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忘却のグレーテ  作者: だい
第一章
5/113

「へへへっ」のお金稼ぎ

------スフィアに向かう途中--------


私「ねぇ…」

私「前から思っていたんだけれど...」

私「あなたの目的は何?」


ジャック「んんぅ?僕の目的かい?」

ジャック「んー。そうだねー」

ジャック「…」

ジャック「魔女を倒して世の中を良くしたいってことかな…」


私「え!そうなの?!」

私「正義のヒーロー的な!?」

ジャック「正義のヒーロー?」

ジャック「聞き慣れない言葉だけれど、まぁそんな感じかな…」


私「すごいね」

ジャック「そんなことはないさ…」

ジャック「キミもお兄さんを助けられるといいね...」

私「うん…」


私( 嘘だ…別の目的があるはず…)

私( 彼には何のメリットも…)


ジャック「あっという間に着いたね」

私「うん…」


私「お店またあるといいね」

ジャック「そうだね…」

ジャック「前、出た時のようにただの壁だったらどうしようか…」


検問所を抜けて、お店の方へ向かった。


ジャック「この辺りだったかな…」

私「あっ!」

私「あったあった!」


お店のドアを開ける。


店の奥には前と同じ老婆の店主が座っていた。


店主 「いらっしゃいませ」

店主 「お待ちしておりましたよ…」


店主「出来上がりました…」

店主 「こちら魔女探しのコンパスです…」

店主「彼女が範囲内にいると、先の針が赤く光り彼女の方を向きます」

店主「ただし、頂いたものでは極めて探索範囲は狭くなってしまいます…」

店主「それでもお役に立つとは思いますが…」


私 ( これでようやく辿り着ける…)


店主「こちらの品で問題ないでしょうか?」

私「はい」

店主 「それでは、申し訳ございませんが対価を…」


自分の髪を数本と小指の爪を店内のハサミで切り落として手渡した。

ナイフで指先を切り、差し出された小皿に数滴垂らした。


私「これでいいんですよね」

店主「はい」

ジャック「因みにだけど、それは何に使うんだ?」


店主「秘密にございます」


ジャックはステッキに手をかけた。


私「では、失礼致します」


ジャックの腕を押さえて外に出ようとした。


店主「少しお待ちになって…」

店主「メーディアの足取りについてはご存じで?」


私「いいえ」


店主「最近来た客から聞いた話なのですが、隣国の『魔法王国エイジス』に逃げたというのを聞きました」


店主「ちょうどここから真南にございます」

店主「もし他に当てがないようでしたら、訪れてみてください」


私「貴重な情報ありがとうございます」


ジャック「その情報は正しいのかな…」

ジャック「隠し事のあるあなたのことは信用できないね」

私「もう。ジャックっ!」


私「行き先に困っていたところなので助かります」

店主「そうでしたか... お力になれてなによりです」


私「それでは」

私 「行くよ!」


私は店主に軽く会釈し、ジャック腕を引っ張って店を出た。


ジャック「キミはどうかしている」

ジャック「必ず何か悪いことが起こる…」

ジャック「第一にキミは人を信用しすぎだ」


私「そんなこと言ったって、方法がないから仕方ないでしょ!」

私「時間だってないんだよ!」


ジャック「…うーん…」


さっそくコンパスを開けて確認した。


私「まぁ、そんな簡単じゃないよねー...」


コンパスの針は微動打にしなかった。


私「旅の準備をしてからエイジスに行こう」

ジャック「まぁ、そうだね…」


ジャック「キミが騙されているかどうかこれで分かるよ」

私「もー…」


ジャック「まぁ、行くとして何が必要かな...」

ジャック「かなり遠いし...」

私「遠いの?」

ジャック「うん。丸一日では辿り着けないかも...」

私「そんなに?!」

ジャック「お金はー?...」

私「あと二百ベルク...」

私「どこかで稼がないと...」


ミリア「あっ!お姉ちゃん!帰ってきたんだね」


ミリアちゃんはシスターと手を繋いでいた。


私「あっミリアちゃん!ただいま」

ミリア「おかえり。お姉ちゃん」


私 ( やっぱり、天使…)


