明かされるジャックの真実?
「キミにはいずれ話そうとは思っていたんだけど……」
ジャックは俯きながら、静かに言葉を続けた。
「過去のことをあまり思い出したくなくてさ……」
「ごめんよ。黙っていて……」
「話すよ、すべて」
「僕がなぜメーディアを追っているのかもね」
私は息を呑んだ。
「……うん、お願い」
「僕は……昔、メーディアに会ったことがあるんだ」
ジャックの声が震えた。
「それで……」
「それでね……」
彼の手が小刻みに震え、唇がかすかに動く。
「それで……っうっ……ひぃっ……」
「ひぃ……ひぃっ……」
息が荒くなり、膝をついて苦しみ出した。
「ジャック! 大丈夫!?」
「ひぃ……ひぃっ……」
「もういい! 話さなくていい!」
「そんなに苦しいなら、無理に話さなくていいの!」
「ごめん……ごめんね……!」
私は彼の背中を優しくさすり続けた。
しばらくして、ようやく呼吸が落ち着いてくる。
「……ごめんよ、グレーテ」
「話せる時が来たら、必ず話す」
「必ずキミに伝える。
どのみち僕は、乗り越えなきゃいけないんだ……」
「うん、わかった」
「焦らなくていいよ。大丈夫だから」
私は微笑みながら、彼を見つめた。
「あなたのことは信用してる」
「どんな嘘をつかれたって……」
「私、大丈夫だから」
ジャックが静かに目を上げた。
「グレーテ……」
「ん? なに?」
「なんだか……太った?」
「……は?」
「なーんちゃって。嘘さ」
「コイツーーっ!!」
思いっきりデコピンをお見舞いした。
「痛ってーーーっ!」
「サイテーっ!」
「シェイド……アンタも出てきなさい」
「ん? なんだ、主」
「心当たり、あるでしょ?」
「心当たり? なんのことかなぁ……」
「ふーん、そうなんだー」
(……なんか嫌な予感!?)
「そ、そろそろ戻らないとなぁ……」
「ん? なんで逃げるの?」
私はシェイドの胸ぐらを掴んだ。
「私がグリフォンに乗って怖がってたとき、
ゲラゲラ笑ってたやつがいたよねぇ?」
「どこのどの子かな〜?」
満面の笑みを浮かべながら、ゆっくりと顔を近づける。
「ギクッ……!」
「き、聞こえてました……?」
「はい、よ〜く聞こえてましたよ〜」
「そんなに面白かった?」
「……はい。とっても……」
「痛ってぇぇぇ!」
シェイドにも、限界まで溜めた渾身のデコピンをお見舞いした。
「お二人とも。次に痛い目に遭いたくなければ、言動には気をつけてくださいね〜?」
「はい……」
「はいぃ……」
(とんだとばっちりだぜ、兄貴……)
「とんだとばっちり? まだ自分は悪くないと思ってるの?」
「えっ、心の声、聞こえて……!?」
「そうだよー。リンクは一方通行じゃないの」
「ご、ごめんなさい! ごめんなさいってば!」
「気をつけてね、シェイドくん?」
「はいっ!!」
まさか魔女の家で“お説教”を受けることになるとは――
ジャックとシェイド、二人のダメ男はその日、心から反省したのであった。




