新たな歩み
ネム「ここは...」
私「私の家...」
メアリ「じゃあ、ここはもう 別の世界ってことかい...」
カノン「あぁ。そうだ」
メアリ「そうかい...」
三人ともで三角座りをしてしばらく沈黙が続いた。
メアリ「これからどうしたものかね...」
私「うーん...」
私「今日は...もう休もう...」
私「みんな疲れたでしょ...」
私「これからのことについては明日話そう...」
メアリ「そう...だね...」
ネム「はい...」
私「じゃあ、メアリさんとネムさんはお父さんとお母さんの部屋を使って」
メアリ「ありがとうね...」
ネム「ありがとうございます...」
私「じゃあ、私何か食べるもの探してくる」
私は自分の部屋からキッチンに向かおうとした。
メアリ「あのさ...一つだけ聞きたいことがあって...」
メアリ「...いいかい?」
私「ん?」
メアリ「なんで...」
メアリ「なんでアンタ...私らを助けたんだい?」
ネム「それは私も気になりました...」
私「それはね...」
私「後悔して欲しくなかったの...」
私「私みたいに...」
私「私はただそれを思っただけ...」
私「だから、助けた...」
メアリ「アンタ、私らが憎くはないのかい?」
メアリ「私らはね。アンタを騙していたんだよ。私なんてアンタの大切なものを目の前で...」
私「...」
私「もう...何も...」
私「何も思っていないよ...」
私「私ね...二人の本音を聞いてこう思ったの...」
私「私と...同じ...」
私「私と同じだって...」
私「心残り...あるんだって...」
私「本当に望んでいることは別にあるんだって...」
私「でも、それは『死』っていう覆せないものだから諦めざるを得ないんだって...」
私「そう思ったの...」
私「そりゃそうよね...一度、死んだ者は生き返らない...」
私「それは誰もが知っていること...」
私「この世の理...」
私「でも、残された者は時間をかけながらもその事実をゆっくりと受け入れていくしかない...」
私「生き続けるのであればね...」
私「そして、あなた達は『死』を望んだ...」
私「...........」
私「私こそごめんっ!」
私「無責任に『諦めないで!』なんて言って...」
私「実は...実はまだ方法がないの...」
私「この先、その方法が存在するかもわからない...」
私「さっきは思いが昂って...勢いで連れてきてしまった...」
私「ごめんさいっ!」
メアリ「やっぱり、そうなのかい...」
メアリ「方法は...まだないんだね...」
メアリ「アンタって子は本当に後先を考えず行動するんだね...」
メアリ「振り回される私らの身にもなってごらんよ...」
私「本当に...本当に...ごめんなさいっ!」
私は二人に頭を下げて謝った。
メアリ「...」
ネム「...」
メアリ「...フフッ」
ネム「...フフッ」
メアリ「...ククッ...」
ネム「...クックック...」
私「え...何?」
メアリ「えっ...何だって...」
メアリ「ハッハッハッハッ」
ネム「フフッ」
二人は大声で笑いこけた。
メアリ「ハッハッ...なんで...なんでアンタが謝るんだよ...」
ネム「フフッ」
私「ん?どうゆうこと?」
メアリ「ハッハッ...アンタって子は本当にお人好しだねぇ...」
ネム「...フフッ...フフッ」
私「え?...なんで...二人とも...」
メアリ「ちょっと、からかっただけさ...」
メアリ「ハッハッハッハッ」
メアリ「...フフッ...フフッ」
私「もう!ひどいっ!」
メアリ「ハッハッハッハッ...ごめんごめん」
メアリさんが私に手を合わせて謝った。
メアリ「久しぶりに腹が捩れたよ」
メアリ「少なくとも私はアンタにそんなことは思っていないよ...」
メアリ「それよりか感謝しているのさ...アンタにね...」
私「え?」
メアリ「私はね。アンタの言葉で目が覚めたのさ...」
メアリ「自分が望んでいることは『死』じゃないって...」
メアリ「もう一度妹に会いたい...一緒にまた暮らしたい...それが私が真に望んでいることだって...」
メアリ「そう気付かされた...」
メアリ「たとえそれが不可能でも、抗ってみたい!」
メアリ「アンタのように諦めず抗ってみたい!」
メアリ「そう思ったのさ...」
メアリ「そう思わせてくれた...」
メアリ「ありがとうね...」
メアリ「私はね...もう諦めないよ!」
メアリ「たとえアンタが諦めても諦めない」
メアリ「何年かかってもさ...この胸の鼓動が止まない限り私は諦めない」
メアリ「そう決めた...」
ネム「私もです。グレーテさん...」
ネム「私も諦めたくありません!」
ネム「次こそは...次こそは必ず彼に私の思いを伝えたいです!」
ネム「彼を孤独から救ってあげたい...」
私「二人とも...」
メアリ「うん...」
ネム「うん...」
「グゥー...」
誰かのお腹が鳴った。
メアリ「アンタ...腹が減っているんだねー...」
メアリ「相変わらず食いしん坊かい?」
私「えっ...今の私じゃないってっ!」
メアリ「えっ...」
「・・・・・」
ネム「あの〜...」
ネム「私です...」
ネムさんが頬を赤らめて言った。
私 (カワイイっ!)