魔王からの招待
私「なに...今の...」
私「えっ...子どもの指?...」
私 (落ち着け...私...)
葵「大丈夫か?朱音!」
私「うん...なんとか...」
シェイド「魔王ってやつは本当に...血も涙もねぇ...」
シェイド「さっきの箱の中に...紙のようなものも入っていたぞ...」
シェイド「うーん...」
シェイド「しょうがねぇ。俺が取るよ...」
シェイドは落ちた小箱を拾い、メモのようなものを中から取り出した。
シェイド「主...俺は読んだ...受け止める覚悟はあるか?」
私「うん...」
シェイド「じゃあ、読むぞ...」
シェイド「キミの可愛い妹 指切りげんまん」
シェイド「早く来ないから切っちゃった...」
シェイド「エイジス城で待っているよ...我が愛しのグレーテ...」
シェイド「日が暮れるまでに...」
シェイド「本当に気色悪いやろうだ...」
私 (可愛い妹...)
私 (じゃあ、その指って...)
私「オオウェ...」
葵「朱音!」
私は今起きていることが受け入れられなかった。
私 (あの小指...私手を繋いだ時に見たことがある...)
私 (ミリアちゃんのだ...)
葵「朱音...もう諦めよう。こればかりは...」
シェイド「俺も正直言ってそう思う...ヤツは何を考えているかわからない...」
マリー「私もそう思うわ。さっきのパロってゆうヤツ尋常じゃない強さだった...桁違い...」
マリー「あんなのが何体もいるとなると...」
葵「なぁ、朱音...もう行くのはやめよう...みんなもこう言ってくれている...」
葵「お願いだ...今回ばかりは本当にどうにもならない気がする...」
葵「頼む...」
私 (みんなの言う通りだ。私もそう思う...)
私 (でも...)
私 (大切な人が辛い思いをしているのに放っておく?見捨てる?)
私 (私にそんなことできるの?)
私 (ミリアちゃん...ジャック...)
私 (いや...そんなの...)
私 (そんなの...)
私 「できない!」
私「ごめん。みんな...お兄ちゃん...」
私「私、それは出来ない!」
私「大切な人を放ってはおけない!見捨てられない!」
マリー「何を言っているの?」
マリー「魔法の一つも会得できていないあなたが行って何の意味があるのよ!」
私「それはわかっています。わかっているんだけど...」
私「何もしないなんて出来ない!」
私「それでも私は助けに行く!」
私「ミリアちゃんとジャックを絶対に助ける!」
マリー「ちょっと!あなた!私の話を聞いているの?!」
葵「マリー先生の言っていることは本当にごもっともだ...」
葵「だが...」
葵「はぁ...」
シェイド「はぁ...」
葵「そう言うと思ったよ...」
シェイド「あぁ...俺もなんとなくわかってはいたんだけどな...主は自分の意見は曲げないって...」
葵「シェイド...ごめんな...頑固な妹で...」
シェイド「あぁ...本当に...どんな教育をしてきたんだ...」
マリー「ちょっと!あなたたちまで何言っているの?!」
葵「ごめん。マリー先生...これが朱音なんだ...」
葵「何が正しいとかそうゆうのじゃないんだよ。朱音は...」
葵「自分らしくいたい。それが朱音の悪いところでもあり、良いところでもあるんだ...」
葵「朱音が決めたことだ。俺は最後まで付いていく」
シェイド「あぁ。俺もだ...というよりか俺に決定権はそもそもない...」
マリー「はぁ...理解できない...それって自ら命を差し出すようなものよ!」
葵「それでも行くのさ。例えデスロードでもな」
シェイド「デスロードだって...ハハッ...いい例えだ」
葵「だろ?」
マリー「はぁ...今ので十分理解したわ。あなたたちが気狂いだってことをね...」
マリー「もー...さっさとここを出ていってちょうだい...」
マリー「私まで気がおかしくなりそうよ」
マリー「シッシッ」
マリー先生が館に戻ろうとする。
私「マリー先生!ありがとうございました!」
私「本当にお世話になりました!」
私はマリー先生に深くお辞儀をした。
マリー「フンッ...メーディアもあなたも本当に私の言うこと聞かないんだからっ...」
マリー「まぁいいわ。勝手しなさい...あなたの人生なんだから」
マリー「それよりもマロップ楽しみにしているわ...それまで待ってあげる...」
マリー「教えるって約束したんだから必ず戻って来なさいよ...」
私「マリー先生...」
私「はい!」
マリー先生は館の中へ戻って行った。
私「みんなごめんね。巻き込んで...」
葵「今更だな」
シェイド「あぁ...本当に今更だ...」
私 (絶対に助るからね...二人とも...)
私たちはエイジス城を目指して飛び立った。