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忘却のグレーテ  作者: だい
第一章
16/114

私の願い

マッド「それでは本日、最後の挑戦者です!」

マッド「どうぞ!」

私( あー。緊張する…)

私( でも、もう決心はついた。結果がどうであれ全力を出し切ろうっ!)


マイクスタンドの前に立った。


私( みんながこっちを見ている....)

私( あっ...緊張で声が出ない...)


・・・


観客がざわめき出した。


マッド「あのー…大丈夫ーですか?」

私「...はい…」


私 ( 行くよっ!)


目をゆっくりと見開いた。


私「あの…」

私「あの…私...グレーテと言います」

私「…」

私「どうか私のお願い…聞いて下さい…」


私「私には兄がいます...」

私「でも、私には兄との記憶がありません...」

私「なぜなら、私は毎日記憶が消えてしまうからです...」

私「私にとって彼がどれぐらい大切な人…なのかも分かりません…」


私「でも... でも、なんとなくわかるんです…とっても大切な人なんだって...」

私「失っちゃいけないって…」

私「私が忘れているだけでとっても…」


私「い、今、兄は…ある魔女に囚われています…」

私「それで、私は友人とその魔女を探す旅をしています…」


私「これを見てください」

私はポケットからクローバーを取り出した。


私「この葉の緑の部分は兄の寿命を示しています」

私「もう時間が…時間がないんです...」


私「だから、皆さん...」


私「っっうっ...」


私 ( 泣いちゃダメだ...)

私 ( 最後まで伝えないと…)


私「どうかお願いですっ!」

私「っっうっ...」

私「魔女メーディアの居場所を教えてください!」


私「どんな小さな情報でもいいんです...」

私「もう時間がなくて...もう私どうしたらいいか分からなくて...」

私「っっうっ...うっ」


私「どうか...どうか...」


私「お願いします!」


私は観客の前で深々と頭を下げた。


私 ( 場違い…だったかな...)

私 ( 本当…私、何しているんだろう...)


観衆「…」


観衆の中から小汚い格好をした一人の男性が名乗りをあげた。


小汚い男性「フンっ。今日は祭りだって言うのに興醒めだな...」

小汚い男性「大切かどうかも分からないのに兄を助けたいだってぇ?」


私 ( そうよね。そうだよね...)

私 (ごめんなさい...)

私( 私が楽しいお祭りを台無しにした…)


私「ごめんなさい…」


小汚い男性「なーんてなっ。からかっただけだ」

小汚い男性「こっちこそごめんよ」

小汚い男性「俺にはよう…アンタの思いバッチリ届いたぜ。お嬢ちゃんっ!」

小汚い男性「俺はアンタに一票だ!」


私 ( えっ…)


小汚い男性「何驚いた顔をして。俺はアンタの魂の叫びが響いたんだよぉ!」

小汚い男性「助けたいんだろ兄貴を」

小汚い男性「なぁ?」

私「…はい!」


私「会って…会って、もっと私のこと、家族のことを聞きたい!」

私「私が忘れてしまっていることを沢山…っうう…沢山…」


小汚い男性「わかったっ!俺に任せておけ」

小汚い男性「おーい!他にはいねぇのかー...」


観衆「助けてあげたいけど...他にあげちゃったし…」

観衆「そうよねぇ...」


小汚い男性「上げてないやつ他にもいるだろう?」

小汚い男性「この子の願いみんなで叶えてやろうぜっ。なぁ!」


観衆「あいつ、自分が共感したからって...俺らに押し付けるなよな...」

観衆「そうよ。上げる上げないは私たちの自由なんだから!」


周囲がざわつく。


マッド「まっまぁ、とりあえず集計を行いますよ...」

マッド「集計の結果...えーっと...」

マッド「三票ですね...」


私 ( うん。別にいい。それでもいい)

私 ( 三人もの人が私に票を上げてくれた)

私 ( 嬉しい...)

私( その三票が私にとってどれだけ嬉しいことか…)


さっき名乗りをあげた男性がまた声を上げた。


小汚い男性「ちょっと待った!」


マッド「何ですか!あなたはさっきから!」

マッド「これ以上、進行を阻むのであれば、退場してもらいますよっ!」


小汚い男性「悪りぃ..ごめん。アンタも仕事だもんな...」

小汚い男性「でも、今年の祭りはこの志願者がいるから異例だ!」

小汚い男性「こうゆうのはあまりしたくなかったが…」

小汚い男性「これはいい機会だ」

小汚い男性「なぁ。この祭りの主催者は?」

マッド「何なんですか本当にっ! 皆さんもご存知の国王様ですよっ!」

小汚い男性「そうか」

小汚い男性「じゃあ、これは知っているか?」


名乗りを上げた男性が胸元からネックレスを出して見せびらかした。


マッド「それはっ!王家の紋章!?」

マッド「しっしかも、そっそれはただの王家の紋章ではない」

マッド「先代の王から継承したものだけが所有するっ!」

マッド「まっまさか!?あなた様は!?」

マッド「こっこれは、大変なご無礼を!」


?「いいや。アンタも仕事だ」

?「この国は民主国家、だれもアンタを咎められないよ」


マッド「皆さん…こっこちらの方は、紛れも無い第五代エイジス国王 ルーク・エイジス様ですー!」


観衆「そっそんなっ!」

観衆「あの方がっ!」


周囲の人が彼に向かってひれ伏した。


私 (えっ!一体、何が起きているの!!?)

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