シスター「こんにちは」

私「こんにちは」

ミリア「また、どっか行っちゃうの?」

私「うん。そうなの…」

私「本当はミリアちゃんとずーっとお話しておきたいんだけれどね…」

ミリア「ミリアもーっ!」

私「フフッ…」


ミリア「また今度、ミリアのお家に寄ってねっ!」

私「うん!絶対に行くね!」

ミリア「うん。じゃあね。お姉ちゃんとピエロのおじさん!」

ミリア「バイバイっ!」

私「うん。またね」

私「バイバイっ!」


私「カワイイっ!」

ジャック「また、『おじさん』って…」


私「気にしすぎよー」

ジャック「そうかなぁー...」


私「それにしても、これからどうしよう...」

ジャック「お金稼ぎ....」

ジャック「お金稼ぎ...お金稼ぎ...」

ジャック「うーん...」


・・・


ジャック「あー。そうだ。都心部の冒険者ギルドに行ってみないかい?」


ジャック「僕らでもできる依頼があるかもしれない」

私「ギルド?!なんか異世界っぽい!」

私「うん。行きたい!」


冒険者ギルドへ向かった。


都心部へ向かうほど人だかりが多くなってきた。


ジャック「あのとても高い塔が見えるだろ?」

私「うん。スフィアの外からも見えていたものだよね?」

ジャック「うん」

ジャック「あれはね。商業ギルドなんだ」

ジャック「この街はね商業で栄えたから商業ギルドは街の中心にあるんだ」


ジャック「それに対して冒険者ギルドはー…」

ジャック「ちょうど着いた」

ジャック「これさ…」


私「え…これ?」


ジャック「うん。嘘じゃないよ」


外壁は剥がれ落ち、とても古びた平屋の建物だった。


私「…そっかー…」

ジャック「そう…」


ジャック「まぁ、元手がない僕らには仕方がないよね」

ジャック「とりあえず、入ろう」


私「うん...」

私「人が誰もいない…」


ジャック「とりあえず、受付嬢に聞いてみようか」


受付には誰もいなかった。


控室のような方を覗き、声をかけた。


私「あのー。すみませーん」


受付嬢「え?あっ!」

私「わぁぁぁっ!」


突然、下から人の顔が現れた。


受付嬢「あっ!ごめんなさいっ!」

受付嬢「えっ…あっ…もしかしてお客さん!?」


受付嬢「とっ!とりあえず、あいさつぅっ!」

受付嬢「受付嬢のっ!マリナです!よろしくお願いしますっ!」


私「かっ可愛いっ!」

マリナ「えっえぇぇーー!」


ジャック「いや、この子は少し頭おかしくてね。放っておいてね…」


私はジャックの横腹をつねった。


マリナ「あの~...すみません...私、今日が初日でして...」

マリナ「どうせ誰もこないだろって…マスターがぁ...」

マリナ「それで私、今からどうすればいいんでしょうかっ?!」


ジャック「え…」

マリナ「え?」


私「かっ可愛いっ!」


・・・


マリナ「ん?」


ジャック「『え?』に対して、まさかの『ん?』ときたか」

ジャック「そうだねー...」

ジャック「マニュアルとかないのかい?」


マリナ「こちらです。あげますっ!」

ジャック「えぇっ!?」


私「まぁいいじゃない。可愛いから」

私「あなたが読んであげてよ。ジャックっ!」


ジャック「えっ…うーん…うん…」

ジャック「まぁいいか...」


ジャック「えーっと…」

ジャック「じゃあ読むよ」

ジャック「其の一、しっかり、あいさつをすること」

ジャック「まぁこれはできていたね」


マリナ「はいっ!」


ジャック「其の二、依頼をするのか、依頼を受けるのか聞くこと」

ジャック「だって...」


ジャック「じゃあ、今後のことを考えて聞いてくれるかな?」


マリナ「はい!ご依頼されますか?それともご依頼を受けられますか?」


私「うん。とっても良い感じだと思います!」

私「可愛いですっ!」

私「じゃあ、依頼を受けます!」

ジャック「こちら側が一言余計だったけれど、まぁいいか…」


