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忘却のグレーテ  作者: だい
第一章
32/116

リディアの願い

私はジャックとウェーゲに戻った。


私「着いたね」

ジャック「うん」


私「あっそうだ!」

私「ジャック。ちょっとここでグリフォンと待っていて」

ジャック「ん? わかったよ」


私は村に入り、鮮魚店へ向かった。

私「すみません」

魚屋の店主「いらっしゃいっ」

私「この中で一番美味しいお魚ってなんですか?」

魚屋の店主「そうだねー...うーん...」

魚屋の店主「なんの料理に使うんだい?」

私「料理ではなくて...うーん...」

私 (グリフォンにとか言ったらびっくりされるかな...)


私「大きい鳥の...ペットに...」

魚屋の店主「ん?大きい鳥っていったらグリフォンとかかい?」

私「まさに!はい!」

魚屋の店主「それなら...」

私「グリフォンって一般的に知られているものなんですか?」

魚屋の店主「いや、珍しいっちゃ珍しいよ」

魚屋の店主「でも、行商人とかがたまに連れているところを見かけるよ」

魚屋の店主「ドラゴンを連れていたらさすがに国が動くけどね...まぁそんなことはないだろう...」

私 (グリフォンでよかったー...)


魚屋の店主「そうじゃあ、スカイフィッシュの大トロかな」

魚屋の店主「この魚はなかなか獲るのが難しくてね...かなり希少なんだ」

魚屋の店主「その魚は巨体でね。その中でも大トロの部分は脂が乗っていて絶品なんだよ」

魚屋の店主「グリフォンの好物って聞いたこともある」

魚屋の店主「ほれ」


魚屋の店主はケージから取り出して私に見せた。


魚の切り身の表面は虹色に輝いており、赤み部分はピンク色をしており脂が乗っている様子だった。


私「わぁ。きれい!」

魚屋の店主「これでいいかい?」

私「はい!」

魚屋の店主「じゃあ、4000ベルクだが、そんな大金お嬢ちゃん払えるのかい?」

私「はい」

私はマジックバックからお金を取り出して払った。

魚屋の店主「まいどありっ。お嬢ちゃんお金持ちだね」

私(へへっ...まぁ稼ぎ方については秘密ですけどね...)


私は魚の切り身を受け取った。

私「重っ」

魚屋の店主「ハハッ まぁグリフォンだからね。それぐらいはペロっと食べるよ」

私は魚の切り身を受け取って、村の外へ向かった。


私「おまたせー!」

ジャック「ん?なんだい?それは?」

私「あのね...グリフォンには色々助かったなって思って...お礼かな...」

ジャック「あぁ。そうゆうことね」


私「グリフォン。色々ありがとうね。あなたのおかげてとても助かったわ」


私は切り身をシートの上においてグリフォンの前に置いた。


グリフォンは最初なにか分かっていない様子だったが、匂いを嗅いでつつき始めた。

そして、魚の切り身であるとわかり食べ始めた。


グリフォン「グルゥー!」


私「ヘヘッ 食べてくれてるっ!美味しいのかな」


グリフォンはあっという間に食べ終えた。


グリフォン「グルゥー!」

私「もー。 くすぐったいよー。 ヘへっ」

グリフォンは私の頭に自分の頭を擦りつけた。

私 「よろこんでくれてよかった」


私「グリフォン ありがとうね」

私「今日はもう王様のところに帰っていいよ」

私「またよろしくね!」

私はグリフォンの頭をよしよし撫でた。

私「カワイイなぁ」


グリフォン「グガァー!」


グリフォンは翼を広げ飛び去っていた。


私「さぁ、戻ろっ!」

ジャック「あぁ」


宿屋ポパイへ戻った。


バーバラ「おかえり...」

私 (あれから、やっぱりバーバラさんの元気がない...)

私 (そうよね...自分の目的を失ったからよね...)


