表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却のグレーテ  作者: だい
第一章
7/113

買い出し

私はいつものように奇声を上げて怯えた。


ジャック「はぁ。もう起きたのかい…」


ジャックはベッドから起きて砂時計を持ちながら私に近づいた。


私「へぇ〜っ…」

私「なっ何っ?何なんですかっ!?」

私「あなた誰っ!誰なのっ!」


ジャック「まぁまぁ、そう言わず」

ジャック「これを見つめておくれ」


ジャック「僕もキミに怯えられながら、毎日これをするのかと思うとゾッとするよ…」

ジャック「早く記憶を取り戻してもらいたいものだね…」


砂時計を見つめた。


私「あっ…ジャックっ!」

私「おはようっ!」

私「いい目覚めねっ!」


私はベットの上に飛び上がった。


ジャック「今日も元気だね…」


ジャックの顔を見た。


私「ジャックどうしたの?あなたその顔っ!」

私「ひどくやつれているような…」


ジャック「キミのおかげさ…」


ジャックから昨夜あったことを聞いた。


私「そんなっ!そんなに大変なことがあったのっ!?」


私「ごめん…そんなことも知らずに…」


ジャック「気にすることはないよ…」

ジャック「なんだか楽しそうな夢を見ていたようだし…」


私「え?」

ジャック「いいや。なんでもない」


ジャック「さてさて、キミの戦利金で買い出しにでも行こうか…」


ジャック「おっとっと…」


ジャックはベッドから立ち上がった時によろけた。


私「ううん...ジャックは寝てて…」

ジャック「大丈夫さ。またキミが襲われたらいけないからね」


私「ダーメっ!」


ジャック「…」

ジャック「そうかい。じゃあ、お言葉に甘えて少し横にならせてもらおうかな…」


ジャック「でも、本当に一人で大丈夫なのかい?」


私「…大丈夫っ!」


ジャック「そう…」


私「ご飯も買ってくるね!」

ジャック「うん」


私「行って来ます!」

ジャック「行ってらっしゃい」


一人で買い出しに出かけ、下に降りた。


私( なんだか一人で何かをするの初めてかも…)

私( ジャックがいないとこんなにも不安な気持ちになるんだ…)

私( そもそも私、これからどこに行けばいいの…)


私( 人も多いし...)


暫く宿屋から出て、通路で一人立ち尽くした。


私( 悩んでいても仕方ない…)


私「頑張れっ!私」


私( まず、必要なものを…)


私( まず、テント。ジャックが一日では行けないって言ってたし...)


私( ってあれ?)


目からポロポロと涙が流れた。


私( あれ…おかしいな…一人で頑張るって決めたのに…)

私( 何で…何で泣いちゃっているの…)


服の袖で涙を拭った。


私( 泣いてちゃ駄目だよ…)

私( 頑張らないと…頑張らないと…)


?「あれ?もしかして、昨日いらしてくれた方ですよね?」


私「え?」


?「覚えてらっしゃらないですか?私のこと…」


私「もしかして…」

?「はい。マリナです」

私「あっ…マリナちゃんだ」

マリナ「はいっ!」


マリナ「どうしたんですか?」


私「実は恥ずかしいんだけれど…」

私「一人で買い物するのは初めてでなんだか怖くなっちゃって…」


マリナ「そうだったんですね」

マリナ「大丈夫。大丈夫ですよー」


マリナちゃんは優しく私の頭を撫でてくれた。


私「フフッ…ありがとう」


マリナ「私この後、用事がないのでお買い物手伝いますよ」

私「えっ!いいのぉ?」


マリナ「ええ…」


私「ありがとー」

私「とっても助かるー!」


マリナ「はい」

マリナ「あっ…まだお名前聞いていませんでしたね」

マリナ「お名前って…」


私「あっ…そうだったっけ」

私「ごめん。言ってなかった…」

私「私、グレーテ」


マリナ「カワイイお名前ですね」

私「そんなことないよー...」

私「マリナちゃんだって、とっても可愛いお名前ー」


マリナ「ワンちゃんみたいで」

私 「ワンちゃん?」


・・・

・・・

・・・


沈黙ともにビューっと風が吹いた。


マリナ「ごめんなさいっ!私、すぐ思ったこと言っちゃうんです...」


私「ううん。大丈夫ー。大丈夫だよー…」

私「大丈夫…」


私( 『グレーテ』って犬に付けるような名前…なんだ…)

私( ジャックのやつ〜。私になんて名前付けてくれたのっ!)


