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忘却のグレーテ  作者: だい
第二章
62/116

ずっと逢いたかった...

?「朱音...」

?「朱音...」


紫色と黄色の光の玉からはどこか懐かしい声がした。


私「え...」

私 (この声...嘘でしょ...)

私「なんでここに...」


私「っっうっっっ...」

私「ずっと...っっうっっっ...」

私「ずっと...逢いたかった...」

私「ずっと逢いたかったよ...」


私「お父さんっ!お母さんっ!」


お母さん「フフッ...」


お父さん「大きくなったな。朱音...」


お母さん「本当に...こんなにも綺麗なお姉さんになって...」


私「逢いたかった...逢いたかったよぉ...」

私「っっうっっっ...」


お父さん「朱音...」

お母さん「朱音...」


私「お父さん...」

私「お母さん...」


お母さん「久しぶりね。朱音...」

私「っっうっっっ...うん。 ううっ...」


お母さん「朱音...手の平を見せて...」


私「...うん...」


私はお母さんに手の平を見せた。


お母さん「まぁ、こんなにも大きくなって...私は小さい頃しか知らないから...」

お母さん「...そっか...」

お母さん「それだけの時間が過ぎたってことなのね...」


お母さん「あなたがすくすくと育っていく姿を間近で見たかった...」

お母さん「私の手の平で朱音が大きくなっていくことを感じたかった...」

お母さん「ううっ...」


お父さん「お母さん...」


バーバラ「私は...」

バーバラ「私はなんてことを!」

バーバラ「本当に...本当にっごめんなさいっ...」

バーバラ「謝って済む問題じゃないってことはわかっている...」

バーバラ「それでも...それでも...」


お母さん「...」


私「違うのっ」

私「お母さん...バーバラさんはね...」

私「バーバラさんはね...」


お母さん「わかってるよ...」

お母さん「すべて見ていたから...」


お母さん「お母さんもね。朱音が同じ目に遭ったら同じことをするかもしれない...」

お母さん「いいえ...私だってきっとそうする...」

お母さん「救える方法が一つでもあるならば絶対に...可能性がどれだけ低くても...」

お母さん「自分の子どもが全てなのは母親として当然のことよ」


お母さん「ねぇ。バーバラさん...」

お母さん「そう謝らないで...」


お母さん「それよりもあなたに伝えたいことがあるの...」

お母さん「ありがとう...」


お母さん「これをあなたに伝えたくて...」

お母さん「朱音を娘のように接してくれていたのをずっと見ていたの」


お母さん「私が朱音にしてあげられない分あなたがそれをしてくれた...」

お母さん「朱音はあなたのおかげで今日まで無事で生きている」

お母さん「私はそう思うの...そう思ったの」


バーバラ「それは私があなた達を...」


お母さん「ううん...それはもう過ぎたこと...」


お母さん「バーバラさん...朱音にはこれからが大事なの...」

お母さん「これからの人生が」

お母さん「あなたには私たちに謝るのではなく、それを無事に歩めるよう一緒に祈ってほしいわ...」


お母さん「朱音を側で支えてくれてありがとう」

お母さん「あなたには大変感謝しています」


お母さん「そうよね...あなた...」

お父さん「あぁ...そうだね...」

お父さん「私たちはあなたを憎んでなどいないよ」

お父さん「ありがとう...」


バーバラ「そんな...私は...ううっ...」


お母さん「ごめんね。私ばかり...あなたも朱音と話したいのに...」

お父さん「いいんだよ。お母さん...」

お父さん「お母さんは僕よりもずっと朱音のことを心配していたからね...」


お父さん「そうだ。朱音...」

お父さん「お父さんから一つお願いがあるんだ...」


私「ん?お父さん...何...」


お父さん「お父さんはずっと兄妹仲良くやってほしいんだ...」

お父さん「だから、葵を許してやってはくれないか?」


私「いやっ!」


葵「え...」


私「だって、付いて来ないって約束したのに付いて来るし...」

私「一人にしないって約束したのに...目の前で...」

私「私の目の前で...お兄ちゃんが...ううっ...」


葵「それは...」


お父さん「それはお父さんのせいだな...」

お父さん「お父さんが葵にいつも朱音を守るように頼んでいたからだな...」


お父さん「葵...よくやってくれた...」

お父さん「よく朱音を守ってくれた...」

お父さん「お父さんはそう思うんだけどな...」


葵「へへっ...」


私「何それ...」

私「そんなの許せない...」

私「なんで...なんでこんな私のために...」


お父さん「こんなじゃないよ。朱音...」

お父さん「朱音は僕の宝なんだ...」

お父さん「それも唯一無二のね」

お父さん「もちろん。葵も」

お父さん「キミが産声を上げた時、僕はこう思ったんだ...」

お父さん「この子を命に変えても守ろうって...」

お父さん「この子が望むことはすべて叶えてあげようって...」

お父さん「そう。あの日僕はそう決めた」

お父さん「日々大きくなっていく朱音を見ていて、僕はとても幸せだった」

お父さん「あの事件があってからもお父さんはずっと朱音を側で見ていたんだよ」


お父さん「そして今日、大きくなった朱音と話すことができた」

お父さん「お父さんは本当に嬉しい」

お父さん「これ以上に嬉しいことはないよ」

お父さん「いつまでも愛しているよ。朱音...」

お父さん「お父さんの自慢の娘だ」


私「...ううっ...」

私「そんなのずるい...ううっ...」

私「そんなのずる過ぎるよ...」


お父さん「お父さんのこと嫌いになった?」


私「ううっ...そんな訳ない...嫌いになる訳ないっ...」


私「大好き...私も愛している...お父さん...」


お父さん「ありがとう...朱音...」


お父さん「じゃあ、葵のことも許してくれるね?」


私「...うん...」


葵「あー。よかったー...」


私「...お兄ちゃん...」

私「...」

私「...ありがとう...」


葵「...んっ」

葵「...なんて?」


私「知らないっ!」

私「もう言わないっ!」


葵「あぁ...ジャック...難しいな...」

ジャック「あぁ...本当さ...」


黄緑色の光の玉が私の周りを飛び回る。

グリフォン「ググー!」


私「フフッ...グリフォンもありがとう...」


黒色の玉から声がした。


シェイド「よぉ...主」

私「シェイド...」

私「シェイドありがとう...」

私「私...あなたのおかげで...」


シェイド「いいんだよ。主...」


番人「あのー。そろそろお話を...」


ジャック「あぁ。すまない。すまない」

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