私「ただいま...」

葵「おかえり朱音」

葵「随分早かったな...」

私「うん。グリフォンに乗せてもらったから」

葵「あのグリフォンに!」

葵「朱音って高いところ苦手じゃなかった?」

私「へへっ...それがねー...もう慣れちゃった..」

葵「えっ!...そうなんだー...あの朱音がねー...」

私「そう!すごいでしょ?」

葵「いやー。驚いたよ」


私「あっそうだ。バーバラさん。今から時間ある?」

バーバラ「ん?あぁ。別に予定はないよ」

私「そっか。じゃあ、少し私に付き合ってくれない?」

バーバラ「うん。いいけど...」

バーバラ「どこかに行くのかい?」

私「うん。スフィアまで」

バーバラ「そんな都会まで行くのかい?」

私「うん。どうしても一緒に行きたい場所があるの...」

バーバラ「そうかい。いいよ。今から準備するね」

私「ありがとう」


葵「じゃあ、俺も付いていく」

ジャック「私もだ」

私「ダーメっ 二人で行きたいの!」

私「兄さんはジャックとどこかお散歩にでも行ってて...」

葵「えー...」

ジャック「えー...」

私「お願い!」


葵「・・・」

ジャック「・・・」

葵「早く帰ってこいよ」

私「はーい」

ジャック「何かあったらすぐに逃げるんだぞ」

私「大丈夫だって」


私はバーバラさんはスフィアに向かった。


バーバラ「なんだか久しぶりさ」

バーバラ「人とこうしてお出かけするのは...」

私「そうなんだ」

私「私もバーバラさんとのお出かけっ楽しい!」

バーバラ「フフッ...」


バーバラ「ところでスフィアなんか何しに行くんだい?」

私「会って欲しい人がいるの」

バーバラ「私はその人を知ってるのかい?」

私「ううん。知らないよ」

バーバラ「そうかい。なんだか緊張するね」

私「大丈夫。きっと喜んでくれると思うの」

バーバラ「そうかい...あっそうだ」

バーバラ「さっき出かける前にコロッケを持ってきたんだ」

バーバラ「あっちに着いたら食べようか...」

私「本当に!やっぱり?さっきからいい匂いするって思ってたんだ...」

バーバラ「都会はなんでも高いからねー...」

私「そうなの高いの...」

私「それにバーバラさんの料理に勝るものはないし...」

バーバラ「それは大袈裟じゃないかい?」

私「本当よ」

私「あと宿だって...」


そんなこんな話しているうちにスフィアに着いた。


私 「やっぱりここは賑やかだなー」

私「バーバラさんっ。ここ人が多いから私の手につかまって」

バーバラが微笑み私の手を握った。


私「ん?どうしたの?」

バーバラ「いや、なんだか娘連れられているようでね...フフッ...」

私「私から離れないようにね...」

バーバラ「あぁ。わかったよ」


私はバーバラさんを連れて目的地へと向かった。


私「着いた!」

バーバラ「ここかい?」

私「うん。ここ」


私はバーバラさんも孤児院に連れてきた。


バーバラ「あのねー。朱音ちゃん...」

バーバラ「私娘はリディアだけなんだよ...」


私「まぁまぁ。とりあえず会ってみようよ」

バーバラ「わかったよ...」


私「あっシスターさんだ。こんにちは」

シスター「あら?グレーテさん。お越しくださったのですね」

シスター「きっと、ミリアが喜びますよ。そちらは?」

バーバラ「どうも宿屋のバーバラです。よろしくね...」


シスター「あの宿屋ポパイのバーバラさんですか?巷で有名ですよ。最高の店だって...」

バーバラ「そうですかー。そんな噂が...それはうれしいですね。 フッフッ」


シスター「あっ!ちょうどそこにミリアが...」

私「ミリアちゃん!」


ミリア「あっお姉ちゃん!」

ミリア「来てくれたんだね!」


私「バーバラさん。この子は...」

バーバラ「リディア!?リディアなのかい?」

ミリア「お姉ちゃん。何?この人?」


私「バーバラさん。リディアさんではありませんよ」


バーバラ「あっごめんね。」

バーバラ「お嬢ちゃんが娘の小さい時にそっくりでね。おばさん間違えちゃった...」

ミリア「そうなんだ。大丈夫だよ!」

ミリア「クンクンッ。なんか良い匂いがする」

バーバラ「こっちに来る時にコロッケ作って来たんだよ。もしよかったら食べるかい?」

ミリア「いいの?!ありがとう!」


バーバラさんはミリアちゃんにコロッケ紙に包んでを渡した。

バーバラ「落とさないようにね...」

ミリア「うんっ!」

ミリア「いっただきまーす!」

バーバラ「はいよっ」

ミリア「すっごく美味しいっ!」


バーバラ「フッフッ」

バーバラ「食べている姿もかわいいね...」

私「そうでしょ?本当にカワイイのっ」

私 (マジ天使!定期的に会いたい! 今日はジャックがいないからゆっくりこの時間を...)

