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忘却のグレーテ  作者: だい
第三章其の二
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黒髪の少女

黒髪の少女は商店街の中央通りを外れ、狭い裏路地へと入っていく。


建物の隙間を抜けて、少し開けた場所で彼女は立ち止まった。


黒髪の少女「やっと、こうして…」


黒髪の少女は私の方を振る。


私「なんであの名を知っているの…」

私「あなた東の魔女なんでしょ?!」


私「そうなんでしょ…」

私「もうやめて…」


私「そんなに私をいじめて楽し?」

私「いい気味?」

私「もう散々よっ!」


私「なんで…なんでっ!私がお父さんとお母さんを殺したことになっているの…」


私「もうやめて…」


私「私、あなたには何も危害を加えないから…」

私「お願いだから…」

私「そっとしておいて…」


私「私にはもう時間がないのっ!」

私「早くしないと…」

私「早くしないとあの二人が…」


黒髪の少女「何を言っているのか分からない…」



私「とぼけないでよっっっ!」



黒髪の少女「きっと、あなた…勘違いしているわ…」



私「勘違い?じゃあ、何でっ!私のあの名前を知っているの!」

私「それはあなたが東の魔女だからでしょ!」



黒髪の少女「違う…」


私「何が違うのっ!」


黒髪の少女「説明するから一旦落ち着きなさい…」

黒髪の少女「私は別の世界で亡くなって、この世界に前の記憶を持って生まれたの…」


黒髪の少女「私は前世で死後、神様に願った」

黒髪の少女「グレーテ…あなたの力になりたいって…」


私「訳がわからない…」

私「あなたっ!…誰なの…」


黒髪の少女「私の母…メーディアが大変ご迷惑をおかけしました…」

黒髪の少女「この名はあなたにとって馴染みがなかったわね…」


私「…えっ…」


黒髪の少女「バーバラの娘の『リディア』です」


私「えっ…」

私「ええ…」


リディア「ずっと、あなたに会いたかった…」

リディア「母を変えてくれたあなたに…」


リディア「グレーテさん。ありがとう」

リディア「本当に…ありがとう」


リディア「そして、私の母があんな酷いことをしてごめんなさい」


黒髪の少女は頭を下げた。



私「えっ…ほっ本当に…」

私「リディアさんなんですか?」


リディア「えぇ。まだ記憶が残っているうちはね…」

リディア「この子の成長と共に消えてしまうみたい…」

リディア「でも、今はまだ…」


私「いや、私…」

私「状況が未だに飲み込めてなくて…」


リディア「そうよね…」

リディア「時間もないだろうし、簡単に説明するわ」


リディア「さっきも言ったように、私はこうして前世の記憶を持って生まれた」


リディア「どうしてもあなたの力になりたくて、死後、一度だけの願いを神様に願ったの」

リディア「あなたの力になりたいって」


私「なんで…」

私「そんな…私のために…」


リディア「そんなことでは済ませられない程…返しきれない程の恩があなたにあったの…」


リディア「復讐のために費やす母を見ているのは本当に辛かった…」

リディア「もうあの母は私の知っている優しいお母さんではなかった…」


リディア「死後、母の側で止めるようずっと問いかけた…」

リディア「魂となった私の声は届かなかった…」

リディア「私はもう諦めていた…」

リディア「復讐を成し遂げて、母が納得するならばそれでいいと思っていた…」


リディア「でも、ある日あなたが現れた」


リディア「あなたが気付かせてくれた…」

リディア「復讐なんて私は望んでないことをね…」


リディア「スッと肩の荷が降りた気がした…」

リディア「お母さん…やっと気付いてくれたんだって…」


リディア「それだけじゃない。あなたは母に生きる希望を与えてくれた」


リディア「可愛い私、いや、私たちの妹ミリア」

リディア「ミリアへの母の姿は、私が知っている大好きな優しいお母さんそのものだった…」


リディア「嬉しかった…本当に嬉しかった」


リディア「だから、私は決めたの」

リディア「母のために…妹のために…そして、あなたのために」

リディア「力になりたいって…」


リディア「あなたたちの今後の未来を見たいって」

リディア「そして、私は神様に懇願した」


リディア「何度も何度も引き返された…」

リディア「それは無理だって…」

リディア「死者が生者に対して干渉してはいけないって…」


リディア「それでも、それでも懇願した」

リディア「ずっと…ずっと…」


リディア「そう。グレーテ…あなたのように」

リディア「大切な人のために強く…強く」

リディア「ただひたすらに願った…」


リディア「それで、今こうしてここにいるの」

リディア「あなたの手助けをするために」

リディア「私はここにいるの」


リディア「願わくば、私もあなたの描く未来でお母さんと妹と過ごしたい…」


リディア「でも…」

リディア「それはできない...」

リディア「分かってはいたんだけれどね…」


私「リディアさん…」

私「ありがとう…」

私「私のためにありがとうございます…」


私「伝える…」

私「私、絶対に伝えますからっ!」


私「リディアさんの願い。思いをバーバラさんに…っうっっ…」


私「私が望み叶えて、必ずバーバラさんに伝えますからっ!」

私「ミリアちゃんにはね。もう一人とっても強くて優しいお姉ちゃんがいるんだよ!って…」

私「私っ!伝えますからっ!」


私「っっうっ…っっうっ…」


リディア「ありがとう…」

リディア「グレーテさん…」


リディア「嬉しい…」


私「っっうっううっ…」


リディア「さぁ、もう泣き止んで」


リディア「もう時間…ないんでしょ?」

リディア「私が空港まで安全な道を案内するから…」


私「っっうっ…はい。っっ…」


私は服の袖で涙を拭き、リディアさんに付いて行った。


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