マリーの特訓
お兄ちゃんをベッドまでマリー先生と一緒に運んだ。
私 (私決めた!)
私 (まずは、朝までに魔力を安定的に放出できるようにすること!)
私 (明日中にはシェイドから魔法を教えてもらって、明日の夜にはここを出る!)
私 (最短で身につけないと)
私 (絶対に!絶対に!)
マリー「そんなに意気込んでも、あなたが倒れてしまえば元も子もないのよ」
私「そうですね...」
私「でも、もうそんなこと言ってられないんです!」
マリー「そう...」
マリー「わかったわ...表に出なさいっ」
私「はい!」
私はマリー先生と表に出た。
マリー「じゃあ、始めるわ...」
私「お願いします!」
マリー「まずは、基礎からね」
マリー「魔力って何からできているか知っている?」
私 (なんでそんなことを聞くの?)
私「あの...マリー先生。私そんなこと考えている時間ないんです!」
私「お兄ちゃんには時間が...」
マリー「そんなの知っているわ!」
マリー「だから、私は最短であなたに身に付けられるように今してあげているの」
マリー「口答えせずに答えなさい!」
私「ごめんなさい!」
私 (そっか...それは私が悪かった...マリー先生は私のことちゃんとわかってくれていたんだ...)
私「魔力ですか?...魔力...魔力...」
私 (なんだ...魔力って...)
マリー「魔力は周囲の魔素を集めた集合体のことを言うの」
マリー「だから、魔力が大きいっていうのは瞬間的に魔素を多く周囲から集められるってこと」
私「あー。そうなんですねー」
私「じゃあ、私は瞬間的に多くの魔素を集められているってことなんだ...」
マリー「そう...」
マリー「それは出来ているの...」
マリー「だけど、あなたの場合ただ集めただけなの」
マリー「これを見てちょうだい」
マリー「わかりやすいように水で例えるわ」
マリー先生の周囲に水滴が現れた。
マリー「この小さな水滴が魔素だとして、これを集める」
マリー「この水の集合体が魔力」
マリー「ここからが大事」
マリー「この魔力をまず全身に纏わせる」
マリー「こんな感じかな...」
マリー先生の全身が水で覆われた。
マリー「それで使いたい分だけを分ける」
全身に纏った水の一部がマリー先生の手の平に乗った。
マリー「それで、この分けたものだけを放出する」
マリー「こんな感じで」
マリー先生の手の平に乗った水が勢いよく射出した。
マリー「イメージとしてはこんな感じ」
私「あー。なるほどー...」
マリー「本当にわかった?」
私「あっ...はぁ...」
マリー「私がはぁ...って言いたいわ...」
マリー「まぁ、まずは集めた魔力を全身に纏うことね」
私「はい!」
私「纏うですか...纏う...纏う...」
私「纏う?」
マリー「うーん...そうね...」
マリー「今日水晶玉に魔力を込めたでしょ?」
マリー「あの込めたものが全身を駆け巡るようなイメージをしてみて...」
私「はい!」
私は目を閉じて、マリー先生の言ったことをイメージした。
私 (込めたものが全身に...)
私 (何?これ?なんか感じる...)
私 (手の平から手首にかけて何かが上がってくるような...)
私「今の...」
マリー「あら、意外と早いのね」
マリー「時間がかかるのろまだと思っていたんだけど...少し見直したわ...」
マリー「そう。今手首まで上がったでしょ?」
マリー「それを全身に駆け巡らせるの」
マリー「わかった?」
私「はい!」
マリー「じゃあ、出来たら教えてちょうだい」
マリー「私は疲れたから少し休むわ」
私「はい!」
マリー「あと魔力切れには気をつけて」
マリー「魔素を集められるのには個人差はあるのだけれど回数があるから」
マリー「それを超えると気を失うわ」
私「はい!ありがとうございました」
マリー (この隙にあのモフモフをっ)
私「マリー先生...そっちはグリフォンがいる方で...」
マリー「あっ...ちょっと水を...井戸にねぇ...」
マリー「ははぁ...」
マリー「そんなこと気にしていないであなたは集中しなさい!」
私「はい!」
私 (マリー先生厳しいなぁ...)
私 (でも、ここで逃げるわけにはいかないっ!逃げたら絶対に後悔する...)
私はひたすら練習に打ち込んだ。
私 「ダメだ...腕より上に魔力が全く上がって来ない...」
私 「もう一回!」
私 「諦めるな!」
私 (全身に魔力が巡るイメージ...)
私 (まただ...すぐに途中で途切れちゃう...)
私 「もう一回!」
私 (あれからどれぐらい経ったんだろう...)
私 (でもまだだ。諦めるな!)
私 「やった!やっと半分ぐらいまで...」
私 「あと少し...」
私 (もう少しで夜が明ける...)
私 (だいぶ疲れてきたかも...魔力切れを起こさないように慎重に行わないと...)
私 「さぁ、もう一回!がんばれ朱音」
私は自分の頬を叩き、気合を入れた。
私 (あと少し...もう少し...もう少しで全身に...)
私 「あっ」
私の全身に薄い膜のようなものが纏った。
私 「できた!」
私「やったー!この感覚忘れないようにしないと!」
私「そうだ!マリー先生に報告っと」
私 (そういえばまだ井戸の方から戻っていないような...)
私は井戸のある方へ向かった。
私「マリー先生ー。私...えっ!」
マリー「もー。このモフモフたまらないなー」
マリー「モフモフ モフモフ」
マリー「キャー。可愛いっ!」
グリフォン「グルグゥー...」
マリー「もう離さないぞー。モフモフー」
私 (まさかねー。フフッ...こんな一面があるなんて...カワイイっ!)
私 (もう一回話しかけてみーよお。クックック...)
私「マリー先生?」
マリー「あ...」
私「ん?」
マリー「ごほぉんっ!」
マリー「見てた?」
私「何をでしょうか?」
マリー「いや...別に...何も見てなければいいの...」
マリー「それで?どうなのよ?順調なのかしら?」
私「はい。ようやく魔力を全身に纏えるようになりました!」
マリー「案外早かったわね。後は部分放出のみよ」
マリー「放出はそこまで難しくない」
マリー「今日はもう休んで明日に備えなさいっ」
私「はい!」
マリー「じゃあ、私は先に部屋に戻るわ...」
私「あのー。水は?」
マリー「あー...忘れていたわ...もう明日でいい...」
マリー「先に戻るわね...」
私 (さぁ。どんな反応する?クックック...)
私「モフモフー」
マリー先生の動きが急に止まった。
マリー「モフ...モフ...?...なんのことかしら...?」
私「いやー...今日寝るベッドがモフモフかなぁって思って...」
マリー「あー...それなりに...だと思うわ...うん...」
私「ふーん...それはよかった。私硬いベッドでは寝れなくて...」
マリー「それじゃあ...おやすみ...」
私「おやすみなさい。マリー先生」
マリー「うん...」
マリー先生は慌てた様子でスタスタと帰って行った。
私 (クックックッ...あの慌て様...可愛すぎでしょ...クックックッ)
私 (カワイイなぁ。マリー先生...クックックッ)
私「放出ができるまでって思っていたけど...あまり無理しても後に響くし」
私「今日は寝るか...」
私「また、明日頑張ろう!」
私「グリフォンも散々だったわね。おつかれ...」
グリフォン「グガー...」
私はこの後部屋に戻り、倒れるように眠りについた。