私 「どう?バーバラさん?」

バーバラ「そうね... どうなのかなぁ...」

私 「どうなのかなぁって?」

バーバラ「いや。初めて会った私のことをこの子がどう思うのかと思ってねぇ...」

私「そうだよねぇ...」


私「ミリアちゃんっ」

ミリア「ん?」

私「もしここにいるバーバラさんがお母さんになってくれるって言ったらどう?」

バーバラ「ごめんね...そんなの嫌だよね...こんなおばさんが...」

ミリア「え?!うれしいよっミリア!」

ミリア「全然嫌じゃないよっ!」

ミリア「だって私ずっとお母さん欲しかったもん!」

バーバラ「本当かい!?」

ミリア「うん!」

私「こう言ってくれていますが、どうですか?バーバラさん...」

バーバラ「私に断る理由はないよ...あんたが私を思ってくれてのことだしてね」

バーバラ「もしミリアちゃんがよかったらだけど、今日からウチへおいで」

ミリア「え!いいの?」

バーバラ「うん... その代わり私が作ったご飯いっぱい食べることが条件だけどね」

ミリア「それは大丈夫っ!ミリア大食いだからっ!」

バーバラ「本当かい?それは作り甲斐がありそうだ」

ミリア「へへっ...」


ミリア「じゃあこれからは...お母さん?...」

バーバラ「あぁ。無理しなくてもいいよ...おばさんでもなんでもね...」

ミリア「ううん...お母さんって呼んでもいい?」

ミリア「もし、私にお母さんがいたら一回呼んでみたいなって思ってたんだ...」

バーバラ「そう呼んでくれるのだったら、とっても嬉しいよっ...」


ミリア「おかあ...さん...」

ミリアが照れくさそうに言う。


バーバラ「はぁーい」

バーバラ「これからよろしくね。ミリアちゃんっ」

ミリア「うん!お母さんっ」

バーバラ「フフッ...」

ミリア「フフッ...」


ミリア「やったー!ミリアのお母さんだ!」

ミリアちゃんはバーバラさんを抱きしめた。

バーバラ「可愛いねー...」


バーバラ (あれ...)

バーバラの視界にはリディアの姿が薄らと映った。


バーバラ (そうゆうことかい...リディア...)

バーバラ (アンタは私にこうして生きることを望んでいたんだね...)

バーバラ (だから、あの時夢で「生きて」って私に言ったんだね...)

バーバラ (ようやくわかったよ...)

バーバラ (ごめんね。リディア...私はとんだ勘違いをしていたようだ...)

バーバラ (この子を大切にするよ...)


リディアが微笑みながらバーバラの視界から薄らと消えていった。

バーバラ (リディア...)


ミリア「シスター...」

シスター「ん?どうしたの...?」

ミリア「っ...うっ...」

シスター「なんで泣いているの?お母さんもできて幸せじゃない...」

ミリア「っ...うっ...うん。そうなんだけどね...」

ミリア「シスターやみんなとお別れするのが寂しくて...」

シスター「フフッ...」

シスター「正直言って...私も寂しいわ...ミリア...たぶんみんなも寂しいと思う...」

シスター「でもね。私もみんなもあなたの幸せを第一に願っているの...」

シスター「だから、行っておいで...ミリア...」

シスター「あっ...そうだ。これあげるわ...」


シスターは首にから下げた緑色の宝石のネックレスを外し、ミリアの首にかけた。

ミリア「これ大事なやつじゃないの?」

シスター「大事なものよ。だから大事な人にあげるのよ」

ミリア「シスター...っうっ...っ...」

シスター「ミリア...」


二人はそっと抱き合った。

ミリア「大事にするね...」

シスター「うん...」


私たちはシスターと孤児院の子どもたちに見送られて孤児院を出た。

孤児院の子ども達「ミリア。ミリアちゃん。元気でねー」

ミリア「うん...っう....ん。みんなも元気でねー」



その後、三人で屋台のマロップとコロッケをベンチに腰掛けて食べた。


私「やっぱりマロップって美味しいっ!」

ミリア「私もこれ大好きっ!」

バーバラ「確かに美味しいねっ。私初めて食べたよっ」

私「バーバラさんのコロッケも美味しいっ」


私は右手にマロップを持って、左手にコロッケを持って食べていた。


ミリア「お姉ちゃん。欲張りすぎー」

私「まさかミリアちゃんに言われるとわねー...へへっ...」

バーバラ「フフッ 本当さ」

ミリア「へへっ...」


私たちは和やかな雰囲気を楽しみ、三人で手を繋ぎながらゆっくり村へと帰った。

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