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忘却のグレーテ  作者: だい
第二章
54/116

魔王の正体

私「あなたは!」


私は魔王の顔に見覚えがあった。


魔王「どう?僕のこと覚えてくれているかな?」

私「オスカーさん...」


魔王と名乗る人物の正体は治癒術師オスカーだった。


魔王「覚えていてくれたんだね!嬉しいよ」

魔王「そう。僕はこの前キミの靴擦れを直したよね」

魔王「まぁ、本当の名ではないんだけど...」

魔王「僕の本当の名は、『ヴォルグ・モルドレッド』」

魔王「『混沌の魔王』...なんて言われているよ」

魔王「オスカーっていうのは『混沌』、『カオス』をもじった名前なんだ...」

魔王「なかなか上手くできているだろう」


シェイド (混沌の魔王...最悪だ...まずい...不味すぎる...)

シェイド (主!今すぐにでも逃げ出せっ!悪いことは言わねー。今すぐにだっ!)


私 (ごめん!シェイド...)

私 (それは...出来ない...)


シェイド (いや、そりゃあ。おめーさんがわかってねーからだ!)

シェイド (何万年も前からこの世に君臨し、神々さえも服従させた魔王)

シェイド (奴の気分次第で一瞬にして世界が滅ぶ)

シェイド (なぜ主に目をつけた...)


私 (シェイド...ごめん。静かにして...)

シェイド (くぅ...)