私「それよりも、泣いているところ見られちゃったね...」


マリナ「いえいえ。女の子ってみんなそうゆう時ありますよ」


マリナ「私だって、初めてお仕事した日の夜は泣いていましたし…」


私「そうなんだ…」

私「ありがとう。マリナちゃんっ!」

私「なんだか気が晴れた」

マリナ「よかったです」


マリナ「じゃあ、行きましょうか」

私「うん!」


その後、マリナちゃんに色々なお店を紹介してもらいながら、買い物を済ませていった。


広場の噴水近くのベンチで少し休憩することに。


私「そうだ。マリナちゃんっていくつなの?」

マリナ「私、ですか?十四です」

私「えっ…私と同じ」

マリナ「えっ!そうなんですか?!」

私「うん!」


私「なんだか嬉しいなぁ」

マリナ「私もです」


私「あのね。マリナちゃん」

私「お願いがあるんだけど...」

マリナ「なんですか?」


私「私とー。私とー…」

私「お友達になってくれたりー…しないですか?!」


マリナ「…」


私「いや、嫌だったらいいんだよっ!」

私「私、お友達いなくてさ...」

私「ごめんね」


マリナ「…嬉しい」


私「えっ」


マリナ「私…私もお友達いないんです…」


マリナ「こんなこと言われたの初めてで…」

マリナ「どうしていいかわからなかった…」


マリナ「とっても嬉しい」


私「本当に!?」

マリナ「はい。こんな…私でよければ…ですが…」


私「こんな…じゃないよっ!」

私「マリナちゃんはとっても。とっても素敵っ!」


マリナ「そんなっ!恥ずかしいですっ!」


私「やった」

私「マリナちゃんとお友達になれたぞーっ!」


マリナ「フフッ」

私「フフッ」


私「マリナちゃんよろしくねっ!」


マリナ「うんっ!」

マリナ「グーちゃんもよろしくっ!」


私「グーちゃん?」

私「ごめん。グレーテちゃんだったら、なんだか呼び辛くて…」


私「それ気に入ったっ!」

私「私はグーちゃん」

マリナ「うんっ!」


その後、すべての買い出しを終えてお昼時になった。


私「マリナちゃん今日はありがとうね」

私「必要なものすべて揃った」


マリナ「ううん。私もグーちゃんとのお買い物すっごく楽しかったっ!」

私「私もー」


私「もしよかったら、一緒に私の宿でご飯食べていく?」

マリナ「いいの?」

私「うん。せめてものお礼をさせて」

マリナ「ありがとう」


私「何かこの辺で美味しいものって知ってる?」

私「すっごく美味しいものが食べたい」

私「どれだけ高くてもいい」


マリナ「うーん…」

マリナ「オーク肉のステーキ重とか?」

マリナ「なーんちゃって…」


私「オークって、もしかしてあの人型の豚?」

マリナ「うん。でも、オーク肉は高すぎてお貴族の人しか食べられないの」

マリナ「私も一度食べてみたいなとは思ってるんんだけどねぇ…」


私「へー。そうなんだ。じゃあ、それにしよ!」


マリナ「えっ!冗談で言っただけ」

マリナ「高いよっ!あれっ!」


私「へっへー。大丈夫っ!」


私「私も気になるしー」

私「ジュルジュルッ」


マリナ「じゃ、じゃあお店案内するね」

マリナ「本当に行くの!?」


私「行くよっ!」

マリナ「そう…」


お店へと向かった。


マリナ「ここ」

私「え?!なんだかすごく綺麗なお店」


マリナ「私も入ったことない」

マリナ「そもそもこの辺り歩いたことないし…」

私「緊張するね」


入店した。


店の人「いらっしゃいませ。ようこそ『ラ・ウィック』へ」

店の人「ん?下民か」

店の人「下民は出て行けっ!」


私「まぁ、そう来ると思ってた」


私「オークのステーキ重を三つ!」


店の人「お前にそんなお金はないだろ」

店の人「身なりも汚いし…お前たちがいるだけで肉が腐る」