ジャック「はい。じゃあ其の三、クエストボードから合った依頼を選んでもらう。だって…」


私「あれじゃない?ジャック」

ジャック「そうだね。じゃあ、どうぞ!」

マリナ「はいっ!あちらのクエストボードからお好きなものを選んでください」

私「うん。とってもいい感じ!」


私「ジャックじゃあ、選ぼう」


ジャック「うん。そうだね」

ジャック「えーっと…何があるかな?」

ジャック「星十 魔獣ゲルデガルドの討伐 必要戦力の目安 二百人程度 報酬十万ベルク」

ジャック「こんなの無理だね」

私「無理だねー」


ジャック「星五 王室令嬢の護衛 一週間 必要戦力の目安 五十人程度 報酬一万五千ベルク」

ジャック「これも時間的に無理そうだ」

私「うん…」


ジャック「星三 キラービーの十五体の討伐 必要戦力の目安 五人程度 報酬五千ベルク」

ジャック「うーん。これだけか...」


ジャック「じゃあ、これ受けるかー」

私「いやいやいや、キラービーって蜂だよね?」

ジャック「うん。そうだよ。一匹三メートルぐらい」

ジャック「大丈夫だよ」


私「ムリムリムリッ!絶対にムリッ!」

私「虫!ムリッ!しかも、そんなにでかいの絶対にムリッ!」

私「あぁ..想像しただけで寒気がする...」

ジャック「じゃあ、魔獣ゲルデガルドにするかい?」

私「そんなの無理ー!」

ジャック「じゃあ、どうするんだい?」

私「うーん...」


・・・


私「私にはムリ!」

ジャック「仕方ない。他の方法を考えようか」


マリナ「ごめんなさい!」

マリナ「私、お力になれなくて...」


私「なんであなたが謝るの」

私「分からないに一生懸命やっているじゃんっ!」

私「それ本当にすごいことよ」

私「偉いっ!」

私「それに可愛いっ!」


私「それより〜。マリナちゃんて〜」

私「お休みの日って何してるの?」

マリナ「え?お休みの日ですかぁ~...」

私「好きな食べ物は?」

ジャック「あー。またこれさ...」


ジャック「応えなくていいよ。この子キミに発情しているだけだから…」

私「違うーっ!」


私「もー。ちょっと!何!?」


ジャックは私を抱えて肩に乗せた。


ジャック「じゃあ、失礼するよ」


マリナ「あのぉ〜…」

マリナ「色々教えてくださりありがとうございました!」

ジャック「あぁ」


私「またねー」

マリナ「はい!」

私「カワイイっ!」

私「へへー…」


ジャックは外に出て私を肩から下ろした。


ジャック「酔いは覚めたかい?」

私「もうっ!」


ジャック「何がもうっ!さ…」

ジャック「キミには目的があるだろう?」


私「んー…」


ジャック「それでグレーテ…」

ジャック「これからどうする?」


私「うーん…」

私「もっとズルく稼がなきゃっ!」


私「へっへっへ-…」

ジャック「何か悪いことを考えているね...」


私「あっ!そうだ!」

私「アイツ何かできるんじゃない?」

ジャック「アイツ?」

私「うん。アイツ」


私「ちょっと出てきなさいよ!シェイド!」


ジャック「あー。なるほどね...」

私「私の魔素を吸ってただ飯食いやがってっ!」


・・・

・・・

・・・


ジャック「出てこないね...」


・・・

・・・


・・・

私「ふーん」

私「そっかー」

私「そっちがその気なら…」

・・・

・・・

・・・

私「よーし。いい覚悟だっ!」


私「歯を食いしばれー!」


私「せーのぉ!」


シェイド「ちょちょちょ!ちょっとー!」


私「出た出た」

私「シェイドー。良い子ねー」


シェイド「これは...ご主人...おっ…お呼びで?...」


ジャックは焦るシェイドを見て憐れんだ。


私「うん!」


私「お金を稼ぐ方法何か知らない?」

シェイド「へっへっ ご主人、金稼ぎですかぁー…」


私「へっへっへ-」

シェイド「へっへっへ-」