私「あなたが魔王だってことはわかったわ...」

私「あなたの目的は!?」

私「ミリアちゃんはどこ...」


魔王「クックック...」

魔王「実は、キミがこちらの世界に初めて来た時から僕の計画は始まっていたんだ」

魔王「まずは、私の仲間たちを紹介しよう」

魔王「出ておいで」


玉座の横に渦が現れ、黒い渦の中から五人現れた。


一人目は、パロ、二人目はメアリさん。

三人目、四人目、五人目は意外な人物だった。


三人目は、スフィアでコンパスを作ってくれた店の店主

四人目は、エイジスの案内人ネムさん

五人目は、ジャックが蜂に刺された際に治療してくれたエルフ族のマーシさんだった。


魔王「みんなキミが知っている人物だろう」

魔王「そう。ここにいるみんなが、キミがメーディアの正体に辿り着けるようサポートしてくれたのさ」

魔王「どうだい?私も含めキミの行く先々にここの誰かしらがいただろう」

魔王「よく考えてみればどうだい?」

魔王「なぜあんなにキミはすぐメーディアに辿り着くことができた?」

魔王「出来すぎたとは思わなかったかい?」


私「それは確かに...」

私「でも偶然だと...」


魔王「偶然なわけがないだろう?」


私「じゃあ、本当にすべてが仕組まれていた?」

魔王「そう...すべてね」


メアリ「ごめんね。そうゆうことなの」

マーシ「キミのことはタイプだったんだけどなー。本当に残念だよ...」

マーシ「ジャックをあの時、助けたのは魔王様のプランに変更が生じると思ったからさ」

マーシ「僕は監視役でね。プランに変更が出ないようずっとキミたちつけていたんだ」

ネム「すみません。へへっ...」

店主「それにしても、あんた少しは人を疑った方がいいんじゃないかい?」

店主「でもまぁ、そのおかげで魔王様にあなたの素材を献上できたわけだけど...」


魔王「まぁ、そうゆうことだ」

魔王「すまない。キミの質問に答えないと...」

魔王「私の目的についてだったね」


魔王「実は私はこの在り来たりな世界に飽き飽きしていたんだ...」

魔王「世界なんて一瞬で滅ぼすことができる」

魔王「でも、滅ぼしてどうなる?」

魔王「只でさえ退屈なのにそれ以上に退屈になるだけだろう」

魔王「それは面白くない...」


魔王「そしてある日、何千年ぶりかに私に挑む勇者が現れた」

魔王「私は退屈のあまりその勇者に討たれてみたのだよ」

魔王「その勇者にある言葉を伝えてからね...」

魔王「私を復活させなければ、私の予想とは異なったということ...」

魔王「しかしだ...その勇者は私を復活させた」

魔王「そして、私は再び退屈を味わうことになったってわけさ...」


魔王「だがある日、他とは異なる存在を感知した」

魔王「そう。キミだ。グレーテ」


魔王「魔力には人の性格が映し出されるものでね」

魔王「誰しも人というものは不純を一つは持つものだ」

魔王「しかし、驚くことにキミの核には不純が一切含まれていなかった」

魔王「今も見えているが一切濁りがない」

魔王「本当に美しい。生粋だ」


魔王「そして私はこう思った」

魔王「その核をどうにか濁らせてみたいってね」


魔王「そう。私の望みはキミが絶望すること」

魔王「キミの核を濁らせることさ」


私「私の絶望...」


魔王「そう。キミの絶望。両親の死、メーディアの死があっても尚、キミの核は一切濁っていないのだよ」

魔王「それは私の予想をはるかに超えていてね」

魔王「キミはどこまで耐えられるんだ?」

魔王「運良くキミのお兄さんまでいるではないか」

魔王「これは見物だ」


魔王「パロ。準備を...」

パロ「はい。魔王様...」


「パチンッ」

パロは指を鳴らし、黒い渦の中から布が被せられた三つの台座が現れた。


魔王「さぁ、どれからいく?」

私 (なに...すごく嫌な予感)


魔王「まぁ、手始めに左端からいこうか」


魔王が左端の台座の前に立つ。


魔王「ご覧あれ」


魔王は布めくった。


そこには、エイジス国王ルークの首が台座の上に置かれていた。


私「えっ...なんで...王様っ!」

グリフォン「グ...グガーっ!」

私「グリフォンっ!ダメっ!」


グリフォンが怒りのあまり魔王に向かって行く。


魔王「フフ...」

魔王「インフェルノ」


グリフォンが炎に包まれた。

グリフォン「ガー!」


あまりの熱さにグリフォンが叫び、その場でのた打ち回った。


私「お願い!やめて!」

魔王「それはムリだ。私の目的はキミの絶望なのだから」


私「グリフォンっ!」

グリフォン「ガー!ガー!」


私「シェイドお願い!火を消してっ!」

シェイド「すまねー。インフェルノは対象が燃え尽きるまで消えねーんだ...」

私「そんなっ...」


私はグリフォンに駆け寄ろうとしたが、お兄ちゃんに止められた。

葵「朱音!何しようと?燃え移ったらどうするんだ!」


グリフォン「ガー!ガー...」

私「だって!グリフォンが!」


葵「カノン!なんとか出来ないか?」

カノン「完全には消すことは出来ない。だが、外部の炎だけなら一時的に...」

カノン「俺を振れ!」

葵「わかった」

カノン「ハイドロ・アナイアレーション!」


剣から粘性のある水のような液体がグリフォンの体に付着した。

グリフォンの表面からは炎が収まったが、グリフォンは床に倒れ込んだ。


私「グリフォンっ!」

私はグリフォンに駆け寄った。


グリフォンの体は黒く焦げていた。


グリフォン「グー...」

私「グリフォンっ!」

グリフォン「グー...」

私「ダメよ!死んじゃダメっ!」


私はグリフォンの背中に手を当てようとした。

シェイド「触るな主!まだグリフォンの中で燃え続けている!」


グリフォン「グー...」

私「あなたバカね。本当にバカ...」


グリフォンが目を閉じた。

私「グリフォンっ...グリフォン!」


再びグリフォンの表面に炎が溢れ出てきた。


葵「朱音!離れろ!」

私「だって...グリフォンが...!」


私はお兄ちゃんに無理矢理その場から引き離された。


私「グリフォン...そんな...」


魔王「どうだい?ペットを失った気分は?」

私「ペットじゃない...ペットじゃないっ!私の友達!」


魔王「鳥を友達ねー。ハハッ」

魔王「面白いっ!」

魔王「やはり、私の期待を裏切らない。全く濁る気配がないな」

魔王「なぜだ?」

魔王「何がキミをそこまで支えている?」


魔王「さぁ、次へいこう」

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