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忘却のグレーテ  作者: だい
第二章
49/116

逃げ惑う人々

私たちはグリフォンに乗ってエイジスに向かっていた。


葵「朱音...」

葵「行くのはいいが、行って本当に大丈夫なのか?」

葵「もう一度考え直してみたんだけど...どうもなぁ...勝算が...」

葵「何か策でもあるのか?」

私「え...」

私「そんなのないよ...」

葵「...」

葵「そうか...」

葵「うーん...」

葵「やっぱり、そうなのかー...」

私「うーん...」

私「でも、行ってみないとわからないじゃん。そんなの...」

葵「まぁ、そうだけど...」

葵「なんかただ単に不安で...」


私「それより、お兄ちゃん朝のお薬飲んだの?」

葵「あっ...そういえば...なんか体がだるいなぁって思っていたのはそれかー」

私「もう!お願いだからしっかり飲んで!」

葵「はいはい。ごめんごめん...」


お兄ちゃんは薬を飲んだ。


葵「あぁ。ちょっと楽になったような...なっていないような?...」


私 (本当にまずい...)

私 (昨日よりお兄ちゃんの体が一段と透けて見える...)

私 (早く何とかしないと!)


------------------------------------------------------

飛び立ってからしばらくの時間が経った。

------------------------------------------------------


葵「なーんか...ずっと飛んでいるのも暇なもんだな...」

葵「ん?」

葵「朱音見て!あんな大きな都市も燃えている」

葵「これも魔王の仕業か?」


私はお兄ちゃんが指差した方向に目を向けた。


私「あそこって!スフィア!」

私「そんな...」


葵「おい!小さい男の子が走って逃げているぞ!」

葵「追っているのは武装したスケルトンか?」


私「本当だ。助けないと!」

私「グリフォン降りて!助けないと!」

葵「ダメだ朱音!」

葵「今の朱音に何ができる?」

葵「降りたところで本当に助けられるのか?」

私「それは...」

葵「朱音がやるべきことはなんだ?」

葵「ここで終わる気か?助けに行くんだろ大切な人を!」

私「わかってる...わかっているんだけど...あのままじゃ...」

私「グリフォン!」

葵「グリフォン頼む...朱音を大切に思うのであれば、降りないでくれ...」

葵「今はその時じゃない!わかってくれ...本当に朱音を思うのであれば...」


グリフィン「グゥ...」


私「お兄ちゃん!なんてことを言うの!」

私「グリフォンお願い!早く降りて!」

グリフィン「グゥ...」


グリフォンは降下をせずにそのままの高度で飛び続けた。


私「なんで?わたしの言うことを聞いて!」

私「降りて!グリフォン!」


グリフィン「グゥ...」


私「それじゃあダメ...あの子が...」

私「あっ!....」


逃げる男の子の胸にスケルトン兵の剣が突き刺さった。


私「そんな...」

私「なんで...」

私「なんで降りなかったの!グリフォン!」

グリフィン「グゥ...」


葵「朱音...わかってくれ」

葵「正直言って、今の俺らには降りたところで何にも出来ない...」

葵「ただ、やつらの矛先がこちらに向くだけだ」

葵「それはグリフォンもわかってのことだと思う...」


私「そんな...」

葵「朱音のすることはただ今苦しんでいる人を救うだけでいいのか?」

葵「仮にその人を救えたとしても別の場所で別の人が命を落とすんだ」

葵「朱音がしないといけないことはなんだ?」

私「それは...」

私「魔王を止めること」

葵「そうだろ」

葵「朱音の『苦しんでいる人を助けたい』という思いは正しいと思う」

葵「でも、今はその為に...多くの人を助ける為に...今は目を瞑るしかないんだ!」

私「そんな...」


私 (あそこにも逃げる3人の家族が...)

私 (目を瞑る?)

私 (でもお兄ちゃんの言うことは正しい...)

私 (今は...でも...)


私が悩んでいるうちに3人家族のうちの5歳ぐらいの女の子が逃げている途中に転倒した。

私「あっ...」


その子を母親らしき人が庇った。

その母親を父親らしき人が庇った。


スケルトン兵の剣が3人家族を串刺すように貫いた。


私「そんな...」

私「ひどい...ひどすぎる...」

葵「朱音...今は辛いが耐えてくれ...」

私「...」


葵「魔王を止めよう。必ず!」

私「...うん...」


私は逃げ惑う人々に対して目を瞑り、魔王を止めると決意した。

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