バーバラさんが残した手紙
葵「朱音...朱音!」
葵「しっかりしろっ!」
私は目を覚ますと古い小屋の天井を見ていた。
私「ここは?」
葵「よかった...」
葵「朱音あの後、気を失って倒れたんだよ...」
葵 (付いて来て本当によかった...あのままだったら...)
私「お兄ちゃん...あの後って?」
葵「え?」
私「そうだ。早くバーバラさんを助けに行かないとっ」
葵「え?朱音...まさか...」
私「ん?お兄ちゃん何してるの?急がないと!」
私「さっき村が燃えていたじゃないっ」
私「バーバラさん無事だといいけど...」
私「でもなんで私ここで寝ていたの?」
私「魔力切れとか?またシェイドがごっそり持っていったんでしょ?」
私「あの羽虫!本当に許さない!」
葵「なっ...朱音...本当に覚えていないのか?」
私「覚えていないって何が?」
葵「覚えていないんだな...」
私「なんかまるで私が記憶喪失みたいに言っているけど...え?」
葵「本当はこの事実を伝えたくはない。だけど、朱音のために言うよ...」
葵「バーバラは死んだ...」
私「ちょっとお兄ちゃん何言っているの?」
私「お兄ちゃん。それはさすがに笑いでは済ませないよ!」
私「あの魔女のバーバラさんが死ぬわけないじゃない」
葵「じゃあ、これは?」
お兄ちゃんは私に手紙のようなものを見せた。
私「なに...これ?」
私「え...」
手紙からはバーバラさんの匂いがした。
私「ねぇ。これバーバラさんのよね...なんでお兄ちゃんが?」
私「...え...あっ...」
私はこの手紙がなぜここにあるのか思い出した。
私「そうだった...」
葵「そう。あの後、朱音は発狂してそのままその場に倒れたんだよ」
葵「俺は朱音を担いでこの小屋まで連れて来たんだ」
葵「本当に付いて来てよかった。後悔するところだった...」
私「...そうだったんだ...」
私「バーバラさん...バーバラさん...」
私「っ...うっ...っ...」
葵「朱音...悲しいかもしれないけど、今は悲しんでいる場合か?」
葵「バーバラは朱音に最後なんて頼んだ?」
私「バーバラさんはミリアちゃんを助けてって...」
葵「そう。朱音に最後の希望を託したんだ。バーバラは」
葵「こうしている間にもミリアとジャックが危ない目に遭っているかもしれない」
葵「朱音が今するべきことは?」
私「っ...うっ...っ...」
私「早く助けに行かないといけない...」
葵「そう」
私「手紙...」
私「開けるね...」
葵「うん...」
私はバーバラさんの手紙を開けた。
「朱音ちゃんへ
これを読んでいるってことは、最悪な状況ってことだけど、そうならないでほしいと今は思っている。でも念の為、これを朱音ちゃんに残します。朱音ちゃん。結論から言うとすべて魔王による仕業なの。アリエス王国は魔王軍によってすでに陥落した。そして、スフィアもそしてこの村も突然襲われた。その際に、ミリアが攫われてしまった... あまりにも強大すぎで私の力では到底叶わなかった...。ジャックがミリアを取り返しに行ってくれたんだけど、あれ以降、連絡がつかないの...
どうやら、魔王は随分前から復活はしていたようなんだけど、朱音ちゃんに逢ったことをきっかけに動き出したみたい...朱音ちゃん心当たりある?
それでこれからのことなんだけど、今の朱音ちゃんがまだ立ち向かえる相手じゃないってことはわかっている。だから、訪ねてほしい人がいるの。私の先生にあたる魔女マリーを訪ねてみて。きっと、魔王に立ち向かう方法を教えてくれると思うわ。手紙の封筒の中にマリー先生の髪の毛を入れておくね。それを朱音ちゃんが持っているコンパスの中に入れるとその位置を教えてくれると思う。心配しないで...私なんて比にならないくらい強大な魔女だから、遠くからでも反応すると思うわ。
朱音ちゃん。お願い...ミリアを救って...私の愛する娘をどうかお願い...
でも無理は絶対にしないでね。朱音ちゃんも私にとって大切な娘なんだから...
愛しているよ...朱音ちゃん... どうか二人とも無事でありますように...
バーバラより」
私「バーバラさん...」
私「私を娘だって...嬉しい...」
私「私も愛しているよ...バーバラさん...」
私「私、絶対にミリアちゃんを救うからね!」
私「そう。血は繋がっていなくても可愛い妹だもん。絶対に!」
葵「気になったんだけど、朱音...魔王に逢ったことがあるのか?」
私「ううん...ない...たぶん人違いじゃないかな?...」
葵「ふーん...そうなのか...」
葵「まぁ、とりあえず魔女マリーだっけ?」
葵「行ってみようか!」
私「うん!」
私 (私が絶対に助けるからね!ミリアちゃん!ジャック!)
私たちは魔女マリーを探す旅に出た。