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忘却のグレーテ  作者: だい
第二章
40/116

バーバラさんとのお別れ...


私は早速コンパスの中を開けた。


私 (これ...)

中にはジャックが持っていたバーバラさんの血がついたクッキーが入っていた。

私 (そっか...確かそうだったね)


私はそのクッキーをバッグに入れた。


そして、手紙と一緒に入っていた髪の毛をコンパスの中にいれた。

そうすると、針がグルっと回転し方向を指した。


私「本当だ...バーバラさんの言う通りだ...」


葵「行くって言っても...どれぐらいかかるんだろう...」

葵「何キロ先かもわからないし...」

私「そうだよね...」


葵「とりあえず、その方向に向かおうか...」

私「うん...」


私たちは小屋を出た。


外は雨が降っていた。


私「雨...」

葵「運悪く雨か...」


私「お兄ちゃん。村はどうなってる?」

葵「ん?あっだいぶ炎がおさまっているね...」

私「ちょっとだけ寄ってもいい?」

葵「うん...」

私「バーバラさんの形見なんでもいいから、娘さんのお墓の中に一緒に入れてあげようと思って...」

私「あと火葬してあげようと思うの...」

私「やっと娘さんに逢えるようになったのに可哀想じゃない...あのままじゃ...」

葵「そうだね...朱音の言う通りだ」

私「うん...」


私たちは再びバーバラさんの元へ向かった。


私「よかった。まだ燃えていない...」

私「バーバラさん...本当に安らかな顔している...」

私「こんな顔見るの初めて...」

私「私のあげた髪飾り今日も付けて...」


私「バーバラさん...」

私「娘さんのところに今度連れて行ってあげるからね...」


私は髪飾りと指輪二つをバーバラさんから外した。


私「ごめんね。バーバラさん」

私「この髪飾りは私の思い出にさせて...あとこの指輪はミリアちゃんに...」

私「この指輪は娘さんのところに連れて行くからね...」


私「お兄ちゃん。火を持って来てくれない?」

葵「もういいんだね...」

私「うん...早く痛い体から解放させてあげたい...」

葵「わかったよ...」


葵は木材に残り火を付けた。


葵「はい...」

私「ごめん。ちょっと待って...」


私「バーバラさん!バーバラさん!」


私はバーバラさんに抱きついた。


私 「また前みたいにギュッてして...」

私 「朱音ちゃんって...頭を撫でて...」

私「お願い...」


でも、バーバラさんの体はとても冷たく...動かなかった。

私はようやくバーバラさんがもうこの世界にはいないことを理解した。


私「やっぱりそうなんだ...」

私「もう...いないんだ...ここには...」

私「そっか...そっか...」


葵「朱音...」

私「...」

私「うん...」

私「決心はついた...」

私「ちゃんとリディアさんと逢えるように見送ってあげないとね...」

私「うん...」


私はバーバラさんから体を離した。


私「バーバラさん...これまでありがとう...」

私「私にたくさんの温かさをくれて....」

私「本当に...本当に...ありがとう...」

私「愛しているよ...お母さん...ずっと...ずっと...これからもずっと...っうっっ...」


私「お兄ちゃん...お願い...っうっっ...」


私はお兄ちゃんから受け取り、バーバラさんに火を移した。


炎がみるみるバーバラさんの体を蝕んでいく。

私「あっ...」


私 (いいの...これで...バーバラさんはきっとこれを望んでいるんだから...)


私「どうか安らかに...リディアさんとお幸せに...」


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