店の人「早く出て行け」


一枚、一万ベルクの正金貨をカウンターに置いた。


店の人「ん?」

店の人「えっ!」

店の人「とっとんだご無礼をっ!」

店の人「オークのステーキ重を三つ!ただいまご用意いたします」

店の人「六千ベルクですー!」


私「六千ベルクっ!高いっ!バーバラさんの宿、何日分よ」


余裕な様子で支払いを済ませた。内心余裕ではなかったけど...


ステーキ重を手に外に出た。

これがステーキ重ー。いい匂い。


マリナ「正金貨なんて私、初めてみた」

マリナ「グーちゃんって、本当はお貴族様?」

私「違う。ただの野良犬ですよ〜」


私「ワンッ」


マリナ「フフッ…グーちゃんたら面白い」

私「フフッ…じゃあ、行こっか」

マリナ「うん!」


宿に戻った。


私「ジャックー。帰ったよ」

ジャック「うん。おかえりー。ってその子は?」


私「うん。マリナちゃん。買い物手伝ってくれたんだ」


マリナちゃんは私の後ろに隠れた。



私「どうしたの?」


マリナちゃんは小声でつぶやいた。


マリナ「あの人だれ?」


私「あっそっかー。マリナちゃんって、メイクしているジャックしか知らないもんねー」

私「覚えてない?ピエロの」

マリナ「あー。えっ!あの人なの!?」

私「うん。そうだよ」

マリナ「えぇ〜」


マリナちゃんは頬を赤らめていた。


私( あっ。はっはーん。そうゆうことね。マリナちゃんってジャックのこと〜)


ジャック「ちょっとキミ!」

マリナ「はい」

ジャック「こっちに来てくれるかい?

マリナ「はぁあ…はい!」


ジャックはマリナちゃんの顎を指で持ち上げて、首元の匂いを嗅いだ。


マリナ「はっ!はぁ〜。いっ一体…なっ何を!?」

ジャック「キミは魔女の手下ではないようだね」


マリナちゃんの顔が真っ赤になった。


私( ほぉー。大胆)


ジャック「疑って済まなかった」


ジャック「ん?どうしたんだい?そんなに顔を赤くして、熱でもあるのかな?」


ジャックがマリナちゃんの額に手の平をあてようとした。


マリナ「はっ!はぁ〜い!」

マリナちゃんがのけぞり、後ろに倒れ込んだ。

マリナ「はぁ〜」


ジャック「大丈夫かい?」


マリナ「はぁ〜」


私「これは落ちましたな…」

私「責任取れよジャック」


ジャック「本当に大丈夫?」

マリナ「はぁい。本当にだっ大丈夫ですので、それ以上こっちには」

ジャック「あれ?嫌われちゃったかな?」


マリナ「違うんです!好きですっ!」

マリナ「あっ好きって言っちゃった…」

マリナ「あぁ〜。どうしよう…」

マリナ「もう。私ったらもー。バカー!」


ジャック「大丈夫?」


マリナ「はぁ〜」

マリナ「グーちゃんごめんっ!私、これ以上耐えられないっ!」

マリナ「今日は帰るねっ!」

私「じゃあ、これ一つ持って帰って」

マリナ「うん。ありがとう!」


マリナちゃんにお重を渡し、彼女は焦るように帰って行った。


ジャック「あれれ…帰っちゃったね」

ジャック「みんなでごはん食べればいいのに…」


・・・


私「ジャックっ!あなた責任取りなさいよ」

ジャック「ん?なんの?」

私「はぁ...」

私「今言ったことは気にしないで」


私はジャックに何から説明すればいいのかわからなかった。


私「それよりも、ごはん食べよっ!」

私「見てこれ!」

ジャック「それ!まさかオーク肉?!」

私「そう」


ジャックが飛び起きた。


私「食べよ!」

ジャック「うん!」


私「うっまーい!」

ジャック「うっまーい!」


それ以上においしい思いをしたマリナちゃんだった...

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