表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却のグレーテ  作者: だい
第二章
64/116

魔王の憤怒

ジャック「うん。じゃあ、行こうか...」


みんなの魂が馬車の中に入っていく。


私「みんな...ありがとう...」


魔王「おいおいおいっ!」

魔王「どうなってやがる!」


魔王「約束と違うじゃないかっ!」

魔王「俺はグレーテが行くと言ったから入ったんだ!」


魔王「じゃあ、出せ!出せよ!」


「ドンッ!ドンッ!」


魔王が叫びながら馬車の扉を何度も強く蹴った。


魔王「なんで俺の力で開かないんだ!」

魔王「開けろ!」


番人「開くわけがないでしょう。あなた程度の力では...」

番人「困ったお方ですねぇ...」


魔王「おい!番人!聞こえているんだろ!」

魔王「早くここから出せ!」


番人「できませんよ。そんなことは...」

番人「だって、あなた...送られる身なのですから」

番人「フフッ...」


魔王「ふざけるな!」


魔王「あっ...外からは開けられるんだったな」


魔王「おい。パロッ!さっさと開けろ!」

魔王「聞こえているんだろ!」



「・・・・・・・」



魔王「おい!パロッ!」


パロ「はい。魔王様。聞こえていますよ」


魔王「さっさと開けろ!」


パロ「いいえ。開けませんが...」


魔王「はぁ!お前何を考えてやがる!」


パロ「お前何を考えてやがる!...ですか...その言葉そっくりお返しさせていただいます」


魔王「おい!どうゆうことだ!」


パロ「魔王様。我々、従者は何故あなたに従えていたのかを覚えていらっしゃいますか?」


魔王「それは...あっ!」


パロ「そう。我々従者はこの世界に絶望した者の集まりなのですよ...」

パロ「そして、あなた様は我々に約束をしてくれました」


パロ「望みが済めばこの世界ごと我々を消してやると...」

パロ「我々はあなた様をずっと信じて共に歩んできました...」


パロ「ですが、蓋を開けてみればどうですか...」

パロ「この頃のあなた様といえば、ずっとグレーテ様のことばかり...」

パロ「それでも最後には叶えてくださると我々は信じていました」


パロ「そして、先ほどあなた様の言動をもって確信したのです」


パロ「あなた様はただご自身の欲望のままに動いているのだと...」

パロ「我々なんぞどうでもよいのだと...」

パロ「我々の望みを叶えるつもりなど端からないのだと...」


パロ「ですので、番人のお方...さっさと連れて行ってください...」


魔王「裏切ったな!パロっ!」


パロ「裏切った?」

パロ「フフッ...」

パロ「笑わせてくれますね」


パロ「ご自身で仰ったように、魔王とはそうゆうものなのでしょう」

パロ「それは逆も然りなのでは?」


魔王「おい!パロっ!お前許さんぞ!」

魔王「お前なんぞ!」


パロ「どうぞお好きに...できるものならばですが...」

パロ「そもそも私は生あることに対して未練などございません...」


魔王「おい!パロっ!お前はそうかもしれんが他の者だ!」


パロ「ええ。構いませんが...」


パロ「私はただ、あなた様が駄駄を捏ねる『クソガキ』のようにしか見えて仕方ありません...」

パロ「あなたのような者をずっと尊敬していた私が恥ずかしいばかりです」

パロ「いいではありませんか。誠に人間らしくて...」


魔王「俺を...俺様をぉ!人間呼ばわりしやがってっ!」

魔王「パーロォっ!」


パロ「必死ですね。フフッ...」

パロ「まぁ、いいでしょう...」


パロ「リベラ」


パロ「さぁ、助けたいと思われるお方はどうぞお好きに...」

パロ「ですが、私は全力で阻止しますが...」


パロが魔法を唱え、従者たちから触手のようなものが消え去った。

しかし、その場から急いで向かう者はいなかった。



メアリ「番人さん...早く送ってくださいな...目障り、ですので...」

メアリ「人間なんて本当に穢らわしい生き物よ...」

メアリ「妹の体をおもちゃのように弄んだ人間どもが私は許せなかった...」

メアリ「人間の男を信じたばかりに...」

メアリ「それで...妹は...自分で...」


メアリ「私はそんな人間が蔓延るこの世界が大嫌い!」

メアリ「だから、私はあなたを信じていたのに...」

メアリ「信じて...いたのに...」

メアリ「所詮、あなたも同じなのね」


マーシ「魔王様...僕は絶望しましたよ」

マーシ「この世界に...そして...あなたにも...」

マーシ「僕は人間とエルフ族が手を取り合える未来を描いていた」

マーシ「そして、僕はその橋渡しをしようとした」

マーシ「族長に直談判し、なんとか話をつけることができた」

マーシ「なのに...なのに...」

マーシ「人間どもは欲望のままに動き、村を襲った...」

マーシ「多くの人が切り殺され、村は野焼きにされた...」

マーシ「人間どもはそれだけでなく、女、子どもを連れ去り、奴隷にした...」

マーシ「僕は許せなかった...」

マーシ「橋渡しをした自分が!欲望高い人間がぁ!」

マーシ「そして、あなたを信じたのに...」

マーシ「信じたのに...」


店主「私もお二人と同じようあなた様を信じておりました」

店主「絶望したこの世界に何の意味もない...」

店主「なのに...」


ネム「魔王様...私は...私はあなた様を心から慕っております」

ネム「私はあなた様に裏切られようとも...」

ネム「ずっと私は...あなた様を」


ネムは魔王の元へ向かおうとした。


パロ「ふーん...」

パロ「やはり、あなただけはそうでしたか...」

パロ「リストレイン」


再び触手のようなものがネムに絡みつく。


ネム「うっ...離してください!」

ネム「ううっ...」


パロ「すみませんね。面倒なことは嫌いでして...」


魔王「お・ま・えらぁー!」


「ドンッ!ドンッ!ドンッ!」


魔王が再び馬車のドアを強く蹴った。



番人「おやおや。困ったお方ですねぇ...」

番人「この神聖な場において...」



番人が魔王の馬車に向かった。


そして、魔王が乗る馬車の扉を開けた。


魔王「まさか番人自ら開けやがったか!へへっ...」

魔王「俺は適任ではないってか?」

魔王「さぁ、さっさと俺を出せ!」


番人「いいえ。何の勘違いを?」

番人「あなたが送られる身であることは、すでに確定しております」

番人「ただ私はあなたを黙らせに来たのですよ...」



番人は右目の眼帯を上にずらした。

番人の右目から青い炎のようなものが燃え上がり、眼球には黄色い紋章のようなものが刻まれていた。



番人「一界の魔王ごときが出しゃばるな...」


魔王「なぜ!あなたがここにっ!」


「バンっ!」


番人は勢いよく馬車のドアを閉めた。


番人は眼帯で再び右目を隠した。


番人「おっと...こりゃ失礼...」


番人「それでは、グレーテ様...皆様に最後のご挨拶を...」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