シェイド「では、人間を騙して金を集めますかい?」


ジャック「あぁ…」

ジャック「精霊を悪に染めるキミは…いったい...」


私「そーゆーのはダメ!」

私「もっと、賢くいかないとっ!」


シェイド「では、どのように…」

私「へへっ」

私「ついてきなさい!」


私「ここ!」


裏路地の雑貨屋に二人を連れて来た。


店主「いらっしゃい」

店主「どのアクセサリーでも50ベルクだよ」

私「じゃあ、そうね。頑丈そうな...」


私「このブレスレットをください」

店主「50ベルクだね」

店主「毎度あり」


ジャック「残り少ないのにそんなものに使って、どうするんだい?」

私「まぁまぁ」

私は二人を誰もいない所に連れて行った。


私「へっへっへっ…」

ジャック「悪い顔っ」


私「シェイド これに魔力を込めてみて」

私「ものは試しよ」


シェイド「うーんと…こんなもんですかい?」


ブレスレッドが紫色のオーラを帯びた。


私「いい感じっ!」

シェイド「へっへっ なるほど…これを」

私「そう。さっそく、いくらで売れるのか魔道具屋に聞いてみよ」


私たちは魔道具屋に向かった。


いらっしゃい。

店主「どのような物をお探しで?」

私「いいえ。これっておいくらですか?」

店主「あー…買取りね…」

店主「はいはい…じゅあ、見せな」


私( 何!この人...とても面倒くさそうに...)


店主「んー…」

店主「え?!っ」


店主「闇の魔道具っ!」

店主「アンタこれをどこで?!」


私「それはー内緒ですね...」

店主「ぜひこれを譲っていただきたいっ!」


私「でも、あんな接客をされたらねぇ…」

私「まるで虫を煙たがるように…」


私「ねぇ?大魔術師様ー」


ジャックに問いかけた。


ジャック「ん?」

ジャック「え?」


店主「申し訳ございませんでした!」


私「それで?いくらまで出せます?」


店主「で、では、三千…」


私「ん?」


店主「いいえ!五千…五千ベルクでっ!」


私「残念…じゃあ、他の店にー」


店主「お待ちを!」

店主「では、六千!」


私「うーん...」


私はジャックを連れて過ぎ去ろうとした。


店主「これ以上は出せません!六千八百っ!」


私「まぁ、それでいいかな…

店主「ありがとうございますっ!」


私は五十ベルクだったブレスレッドと六千八百ベルクを交換した。


私「これが転売というもの!」

シェイド「おみごと!」


ジャックは白い目で私を見つめた。


私「なぁに〜。その目ー」


ジャック「今回だけにしときなよ」

ジャック「キミはきっと痛い目に合う」


私「いや、まだ足りないよっ!」

ジャック「知らないよ。本当に…」


私たちは何度もこの方法で、別の店に売り込み続けた。


その後、昼食を済ませて、宿で休むことにした。


私「さぁいくらになったでしょうか」

私「でけでけでんっ!」

私「なんとっ!八万ベルク!」


ジャック「はぁ…」


私「シェイド。あなたのおかげよ」

シェイド「主に喜んでいただけて何より」

ジャック「あれ?キミってそんなにグレーテに成り下がっていたっけ?」

シェイド「何を言いますか兄貴、元々こんなでしたよ」


ジャック「兄貴?...まぁいいか...」


ジャック「あとで、『金返せー』とか言われても知らないよ」


私「なに言っているの?!」

私「他人事のように。あなたも共犯者なんだから!」

私「大魔道士様っ!」


・・・


ジャック「はぁ...」

私「今日は早く寝よ」

私「明日早く起きて、必要な物を買い揃えなきゃ」


ジャック「そうだね」

ジャック「じゃあ、グレーテ…これを見つめるんだ!


私は睡魔に襲われ眠りについた。




ご愛読ありがとうございます。

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