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8、いらんでしょ!


攻略対象『朱薪(あかまき) 千夏(ちか)

は、俗に言う不良キャラだ。

目付きは悪いし、口も悪いけど、イケメン。

短い黒髪に金色のメッシュに、赤系のカラコン入れている。

背は183㎝で他の攻略対象よりがっちりした体つきな印象。ヒロインを俵担ぎしたスチルがあったかな。お姫様抱っこはもう古い!とそれで一部では俵担ぎブームだった。……私は普通にお姫様抱っこの方がときめくけど。

ぶっきらぼうながら、たまに見せる優しさにキュンとはしたよ。


で、そんな千夏ちゃんが目の前にいます。

ぶつかってしまったんだよな~。

因縁付けられる前に土下座する勢いでもう一回謝っておくべき?


「……おい」

「ひゃい!」


また自分の世界に入ってしまっていた。

改めて千夏ちゃんを見ても、眉間に皺が寄っている。


「いつまで座り込んでる気だ?」

「え?」

「まさか立てねぇんじゃ……」

「いえ、立てます!」


手を伸ばしてくるから思わず立ったけど、もしかして手を貸してくれようとしたのかな?

立って見上げても背が高い。節くん程じゃないけど。


私がジッと見上げるのと同じで、千夏ちゃんもジッと見下ろしてくる。

そして、頭を掻いて溜め息。


「……怪我は、無さそうだな」


気遣うのに慣れていないんだな~。

デカくて厳ついけど、可愛く見える不思議。

ニコニコしちゃう。


……んだけど、その気持ちも吹き飛ばす声が聞こえる。


「あ、いた!まだ話は終わってないわよ!」


怖い顔したヒロイン(ひなちゃん)だ。

追い掛けてきたのか~。

可愛いサポ子の顔まで渋くなってしまっているかも。

そんなこと関係無く近付いて来て、ふと足が止まる。

どうしたんだろう?

と思ったら、ひなちゃんが「千夏くん」と目を丸くして言った。

あぁ、攻略対象と思わぬところで遭遇することになったものね。


「慣れ慣れしいな。誰だよ、お前」

「あ、わたしは……一年Aクラスの桃木ひなと言います。よ、よろしくお願いしますぅ」


急に(しお)らしく振る舞うひなちゃんに私はドン引きである。

こういうタイプなのか~。

見た目が可愛いだけに残念さが増す。

千夏ちゃんも「よろしくしねぇよ」と言っていますが、聞く耳は持たない感じで近寄ってくる。しかも、私を押し退けて、ベタベタ触れようとするから眉間に皺がさっきより濃くなった気がする。


ひなちゃんの手を払って、ひなちゃんを無視して、私に「お前の友達(ダチ)だろ、どうにかしろ」と言ってくる。

どう見たらお友達に見えるのかな~?

友達(ダチ)に見えます?」と聞くと、「見えねぇ」と小さく返ってきた。

なら、言うな。


下駄箱付近で騒いでいたから……と言っても、一人でひなちゃんがキャッキャッ言っていただけだけど、近くにあった保健室から玄井先生まで来てしまう。

ひなちゃんは更に「凪冬先生カッコイイ!」と騒ぐから、落ち着かせる為に保健室に呼ばれた。なんで、私まで。千夏ちゃんは授業サボったのバレて、渋々付いて行かされていたし。

お客様の目にも触れるかもしれない玄関で騒がれるのは迷惑だから、仕方ないのかもしれない。


椅子は人数分無いから、千夏ちゃんはベッドの方に座るとひなちゃんは隣にくっついて座ろうとして、隣のベッドに追いやられていた。

私は大人しく空いた椅子に座って、向かいの椅子に座る玄井先生のお説教を聞いた。

やっぱり、玄関で騒ぐなってことだった。

後、さっき全力疾走した足音も聞こえていたらしく、それも注意された。

すみませんでした。


お説教後にホットココアを淹れてくれた先生には惚れそうになった。

甘くて美味し~。

ホットココアでのほほんとする私を他所に肉食系女子となったひなちゃんは玄井先生と千夏ちゃんに猛烈アタックしていた。

ココア飲んだら、帰らせてもらおう。

自分でアタック出来る子にはサポ子いらんでしょ!


「あ、手助、ここにいたのか」

「蒼くん」


外側の戸を開いて、蒼くんが顔を出す。


「帰ったんじゃないの?」

「そう思ったけど何か気になって。上級生はこの時間授業だし、同級生かなって思ったら感じ悪いなって思ったんだ。大丈夫だった?」


心配してくれたことが嬉しくなる。

蒼くん、良い子だな~。

「大丈夫」と頷こうとしたら、後ろから「春くん!」と嬉々とした声が。当然、ひなちゃんである。

攻略対象が三人も集まって来たからな。

テンション上がりまくりなのかな……。

精神がオバチャンな私はそのテンションに付いていけん。精々、脳内でキャッキャッするだけだわ。









【サポートキャラだって恋したい!】






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