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忘却のグレーテ  作者: だい
第三章其の一
69/116

方法

——翌日——


朝六時に目が覚めリビングへ向かった。

テレビを付けて、電気ケトルのスイッチをいれた。


「ガチャッ」

メアリさんが起きてきた。


私「ごめん。起こしちゃったかな」


メアリ「ううん。もう起きてたよ」

私「そう...ならよかった...」


私「おはようございます…」

メアリ「うん。朱音ちゃん。おはよう」


私「朱音ちゃんって…」


メアリ「ごめん。ずっと、アンタって言ってたからさ」

メアリ「そう呼んだ方がいいのかなって思って...」

メアリ「嫌だったら別に…」


私「ううん…」

私「嬉しい」


メアリ「そう…」

メアリ「なら、よかった…」

メアリ「あと、私たちに対しても気軽に話してくれたっていいんだよ」

私「うん。わかった」


メアリ「まだ、ネムは寝てるみたいだね…」

メアリ「あの子ずっと寝言でさ」

メアリ「魔王様、魔王様って…」

メアリ「あいつのことを本当に思っているんだろうねぇ…」

メアリ「今となってはあんな裏切り者のどこがいいのか私にはわからないよ…」


私「あの...」

私「実はね…」

私「今でも迷っているの…」

私「魔王をどうするのかって…」


私「正直言って、私まだあの人のこと許せない...」


メアリ「まぁ、そうだろうね」

メアリ「そう簡単には…」


ネムさんが部屋から顔を出した。


メアリ「おはよう」

私「おはよう」

ネム「おはようございます…」


私「あっ...そうだ」

私「二人ともコーヒーでいい?」


メアリ「うん!」

ネム「はい」


私「はーい」


三人分のカップを用意してコーヒーを淹れた。


私「はい」

メアリ「ありがとう」

ネム「ありがとうございます」


私「あのね…これからのことについて昨日の夜考えてたんだ…」

私「一つの方法としてはあるのかなって思って...」

私「話してもいい?」


メアリ「あぁ。頼むよ」

ネム「お願いします」


私「小説を書いてようかなって...」


メアリ「ん?小説?」

メアリ「小説って本を書くあれかい?」


私「うん。そう…」


メアリ「うーん…いまいち話が繋がらないんだけど…」


私「実はね。二人が元いた世界はこの世界の人が考えたお話の世界なの...」


私「ちょっと待ってて」


私は自分の部屋の絵本を手に取り、リビングへ戻った。


私「これ...」

私「『ヘンゼルとグレーテル』というお話」

私「この絵本のお話はね」

私「あの世界の一部を切り取ったようなもの...」


私「でも、それでどうやってみんなを助けるのかなんだけど...」


私「私があの世界のお話を上書きする」


私「それで、物語の認識を多くの人から変える」

私「私があっちの世界で経験したことを通じて」

私「私たちのような結末にはならないように...」

私「みんなが幸せになれるように...」

私「物語を書き換える」


私「そして、私たちの大切な人を物語の中で生き返らせる」


私「でも、それが叶ったとしても、私たちがあっちの世界に戻れるかはわからない...」

私「そもそも生き返らせること自体が難しいかもしれない...」


私「ごめん...」

私「こんな方法しか思いつかなかった...」


私「実は、バーバラさんも以前、この世界の人の認識を変えようとしたの...」

私「でも、それは叶わなかった...」

私「だから...」


メアリ「いいじゃないか」

メアリ「ねっ...ネム」


ネム「はい...いいと思います」

ネム「他に方法がない今はこれでいいかと」


私「そう...よかった」


メアリ「小説の名前は決まっているのかい?」


私「うん」


私「小説の名前は...」


私「『忘却のグレーテ』」


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