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忘却のグレーテ  作者: だい
第二章
59/116

ブラックパレード

私「パレードは…お好き?」


魔王「ん...?」

魔王「何のことなんだい」

魔王「突然、どうした…」


私「ねぇっ!応えて...」

私「パレードはお好き?」

魔王「あぁ...まぁ...嫌いではないが...」


私「そう...」

私「ならよかった...」


魔王「それでいったいキミは何を考えている?」


私「ごめんね...シェイド...」

私「私、やっぱり...」


私「ねぇ...魔王...」


魔王「ん?」


私「あなた...これからも止める気はないのよね?」


魔王「あぁ...もちろんだろ」

魔王「キミの支えとなっているものを壊し続ける」

魔王「それが私の全てだ」


私「そう...なら安心した...」



-----数時間前(魔王に会う前)-----


シェイド「主」

私「何?」

シェイド「少し耳を貸せ」


私「ん?」


シェイドが私の耳元で囁いた。


シェイド「主...魔力を体に纏うことはできるんだよな?」

私「うん...」

シェイド「じゃあ、おそらく詠唱魔法は使えるな」

シェイド「念の為、この魔法を伝えておく」


シェイド「その魔法は『ブラック・パレード』」


シェイド「なぜかわからねぇが主には今後必要になるような気がするんだ」

シェイド「まぁ、俺の勘だがな...」

シェイド「できれば使わないでほしい...」

シェイド「この魔法はよ。対象者を『虚無の世界』へ送る」

シェイド「だがな、その代償として使用者も送られちまうんだ...」

シェイド「送られた者の魂は永遠に『虚無の世界』に囚われる」

シェイド「何もない世界だ...」

シェイド「この魔法は覚悟を決めた者にしか発動できねぇ」

シェイド「その覚悟っていうのはよ。自分の命を差し出す覚悟だ」

シェイド「何度も言うができるだけ使うな」

シェイド「だが、主は自分が何もできなかったことで後悔しないでほしい...」

シェイド「それで、主自身が壊れてしまっては元も子もねぇからよぉ...」

シェイド「だから、念の為伝えておいた」


私「え...ブ」


シェイド「軽々しくも口にするな!」

シェイド「わかったな?」

シェイド「くれぐれもだ」


私「あっごめん...うん...」


葵「どうしたんだ?」


私「ううん...何でもない...」


葵「そうか...」

------------------------------



魔王「まさかっ!」


私「そう...気付いたのね...」

私「今更気付いても遅いわ」


私「みんなごめん...」

私「本当にごめん...」

私「みんなが繋いでくれたこの命...」

私「こんなことに使うなんて...」


私「みんなには分かってほしい...私の思いを」

私「私、この世界が大好きなの...」

私「みんなと生きたこの世界が」


私は目を瞑った。

そうすると、この世界で過ごした日々が時を越えたかのように私の中で駆け巡った。


私「残したい...みんなが生きた証を」


私「あなたにこれ以上は奪わせない!」


魔王「...」

魔王「ククッ...」

魔王「...ハハッハハッ」

魔王「いい!面白い!やはり其方は我を飽きさせない!」

魔王「我はそれを受け入れよう!」

魔王「『虚無の世界』でじっくりとお前が一人絶望する姿を見てやる」


私「そう...案外受け入れてくれるのね...」

私「よかった」

私「...」

私「いいわ」

私「あなたに付き合ってあげる」

私「でも残念ね...」

私「あなたの望むようにはいかない...」

私「この世界がある限り私は絶望しないわ」


魔王「それはどうかな...」

魔王「人間は脆い。時間をかければかけるほどより脆くなる」

魔王「尚更一人だろう?」

魔王「ハハッ」

魔王「さぁ、来い!」



私 (みんな大好き...)

私 (愛してる...)


私「うぅ...」



私は瞑った目を大きく見開いた。


私「ブラック・パレード」




突然、辺りが漆黒に包まれ白い大きな門が現れた。


軽快な音楽が門の奥から聞こえてくる。


門の前には金の装飾が入った黒いカーペットが敷かれた。


門がゆっくりと開く。

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