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忘却のグレーテ  作者: だい
第三章其の二
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竹取物語⑤

有栖川「ここからね。いきなり、あちらの世界へまた転移したところから始まるの」

私「そうなんですか!」

有栖川「うん…」

有栖川「戻れた理由として、私的にはかぐや姫からもらった贈り物が何か関係してるように思うんだけど、ここからのお話はもしかしたら彼女の妄想なのかもしれないわ…」

有栖川「続き…読む?」

私「はい。お願いします」

有栖川「わかったわ…」


さくら「また、私はあの世界へ戻ってきた」

さくら「まだ、あの世界が凍りつく前の時間に…」

さくら「かぐや。待っててね…と心の中で必ず助けると決意した」

さくら「この空…間違いない。天人が迎えにくる日だ」

さくら「時間がない…」

さくら「今頃、おじいさんの家でかぐやと私、そして、おじいさんたちがお別れの挨拶をしているんだろう…」

さくら「なんとしてでも、帝から弓を奪わないと…」

さくら「私は全力で帝のある城まで向かった」

さくら「幸い、お侍さん達はかぐやの方に向かっているから城は無防備だった」

さくら「城に着いた。まずい!かぐやが黄色い雲に足をかけようとするのが見えた」

さくら「『急がないと!』」

さくら「私はお城の階段をひたすら駆け上がった」

さくら「『お願いっ!間に合って…』」

さくら「なんとか最上階まで駆け上がることができた」

さくら「かぐやが黄色い雲に乗って地上から離れていくのが上から見えた」

さくら「帝が、かぐやをめがけて、弓を構える」


さくら「『ダメ!』」

さくら「私は帝から弓を取り上げようとした」

さくら「帝は『こらっ!放せ!』と対抗した」

さくら「帝と私は揉み合いになった」

さくら「帝に顔や手などを足で蹴られた…」

さくら「でも、私は帝の弓を決して離さなかった…」


さくら「そして、私は宙を浮いた…」

さくら「弓のことばかりに気を取られ、私の体は手すりから外に出た…」


さくら「私の手には帝の弓が…」

さくら「『かぐやを救えてよかった』と思った…」

さくら「『かぐや…月でも元気でね…』」

さくら「『お姉ちゃんはね。本当にあなたのことが…』」


さくら「私は真っ逆さまに落下した…」

さくら「私は目を瞑り、おっとうとおっかあの顔が頭に浮かぶ」

さくら「私はこんなかたちで死ぬのかって思った…」


さくら「でも、気がつくと誰かに体を抱えられていた…」

さくら「『さくらお姉ちゃん…』」

さくら「『さくらお姉ちゃんっ起きて!』と親しい声がした…」

さくら「目を開けると、そこには、かぐやが…」

さくら「『さくらお姉ちゃん…』」

さくら「『かぐや…』」

さくら「『もうっ!こんなにボロボロになってまで…』」

さくら「『バカッ!』って言われた…」 

さくら「かぐやは私を抱えながら宙に浮いているようだった…」

さくら「『記憶は?』って聞くと」

さくら「『一旦はなくしたよ。でも勝手に体が動いて…』って」

さくら「『記憶はなくても体はさくらお姉ちゃんを覚えていたみたい』って、かぐやは言った」

さくら「私を抱えた時、記憶がもとに戻ったみたいで…」

さくら「『こんな姿にさせてごめんね。ごめんね』と私に何度も何度もかぐやは謝った」

さくら「そして、私は言った。『妹を守るのがお姉ちゃんの役目でしょっ』って…」

さくら「かぐやは月を見上げた」

さくら「『行っておいで…』」

さくら「『私はわかっているから…』と伝えた」

さくら「かぐやは『うん』と言って頷いた」

さくら「かぐやは私を抱えたまま、おじいさんの元へ舞い降りた」

さくら「そして、私をゆっくりとおばあさんの腕の中へ」

さくら「私たちは口を揃えて言った…」


さくら『ずっと私たちは姉妹なんだから…』


有栖川「お話はここまでなの…」

有栖川「そして最後にこう書かれてた」

有栖川「『八つの世界を巡り歩き、少女の宝を手にした時、未来は自ずと切り開かれるだろう』って…」


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