いけど…」

有栖川「みんな全国各地に住んでいるでしょ…」

有栖川「だから、また昔のようにここに集まってくれれば良いんだけれどね…」

有栖川「この住所…もう違うかもしれない…」

私「あの…他の連絡先とかって…」

有栖川「ごめんなさい…手紙でのやり取りしかしていないの…」

私「そうなんですか」

有栖川「今となれば聞いておけばよかったわね…」

私「いえいえ。大丈夫です!」

有栖川「どうする?」


私「手紙を送っても全員に届くかはわからない…」

私「なので私、皆さんを尋ねます!」

有栖川「えっ…それ本当に言っているの?」

有栖川「かなり大変なことよ…」

私「十分にわかっています」

私「でも、そうしないと叶えられないと思うんです」

有栖川「そう…」

有栖川「わかったわ…」

有栖川「それじゃあ、私からも皆んなに手紙を出しておくわね」

有栖川「あなたが訪ねている間に返事が来るかもしれないでしょ」

私「ありがとうございます!」


有栖川「ええ」


有栖川さんはそう言って微笑んだ。


有栖川「そうだ…」


有栖川さんが書斎から出て隣の部屋に向かった。

少しすると、布で包んだものを持って私たちのいる机の上に置いた。


有栖川「これ使ってちょうだい…」

有栖川「色々と必要になるでしょ」


有栖川さんは布を開けた。

布に包まれていたものはお札の束だった。


私「えっ…」

私「私、こんなの受け取れないですっ!」

有栖川「これから行くんでしょ?」

有栖川「旅の資金はあるの?」

私「いや、それは…これからみんなで貯めて…」

有栖川「間に合わないかもよ?」

有栖川「メンバーには私と同年代もいるの…」

有栖川「いつ誰が亡くなってもおかしくはないのよ」

有栖川「そうなってしまっては、あなたの望みは消えてしまう...」

有栖川「それでもいいの?」


私「それは…その…」

私「…」


有栖川「フフッ…」


有栖川さんは私の右手に両手を添えた。


有栖川「今は何よりも時間を大切にしてちょうだい…」

有栖川「お金ってね。使う人がいるから初めて役に立つものだと私は思うの…」

有栖川「私はあなたの未来が見てみたい」

有栖川「あなたが思い描く未来を…」

有栖川「私には叶えられなかった未来を…」

有栖川「あなたには叶えてほしいわ…篠崎さん…」


有栖川さんは真剣な眼差しで私に問いかけた。


有栖川「受け取ってくれるかしら」


私は頷いた。


私「私、必ず叶えてみせます!」

私「何がなんでも、絶対にっ」

私「有栖川さんに私の未来を見ていただけるように」


有栖川「フフッ…ええ。頼むわね…」


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