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忘却のグレーテ  作者: だい
第三章其の二
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物は試し

白うさぎのぺぺが私に砂時計を渡してくれた。


有栖川「あら、珍しい」

有栖川「ぺぺが初対面の人に手を差し伸べるなんて…」

有栖川「それは、オリジナルなのね」


私「ぺぺありがとう」

私「これはね。私にとって本当に大切なものなの…」


ぺぺは恥ずかしそうに頬を赤らめ、耳は垂れ下がった。


有栖川「さて、ここからなんだけど、このアイテムたちをどのように組み合わせれば、扉が開かれるのでしょうね…」


私「確かに…どうなんですかね…」


有栖川「ものは試しね。みんなで方法を挙げてみましょう」


メアリ「砂時計を本の上に置くとかかい?」

私「砂時計の砂を口に含む?」

有栖川「それは、できれば避けたいわね」

私「ええ、そうですね。はは…」

私「ネムさんは?何かある?」


ネム「うーん…砂時計の砂を本のページに振りかけるとかですかねっ…すみませんっ…わからないですっ…」


三人とも口を揃えて「あー」と言った。


私「それは、いいかも」

ネム「本当ですか!?」

私「うん!」


有栖川「ひとまず、私の記憶を元に試してみる?」

私「はい!」


有栖川「どうすればいいの?」

私「この砂を時計を見つめるだけです」

有栖川「こうかしら?」

私「はい」

私「もしかしたら、当時のことを思い出したほうがよりいいのかも…」

有栖川「わかったわ…」


有栖川さんは砂時計を見つめた。


有栖川「アリス…また、あなたに会いたいわ…」

有栖川「みんなとのお茶会…楽しかったな…」


有栖川さんは砂時計を見つめ涙を目に浮かべた。


私(私と同じだ。やっぱり、有栖川さんも会いたいんだ…)

私(そりゃ…会いたいよね。会いたいと思ってなければ、ここまで調べたりしないよ)


有栖川「ごめんね。恥ずかしいわ…こんな姿を見られて…」


私「いいえ…お綺麗です」

私「少なくとも私はそう思いましたよ」


有栖川「ありがとう…」

有栖川「これで、いいのかしら…」


私「ええ…」


有栖川「これ、私の絵本」

私「これがっ!」

有栖川「そうよ…」


有栖川さんから渡された『不思議の国のアリス』と書かれた絵本は、表紙が青くとても綺麗だった。


私「綺麗っ」

私「お借りします!」


有栖川さんが微笑む。


私「それじゃあ、やってみますね!」

有栖川「うん」

有栖川「久方ぶりにワクワクするわっ!」


私は砂時計を本の上に置いた。


私「ん?」


暫く経ったが何も起きなかった。


私「ダメかー…」


私「じゃあ、瓶の部分を砕いて砂を口に入れる?」


メアリ「それは、最後でいいんじゃないか?」

メアリ「ひとまず、砕いて本にかけてみれば?」

私「そうね!」


私は砂時計の瓶の部分を有栖川さんから借りたハンマーで叩き割った。


すると、金色の筋のようなものと青色のモヤのようなものが出てきた。


私「うわぁ…」

私「これが記憶…」


私は、中から出てきた砂を片手ですくい、を絵本のページをめくった。


私「有栖川さん。失礼します」

有栖川「ええ」


私はその砂を絵本に振りかけた。


すると、絵本から青い閃光が放たれた。


私「きたー!」


絵本のページに絵が浮かび上がった。


有栖川「…この絵…何年振りなの…」


有栖川さんが絵本を手に取った。


有栖川「アリス…」


だが、有栖川さんが絵本を手に取ってからすぐに、閃光は消え、絵本のページは元の白紙に戻った。


有栖川「やっぱり一時的なのね…」

有栖川「また、あなたに会いたいわアリス…」


有栖川「これで、わかったわね」

有栖川「彼方の世界へ飛び込むのは一瞬だけ」

有栖川「また、それと同時にあっちに居られるのもせいぜい、一日ぐらいかしら」

有栖川「正確にはわからないけれど」

私「期限を過ぎるとどうなるんですかね」

有栖川「わからないわ…」

有栖川「絵本の中に閉じ込められて、あちらの世界と共に消滅する」

有栖川「もしくは、自動的にこちらの世界に引き戻される」


有栖川「それでも、行く?」

私「はい!」

有栖川「迷いないのね…」

私「はい!」


有栖川「そう…フフッ…」


メアリ「まぁ、それはそうとして、肝心な『少女の宝は?」


私「確かに…なんだろう」

私「みんなそれぞれ違うのかな…」

有栖川「どうなんだろう…」

有栖川「さくらが言っていたニュアンス的には、みんな同じような気がするんだけど…」


ネム「髪とか?」


私「あー。なるほどー」

有栖川「確かに。髪は女性の命って言うものね」

メアリ「ナイスじゃん。ネム」

ネム「いや、わからないですよっ」

ネム「他のものかもしれませんし…」


私「いや、私はそれだと思うな」

ネム「本当ですか?」

私「うんっ!」


私「それじゃあ、まとめるとこれからしないといけないことは二つあって…」

私「『迷える少女の会』のメンバーから絵本を借りること」

私「そして、皆さんから当時の記憶をもらうこと…かな?」


有栖川「うん。そうね…」


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