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忘却のグレーテ  作者: だい
第一章
21/116

明かされるジャックの真実?

「キミにはいずれ話そうとは思っていたんだけど……」

ジャックは俯きながら、静かに言葉を続けた。


「過去のことをあまり思い出したくなくてさ……」

「ごめんよ。黙っていて……」


「話すよ、すべて」

「僕がなぜメーディアを追っているのかもね」


私は息を呑んだ。

「……うん、お願い」


「僕は……昔、メーディアに会ったことがあるんだ」


ジャックの声が震えた。


「それで……」

「それでね……」


彼の手が小刻みに震え、唇がかすかに動く。


「それで……っうっ……ひぃっ……」

「ひぃ……ひぃっ……」


息が荒くなり、膝をついて苦しみ出した。


「ジャック! 大丈夫!?」


「ひぃ……ひぃっ……」


「もういい! 話さなくていい!」

「そんなに苦しいなら、無理に話さなくていいの!」


「ごめん……ごめんね……!」


私は彼の背中を優しくさすり続けた。

しばらくして、ようやく呼吸が落ち着いてくる。


「……ごめんよ、グレーテ」

「話せる時が来たら、必ず話す」

「必ずキミに伝える。

 どのみち僕は、乗り越えなきゃいけないんだ……」


「うん、わかった」

「焦らなくていいよ。大丈夫だから」


私は微笑みながら、彼を見つめた。


「あなたのことは信用してる」

「どんな嘘をつかれたって……」

「私、大丈夫だから」


ジャックが静かに目を上げた。

「グレーテ……」

「ん? なに?」


「なんだか……太った?」


「……は?」


「なーんちゃって。嘘さ」


「コイツーーっ!!」


思いっきりデコピンをお見舞いした。

「痛ってーーーっ!」


「サイテーっ!」


「シェイド……アンタも出てきなさい」

「ん? なんだ、主」


「心当たり、あるでしょ?」

「心当たり? なんのことかなぁ……」


「ふーん、そうなんだー」


(……なんか嫌な予感!?)


「そ、そろそろ戻らないとなぁ……」


「ん? なんで逃げるの?」


私はシェイドの胸ぐらを掴んだ。


「私がグリフォンに乗って怖がってたとき、

 ゲラゲラ笑ってたやつがいたよねぇ?」


「どこのどの子かな〜?」


満面の笑みを浮かべながら、ゆっくりと顔を近づける。


「ギクッ……!」

「き、聞こえてました……?」


「はい、よ〜く聞こえてましたよ〜」

「そんなに面白かった?」


「……はい。とっても……」


「痛ってぇぇぇ!」


シェイドにも、限界まで溜めた渾身のデコピンをお見舞いした。


「お二人とも。次に痛い目に遭いたくなければ、言動には気をつけてくださいね〜?」


「はい……」

「はいぃ……」


(とんだとばっちりだぜ、兄貴……)


「とんだとばっちり? まだ自分は悪くないと思ってるの?」


「えっ、心の声、聞こえて……!?」


「そうだよー。リンクは一方通行じゃないの」


「ご、ごめんなさい! ごめんなさいってば!」


「気をつけてね、シェイドくん?」

「はいっ!!」


まさか魔女の家で“お説教”を受けることになるとは――

ジャックとシェイド、二人のダメ男はその日、心から反省したのであった。

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