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忘却のグレーテ  作者: だい
第一章
31/116

暫しの別れ

私「うーん!いい天気!」


私は背伸びをして背中を伸ばした。

私「なんだか。やっと落ちついたね」

ジャック「ハハっ...そうだね...」

ジャック「本当に色々あったもんだよ...」


ジャック「うーん。あはぁ...」

ジャックも空に向かって背を伸ばした。

ジャック「キミの言う通りいい天気だ...」


私「それで?今からどこにいくの?」

ジャック「決まっているだろ。妹のところだよ」

私「やっぱりね」


私「グリフォン来てくれているかな?」

ジャック「さぁどうかな...」


私たちは村の外に出た。


私「あれ?...いないなぁ」

ジャック「やっぱりか...」

私「やっぱりって?」

ジャック「キミが気づいていないだけさ...」

私「なにそれ...」


「グガァー!」

空から雄叫びが聞こえた。


私「あっグリフォンだ!」

ジャック「おっ!来てくれたのか」


「ガガガガッガガ」

グリフォンが着地する。


私「うわぁ。かっこいいっ」


グリフォンは全身フル装備の鎧を身に付けていた。

ジャック「なるほどなー...相当王様に駄々をこねたんだろうなぁ...」


グリフォン「グガァー!」

私「グーリフォンっ!」


私はグリフォンに走って近づいた。

グリフォン「グガァー!!!」

グリフォンは一目散に逃げる。


私「ハハッ そっかー。私と追いかけっこしたいんだなー」

グリフォン「グガァー!!!」


私はグリフォンを必死に追いかけた。


ジャック「違うよ。グレーテ...キミがトラウマなんだよ...」


私「もー。カワイイなぁ...待て待てー...」

私「捕っかまえた!」

グリフォン「グガァー...」


ジャック(なんだかこの様子...獲物が狩人に捕まって足掻くのを諦めたような…)

ジャック「可哀想に...」


私「やっぱり、カワイイなお前...」

グリフォン「グガァー...」

私「ジャック!早く行くよー...」

ジャック「う、うん...」


私はグリフォンの背中に乗り上げた。

私「あれ...うーん...なんかゴツゴツしていて乗りにくいなぁ...」

私「前はモフモフしていて気持ちよかったのに...」

私「これ取るか」


グリフォン「グガァー...」

グリフォンが涙目でジャックに「取らないで」と懇願してくる。


ジャック「いや、グレーテそれは...グリフォンの命綱だから...」

私「あー。そっか。グリフォンも落ちた時とか敵に狙われた時とかあった方がいいもんね...」

ジャック (あぁ...まぁそれでいいか...一番の敵は背中に乗っているんだけどね...)

ジャック「そうだね!」


グリフォン「グガァー...」

ジャック「よかったよかった...」

お互いホッとする二人であった。


ジャックもグリフォンの上に乗り上げた。

私「さぁ行くんだ!グリフォン!」

グリフォン「グガァー!」


グリフォンは大きく翼を広げた。

私「え...もう行くの...」

グリフォン「グガァー!」

私「やっぱり怖いなぁ...」


グリフォンは身を乗り出し、丘の上から谷底へ急降下した。

私「プギャャーー!」


その後、グリフォンは急上昇し、風の軌道に乗った。


私「あれ...怖かったけど、前よりか大丈夫かも...」

ジャック「まぁ、もう3回目だからね」

私「人って怖いものも慣れるものなのね...」

私「グリフォンっごめんね。前は種として好きじゃないとか言って...」

私「今となっては全部大好きよっ」

グリフォン「グガァー!」

ジャック「ハハッ...よかったよかった。ようやく心が通じ合えたようで...」

私「うん!」


ジャック「あっそうだ。グリフォン。スフィアの上空まで行ってくれるかい?」

ジャック「そこから、また行って欲しいところを伝えるよ」

グリフォン「グガァー!」


グリフォンはスフィアに向かった。


私「あっスフィアだ!」

ジャック「着いたようだね。じゃあ、ここから少し南の方へ頼むよ」

グリフォン「グガァー!」


私「ジャック。あの崖よね?」

ジャック「うん。じゃあ、グリフォンあの崖まで頼むよ」

グリフォン「グガァー!」


グリフォンは崖をめがけてゆっくりと降下した。


「ガガガガッガガ」


私「ついた!」

私とジャックはグリフォンから降りた。


この前来た時と変わらず、美しい景色を背景にジャックの妹の石碑があった。


ジャック「グレーテ少し一人にしてくれるかい?」

私「うん...」

私は少し離れた岩のそばで、お花を集めることにした。



ジャック「グレーテル...」

ジャック「...」

ジャック「グレーテル...キミは今どうしているんだい...?」

ジャック「...」

ジャック「キミのことだから森でお花を集めたりしているのかな...?」

ジャック「あまり奥まで行っちゃだめだよ...帰って来れなくなっちゃうからね...」

ジャック「昔はその度に僕が迎えに行ったものさ...」

ジャック「キミは勇敢な割には泣き虫でね...」

ジャック「それが今でも心配だよ...」

ジャック「ごめんよ...グレーテル...」

ジャック「っっうっっ...キミを一人にしてしまって...っっうっっ」


ジャック「キミをあんな目に遭わせた魔女を私は殺せなかった...」

ジャック「あれだけキミに仇を取るって言っていたのにね...」

ジャック「っっうっっ...」

ジャック「ごめんよ...」

ジャック「ごめんよ...」

ジャック「っっうっっ...」

ジャックは石碑の前にして頭を石碑の前につけた。

ジャック「っっうっっ...」


ジャックは暫くそのままうずくまった。


ジャック「でもね...ある女の子に気付かされたんだ...」

ジャック「復讐をしてもキミは喜ばないって...」

ジャック「それで僕はギリギリで踏みとどまれた...」

ジャック「だから、まだキミの好きなお兄ちゃんでいられているかな...」


ジャック「グレーテル...ごめん...」


ジャック「僕はまだそっちには行けないようだ...」


ジャック「僕はもう少し生きてみたいと思ったんだ...」

ジャック「だから、まだそっちには行けないかな...」


「ビューー!」

ジャックの前に強風が吹いた。

ジャック「今のはあれかい?「勝手にしなよ」ってことかい?」

ジャック「フフッ...キミらしくないね...」

ジャック「ありがとう...」

ジャック「少しの間だけ勝手にさせてもらうよ...」

ジャック「グレーテル...暫しのお別れだね...」

ジャック「キミに幸あれ...」


ジャック「グレーテ」

ジャック「グレーテもう終わったよ...」

私「そうなの?...」

ジャック「うん...」

私「はい。これ...」

ジャック「キミが集めて来てくれたのかい?」

私「うん...」

ジャック「ありがとう」

ジャック「妹が喜んでいるよ」

私「フフッ... そうかな...」

ジャック「うん。きっと...」


ジャックは私の集めた花を手向けた。

ジャック「またね…」


ジャック「さぁ!グレーテ!僕らの再出発さ!」

私「うん!」


私とジャックはグリフォンに乗って村へ戻った。

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