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忘却のグレーテ  作者: だい
第二章
65/116

崩壊

番人が腕時計を見る。


番人「それではグレーテ様...ご挨拶を...」

番人「できれば手短にお願い致しますね」


私「はい...」


私「みんな...」

私「私、」

私「私、頑張るからっ!」


私「みんなの分まで精一杯...」

私「精一杯...生きるからっ!」


私 (本当は泣きたい...)

私 (でも、みんなに心配させたくない...)

私 (だから...泣かない...)


私 (私の笑顔をみんなに…みんなに!)


ジャック「グレーテ...」

シェイド「主...」

マリナ「グーちゃん...」

ミリア「お姉ちゃん...」

バーバラ「朱音ちゃん...」

グリフォン「グガァー...」

お父さん「朱音...」

お母さん「朱音...」

葵「朱音...」


みんな「ガ・ン・バ・レー! グガァー!」


私「...うん!」


私「ありがとう…」


みんなが微笑んでいるかのように私の目には浮かんだ。


番人がこちらの馬車に向かってくる。


番人「よろしいので?」

私「...」

私「はい...」


番人が馬車の扉を閉めようとする。


私「あの...私が...」

私「私が閉めても...いいでしょうか?」


番人「ええ。構いませんよ」


私は扉を手にかけゆっくりと

ゆっくりと扉を閉めた。


私 (愛してる...ずっと...ずっとずっと...)


私 「愛してる...」

私「愛してるよ...みんな…」


私「...っううっうっ...」


私 (最後まで泣かないって決めたのにっ!)

私 (みんなが心配しないよう泣かないって決めたのにっ!)


番人「グレーテ様...それでは...」


番人が私に向かってお辞儀をした。


私「...っううっうっ...」


私「どうかみんなを最後までお願いします…」


私は番人に向かって深くお辞儀をした。



馬車が動き出す。

馬車が向かい側にもう一つの門が現れた。



門の扉が開く。


魔王「フフッ...」

魔王「フッハッハッハー!」


魔王が不気味な高笑いを上げた。


馬車は魔王を乗せたまま門を潜り抜ける。


みんなを乗せた馬車も門の奥へ...


私「...っううっっうっ...」


私「さようなら…」

私「さようなら…私のみんな…」


門に向かい、両手組んで祈った。


私「どうか…どうか…」


両側の門がゆっくりと閉じた。


そして、一瞬にして元の王室に戻った。



その場で膝をついてうずくまった。


私「っううっ…うっ…」


王の間には魔王従者たちと私のみが残された。


魔王従者たちは皆、気が抜けたように落胆していた。



「ガガガガガガ...」


「パリンッ!」

花瓶が割れた。


突然激しく地面が揺れる。


私「何っ!」


マーシ「ハッハッハ!」

マーシ「魔王様だっ!さすが我らの魔王様だ!ハッハッハッ!」


パロ「これでようやくこの世界も終わりですか...」



カノン「グレーテ殿!早く我をお手に!」


私「何が起こっているのっ!」


カノン「あの魔王が破滅の魔法を最後に唱えたようです」

カノン「この世界は…」

カノン「もう…」


私「そんな…なんで…」

私「みんなの犠牲はなんだって言うの…」

私「みんなは何のためにっ!」

私「何のために…」


私「みんなの犠牲はなんだったって言うのよ!」


私「...っううっっうっ...」


カノン「グレーテ殿、お気を確かに!」

カノン「我ならばグレーテ殿を元いた世界に戻せるはず」

カノン「さぁ、早く我を掴んでくだされ!」


カノンが宙を浮いて私の元へ向かってくる。


カノン「さぁ、お手を!」


私は手を伸ばさなかった。


カノン「どのようなおつもりでっ!」

カノン「皆はグレーテ殿に生きることを望まれた!」

カノン「そして、あなたは生きると決心されたのでしょう!」


私「…」


そうだ…


私は手を伸ばし聖剣を手にした。


カノン「それでは、転移する」


私「待ってっ!」


カノン「っ!」


私は聖剣を魔王従者たちの前に突き立てた。


私「あなた達このままでいいの?!」


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