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忘却のグレーテ  作者: だい
第二章
63/116

みんなの願い

番人「あのー。そろそろお話を...」


ジャック「あぁ。すまない。すまない」


私 (なんだかとても嫌な予感がする...)



ジャック「グレーテ...実はね...」

ジャック「そこの番人と私たちは契約を交わしたんだ...」


私 「え...まさか...」

私 「私の代わりに...とか言わないでよね...」

私 「ねっ...違うよねっ!」


ジャック「...」

ジャック「うん...」


私 「それはダメ!絶対にダメ!」


ジャック「そう言うと思ったよ...」

ジャック「グレーテ。でも、これはみんなと決めたことなんだ...」

ジャック「キミがどう言おうが私たちはこの意志を曲げるつもりはないよ...」


私 「いや!そんなのイヤ!」

私 「私のためにみんなが犠牲になるなんて...」

私 「そんなの...」


私 「失いたくないの...」

私 「私これ以上は何も...何も...っううっ...」

私 「お願い...」

私 「お願いだから...っっうっ...」


ジャック「...」

ジャック「...」

ジャック「...」


ジャック「ごめんね...」


ジャック「グレーテ...」


ジャック「私もこればかりは引き下がれないんだ...」



ジャック「本当はキミにこんなことは言いたくない...」

ジャック「だけど、言わせてもらうよ...」



ジャック「それはあまりにもキミの勝手過ぎじゃないかい?」


私「えっ...」



ミリア「うん...ミリアもそう思う」

マリナ「私もそう思うよ。グーちゃん」

葵「そうだな」

グリフォン「グガァー!」

シェイド「主には申し訳ねぇが、俺もそうだ」

バーバラ「朱音ちゃん。私もそう思う」

お父さん「うん。そうだね」

お母さん「うん...私もそう思うわ」

グレーテル「私も見ていてそう思いました...」



私 「なんでっ!」

私 「なんでみんなして...」


ミリア「だって〜。お姉ちゃんは自分の人生だからって...これまで自分で決めてきたじゃん!」

ミリア「それはミリアたちだって同じだよ」

ミリア「なんでミリアたちで決めた人生をお姉ちゃんに決められないといけないの?!」


マリナ「うん。確かに!グーちゃんが自分で言っていたことに対して矛盾している」


葵「ハハッ...これはミリアに一本取られたな」


私「お兄ちゃんは!黙っててっ!」


葵「はい...」


バーバラ「朱音ちゃん。ごめんね」

バーバラ「でも、どうかみんなの気持ちを...思いを...わかってあげておくれ...」


バーバラ「みんな意地悪で言っている訳じゃないんだよ...」

バーバラ「アンタのことが大好きで...大好きでたまらないんだ...」

バーバラ「そう。大好きだから...」

バーバラ「愛している...だから」


バーバラ「アンタに生きて欲しいって...みんなそう思っているのさ...」


バーバラ「お願いだよ...わかってあげておくれよ」

バーバラ「朱音ちゃん...」


私「...っっうっ...わかった...わかったんだけど...っっうっ...」

私「まだ...気持ちの...ううっ...整理が...ううっ...つかなくて...」

私「自分...っっうっ...でも...なんだかよくわからなくて...」

私「ごめん...」


ジャック「グレーテ...ごめん...」

ジャック「ごめんね...」

ジャック「キミを悲しませるかとは思った...」

ジャック「でも、私たちの思いはしっかり伝えておきたかったんだ...」


ジャック「グレーテ...別の話になるが少し聞いておくれ...」

ジャック「さっきみんなで集まって話したことなんだけど...」

ジャック「みんな死んだ後、苦しくも...悲しくもなかったようなんだ...」

ジャック「私もだった...」

ジャック「その理由がみんな同じだったんだ...」


ジャック「なんだったと思う?」


私「ん?...なんで...」

私「わからない...」


ジャック「それはキミさ...」


ジャック「キミはどれだけ逆境に立たされようとも、自分を信じて果敢に立ち向かった...」


ジャック「私たちは自分の死を忘れるほどキミに夢中になったんだ...」

ジャック「そして、みんなキミを応援した」

ジャック「それが本人に伝わっていなくてもね」


ジャック「私もその一人さ...」


ジャック「これから私たちは一生、離れ離れ...かもしれない...」

ジャック「でも、私たち一人一人の心の中にキミは生き続けるんだ...」

ジャック「何事にも屈せず、果敢に立ち向かうキミがね」


ジャック「それはキミにも同じさ。私たち一人一人がキミの中で生き続ける...」

ジャック「私たちは心で...お互いを思い合うことで...いつだって繋がれる...」

ジャック「私はそう思うんだ...」


ジャック「グレーテ...」

ジャック「だから、そう悲しむ必要はないんだよ...」

ジャック「私たちはただ、離れ離れになるだけさ...」

ジャック「これからもずっと一緒さ」



私 (そっか...もうみんな揺るがないんだ...)

私 (みんなの思いは無碍にはできないよ)


私 (受け取ろう...みんなの思いを...)

私 (私が生きることがみんなの『望み』なんだね)


私 (わかったよ...)


私 (ジャックの言う通り。私たちはただ離れ離れになるだけ...)

私 (お互いにいつでも心で繋がり合える...)


私 (それが妄想でもいい。信じ合えば...きっと...)

私 (きっと...)


私「私の負けね...」


ジャック「わかってくれたんだね...」


私は頷いた。


私「みんな...ありがとう...」


私「...うん...」


私「私は精一杯生きる!みんなにもらった命なんだから精一杯生きる!」

私「みんなが望むように、よぼよぼのお婆ちゃんになるまで生きてやろうじゃないのっ!」


私「私は、うん!」

私「そう決めた!」


私「私は頑固だから、みんなも認める頑固者だからっ!」

私「決めたことは曲げるつもりはないよ!」

私「フフッ...」


マリナ「わぁ。不思議っ!グーちゃんの笑顔で胸が熱くなった」

ミリア「ミリアも同じ!お姉ちゃんってやっぱりすごい!」

バーバラ「本当ね。朱音ちゃんは笑った顔が一番ステキさ!綺麗さ」

シェイド「主!よぼよぼのババアになるまで、いけいけ〜!」

グリフォン「グガァー!」

お母さん「朱音の笑顔...間近で見たの何年振りなの...っっうっ...」

お母さん「がんばってね...朱音...」

お父さん「朱音...がんばれよ...」

グレーテル「とても素敵です!」


私「みんな...ありがとう!」

私「でも、シェイドはお仕置きね!」

シェイド「なんで...」


ジャック「フフッ...」

ジャック「それでこそキミさ!」

ジャック「グレーテ...これから何があっても乗り越えるんだよ!」

ジャック「キミならできるさ」


私「うんっ!」


葵「朱音...」

私「お兄ちゃん...っうっっ...」

葵「もう。そう泣くなっ...」


葵「お兄ちゃんはな!ずっと朱音の応援団長だ!」

私「...っうっっ...何それ...フフッ...」

葵「そうそう。その笑顔だ」

葵「お兄ちゃんはいつだって朱音だけのお兄ちゃんだ」

私「うんっ!」


ジャック「すまないね番人。また話が長くなってしまったようだ...」

ジャック「でも、済んだよ...」


番人「はは...そうですか...」

番人「それでは、皆様...馬車の中へ...」


ジャック「うん。じゃあ、行こうか...」


みんなの魂が馬車の中に入っていく。

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