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忘却のグレーテ  作者: だい
第一章
17/114

国王ルーク・エイジス

国王「皆の衆、面を上げよ」

国王「我こそ申し訳なかった」


国王「民主国家である以上、こうしたことはしたくはなかった」

国王「なぜならば、我の一存になってしまうからだ」

国王「だか、放ってはおけなかった」

国王「この状況をな」


国王「マッドよ。民を代表して我の質問に応えてほしい」

マッド「いえいえ、先ほどは大変なご無礼をっ!」


国王「構わぬ。我こそ申し訳なかった」

マッド「いえ、滅相もございません。なんなりとお応えいたします」


国王「この祭りの起源について教えてくれるか?」

マッド「この国が単なる小さな田舎町であったころ、町民から代表者として王が選ばれ『エイジス』が誕生しました」

国王「そうだ」

マッド「そして、初代国王はこの国にいる『皆との助け合い』をモットーに『願い事コンテスト』を開催されました。それが今日まで続いております」


国王「その通りだ。代弁、大変感謝する」

マッド「いえいえ。ありがたきお言葉」


国王「皆の衆よ。今のをお聞きになられたかな」

国王「聞いての通りこのコンテストの起源は、『皆との助け合い』」

国王「それがこの国の起源だ」

国王「エンターテインメントによって祭りを楽しく盛り上げるのも勿論良いこと」


国王「だが、起源を忘れてはならない!」

国王「昨今のコンテストはあまりそれを重んじてないのではないだろうか」


国王「再度、我が愛する国民に問う」

国王「すでに札上げた者も良いことにする」


国王「この者の願いを叶えてあげたいと思うものは!」


観衆全員の札が上がった。


国王「我は大変安心した」

国王「助けを求める者に対して助けようとする『愛』が国民の皆にあるということを」

国王「職業や身分などに関係なく『皆で助け合う』これこそがエイジスの素晴らしさだ!」


国王「こんな我ではあるが、どうかこれからも皆の力を貸してほしい!」

国王「この国を万人とって良きものにするためにっ!」


観衆「うぉーーーーー!」

観衆「国王様バンザーーイ!」

観衆「国王様バンザーーイ!」


国王「っということだ」

国王「そち、グレーテといったな」

私「はい!」

国王「我はそちの願いを国家総出で叶えると約束する!」

私「国王様っ!本当にっありがとうございます!」


国王「では、明日の朝、我の城に連れの友人と来るように」

私「はい」

国王「今日はゆっくり休め。そちも相当疲れたであろう」

私「温かいお言葉をありがとうございます!」

国王「あぁ」


私は王様に深くお辞儀をした。


?「国王様お迎えに上がりました」


国王「あぁ。それではなっ」

私「はい」


マッド「まさかのひっくり返しぃ!今年の優勝者は五十四番、忘却のグレーテだぁーーーー!」


観客「うぉーーーーーーー!」

観客「ヒューーーーーーー!」


私( こんなことになるなんて…)

私( 奇跡だ。奇跡が起こった)


私「へへっ」

シェイド 「 よぉっ 主!頑張ったな」

私 「シェイドっ」

私「奇跡、起きたよ」


シェイド「いいや。奇跡じゃあねぇ」

シェイド「最初からこうなるって気がしてた」

シェイド「おめえさんには、言葉では説明できねぇ力がある」

シェイド「盤上をひっくり返したなっ!主!」


私 「うん!」

私「ありがとうっ!シェイドっ!」

シェイド「あぁ」


コンテストの優勝者はこの後、色々な待遇を受けるらしいけれど、私はこそっと抜け出して帰路についた。


?「グレーテ...」

薄暗い街路樹の側から聞き慣れた声がした。


私「ジャっ!ジャックっ!」

ジャック「あぁ。僕だ」

ジャック「見ていたよっ。キミを」


私「もぅ!来ていたんだったら声ぐらいかけなさいよっ!」

ジャック「僕を一人、宿に置いて行ったくせに...?」

私「だって、それは...」

ジャック「嘘さっ。わかっているよ。僕のことを思ってだろ?」

ジャック「キミは優しいから…」


ジャック「それよりも、よく一人で頑張ったね」

ジャック「私はキミの頑張りに驚いてしまったよ...」

ジャック「グレーテ…おいでっ」


ジャックに思いっきり抱きついた。


私「怖かった…」

私「沢山の人に見られてすっごく怖かったよぉー...」

私「っっうっ...うわぁーぁぁ…」

ジャック「頑張った頑張った。キミは本当によく頑張った」

ジャック「偉い偉い…」

ジャック「頑張った。頑張ったね」


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