表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却のグレーテ  作者: だい
第二章
55/116

友の断頭

魔王「次へいこう」


魔王は右端の台座の前に立った。

魔王「さぁ、次はどうなる?」


私「やめて!もう嫌っ!」

私「お願いだからっ!もうっ...」

私は辛さのあまり後ろを振り返った。


魔王「すまないがそれは出来ない。これは私の純粋な好奇心なのだよ」

魔王「キミは濁らずにいられるのか。はたまた濁ってしまうのか...」

魔王「さぁ、キミはどこまで耐えられる?」

魔王「運よく頭数が多い」


魔王が右端の布を捲りあげた。


シェイド「これは...」

シェイド「見るんじゃないっ主!」

シェイド「後ろを振り返るなっ!」

シェイド「そのまま俺を見ていろ!」


魔王「ふーん。そう出るか...」

魔王「じゃあ、キミの信頼の厚いシェイド?それともお兄さん?」

魔王「どっちがいい?十秒待ってあげる」

魔王「十秒以内に振り返らなければ、どっちかはねようか」

私「そんな...」

魔王「十...」


私は後ろを振り返ろうとした。

シェイド「ダメだ主...おめぇさんが壊れちまう」

私「でも、シェイドとお兄ちゃんが...」

魔王「九...八...」

葵「シェイドの言う通りだ...振り返るなっ!」

葵「朱音っ...今の隙にその扉から逃げろっ」

魔王「七...六...」

シェイド「そうだ。それと葵でなんとかする!」

シェイド「逃げろっ!主っ!」


魔王「五...四...三」

私 (そんなの出来ないよ...)

魔王「二...」


私は振り返った。


そこには、私がこの世界で心を許した親友マリナちゃんの首が台座の上に置かれていた。


私「イヤァ゛ーーーーーーーーーーーー!」


私は受け入れられない現実のあまりその場で頭を抱え込んだ。

その時、「グーちゃん」と笑顔で私を呼びかけるマリナちゃんの姿が私の頭に思い浮かんだ。


私「マリナちゃん...マリナちゃん... イヤァ゛ーーーーーーーーーーーー!」


葵「朱音!」

シェイド「主!」


私「なんで...なんで...なんでなんでなんでなんで...」


魔王「流石にこれは効いたか?」

魔王「ふーん。どうだ?」

魔王「ふーん...」

魔王「少し濁っているのか...」

魔王「しかし、微々たるもの...これでは濁ったと断定はできない」

魔王「続行だ」


私「やめて...やめて...」

魔王「ん?」


私「お願いだから...やめて...」

私「他のことならあなたの言う通りなんでもするから...」

私「ね?」


魔王「他のことねー...うーん...」

魔王「ないんだ。今のところこれ以外」

魔王「それにしてもキミ良い表情をするねぇ」

魔王「見ていてこっちも心がキューっとするよ...」

魔王「それより、この子キミの大切なお友達だったんだろ?」

魔王「この子の顔じっくり見てあげなよ。腐らないうちにさ...」

魔王「良い顔しているよ。クックックク...」

魔王「見ろって!」


魔王が右手を振りかざし、私の頭は勝手に上を向いた。


葵「おい!貴様!朱音にっ!」

葵「クッ...」


お兄ちゃんはその場で膝をついた。

私「お兄ちゃんっ!」

魔王「無理すんなって...お兄さん。あんたもう時期消えるんだから...」


魔王「さぁ見て!」

魔王はマリナちゃんの髪の毛を掴み上げ、私に見せた。


マリナちゃんは以前の笑顔からは想像できないほど恐怖に怯え切った顔をしていた。


魔王「でも、良いお友達を作ったんだね。キミ...」

魔王「この子、ギロチンが落ちる前かなり怯えていたよ...」

魔王「なんで私がってね...」

魔王「そして私はこう言った」

魔王「キミがグレーテのお友達だからだよ...って」

魔王「でも、彼女はそれで納得したのか最後にこう言ったんだよ」

魔王「グーちゃんはあなたなんかに屈しないってね」

魔王「本当にいい子だ。こんな目に逢ったっていうのにさ...」


私「お前が言うな!」

私「お前がマリナちゃんをいい子って言うな!」

私「許さないっ!」

私「アンタは許さないっ!」

私「許さないっ!許さないっ!」


魔王「いい顔、いい目つき...」

魔王「もっとこっちを見ておくれ」

魔王「今は...ほぉ...」

魔王「さっきよりも...」

魔王「やはり心理的なダメージは多少なりとも影響するのか...」


葵「朱音しっかりしろ!」

葵「ジャックや俺が復讐心にとらわれなかった時を思い出せ!」

葵「なぜ俺らは押さえ込むことができた?」

シェイド「そうだ。主!」

葵「朱音!朱音が復讐心にとらわれなかったからだ!」

葵「朱音なら絶対に乗り越えられる。自分を壊すな!」

私「んー...」


魔王「ほぉ...なんと!さっきまでの濁りが一瞬で戻ったか...」

魔王「やはり、私の期待を裏切らない」

魔王「キミが壊れるまで、壊れ切るまで私は続行する」


パロ「魔王様は本当に残酷でございますね」

魔王「パロ私が残酷だって?フフッ...笑わせる」

魔王「キミとは違って、ただの人間一人に対して実験だよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