お城への招待
ジャック「グレーテっ」
ジャック「起きるんだ...」
私「うーん…」
ジャック「...まだ、眠たいんだね」
ジャック「…」
ジャック「いや、でも、もう起きないと!」
ジャック「起きるんだぁー」
私「キャーーーーーっ!」
ジャック「はーい。おはよう」
私はいつものように砂時計を見つめた。
私「ねぇ!今日って…」
ジャック「そう。国王様に会う日だよ...」
私「準備しないと!」
私「ねぇ!なんでもっと早く起こしてくれなかったのっ!?」
ジャック「いや、僕は一時間前からずっと起こそうとしていたよ」
ジャック「キミが起きなかったんだっ!」
私「そうなの?」
私「私、起きるのは得意な方なんだけどなぁ…」
ジャック「本当にどの口が言っているのかな…」
ジャック「下で待っているからね」
私「うん!」
身なりを整えて急いで下に降りた。
私「ごめーん。お待たせー」
宿の下にはジャックがいた。
?「お初にお目にかかります。王様より仰せつかまりましたモーロックと申します」
モーロック「本日は貴方様のお迎えに参った次第です」
私「あっ」
私 (ジャックだけだと思ったから気軽に声かけちゃった...恥ずかしい...)
私 「初めましてグレーテです」
私「お迎えありがとうございますっ!」
モーロック「えぇ。これはこれは何卒ごひいきに」
モーロック「早速のところで申し訳ございませんが、お時間が少々押しておりまして...」
私「本当にごめんなさーい...」
モーロック「いえいえ、それでは馬車へ」
私「はい」
私とジャックは馬車へ乗り込んだ。
馬車の中は赤と黒を基調とした高級感のある内装だった。
私「すっごーいっ!」
ジャック「僕も馬車に乗るのは初めてだよ」
モーロック「それでは出発いたします」
私「はい。お願いします」
馬「ヒヒーンッ」
馬車が街の通りをゆっくりと駆け抜ける。
私「みんな見てる」
私「そりゃ目立つよね...」
街の人一「あの子って昨日のっ!」
街の人二「昨日はよく頑張ってたなお嬢ちゃん。お兄さんの為に頑張れよーっ!
街の大勢の人々「頑張ってねーっ!」
街の大勢の人々「頑張れー!」
街の人々が馬車に向かって手を振っていた。
私「わぁ!皆さん...本当に嬉しい」
私も感謝を込めて馬車の窓から手を振った。
私 ( 兄さんのことは心配だけど...今は皆さんの応援のおかげで胸がいっぱいだな…)
モーロック「見えてきましたよ」
私は馬車の窓から外を眺めた。
前方には大きな石煉瓦の橋が架けられており、池を囲むかのように中央には白い外壁の大きなお城が聳え立っていた。
私「あれが…」
モーロック「はい。あちらが魔法王国『エイジス城』です」
私「大きいっ!」
馬車は橋を渡り、外壁の中へ入っていく。
馬車が止まった。
モーロック「さぁ着きましたよ」
モーロックさんが馬から降りて扉を開ける。
外には二十人程のメイドさんが場内へ続く赤い絨毯を囲むようにずらりと並んでいた。
メイド達「ようこそお越しくださいました」
私「あっ....はいっ...」
私は初めてのことで慌てふためいた。
メイド「それでは中へ」
私「はい! ...」
私( なんだかプリンセスになったみたい…)
私( こうゆうのって堂々とするべきなのかな...)
私( ジャックみたいに...)
ジャック「行くよ。グレーテ...」
私「うん」
メイドさんに囲まれながら赤い絨毯の上を歩いて城内へ入った。
城内は白と青を基調とした澄み切ったような内装だった。
私「綺っ麗ーー
私 ( 思わず声が出ちゃった...)
私 (これがっ!お城...)
メイド「さぁ。正面の扉を開けますと王の間となっております。」
メイド「あちらの階段から二階へとお上がりくださいませ」
私「はい!」
ジャック「グレーテ...緊張しすぎさ...」
私「そりゃ緊張するよ...」
ジャック「いつも通り腑抜けたキミでいいんだよ」
ジャック「痛って...」
私はジャックの横腹をツネった。
ジャック「また、ムスッとして...ハハっ...」
ジャック「それでこそいつものキミだ...」
螺旋階段を上がり、王の間の扉前まで来た。
私「ここからね!」
メイド「では、開けますよ」
私「はいっ!」
扉の中からは眩い光が差し込んだ。