4、どうなってんの!?
何かが触れた気がした。
脚とかお腹とか、首とか……頬っぺた?
唇にもかな?
まだ眠いけど擽ったくて、ぼんやりした頭を横に振って、目を開いた。
ぱちくり。
見えたものに瞬きをした。
驚いた。
驚き過ぎて、声も出ない。
……というか、固まった状態とはこういうことを言うのだろうと後に思った状態になった。
綺麗な榛色の瞳が見える。
瞳だけじゃない。
見惚れる程に美しい顔面が至近距離にある。
ソファに寝ている私の上に覆い被さるみたいに……彼はいた。
なんで?どうして?
「おはよう。目覚めた?」
「……ぁ、はい、おはようございます」
うおおおおおおおお!!!しゃべった!!!!!
しかも、見たことない目映い笑顔だと!!??
いや、全スチル解放出来てたら見れたか?
推しがっ、推しが目の前にいる!!!
「反応薄いね。まだ眠い?」
いやいやいや、どう反応して良いかわからないだけです。眠いことは眠いけど。
この場合、頷いておくべきかな?
「かわい」
「…………っっ!?!?!?」
小さく頷いたら、いきなりキスされた。
え?キス?キスだよね??
チュってされて、更にペロッと唇を舐められた。
なんで?どうして?
夢でも見ているのかな?
推しがここにいることも、推しが私にこんなことするのもゲームの続きが出来なかった私の妄想だ。ゲームの世界に転生?したってのも夢かもしれない。
夢なら、女性らしさのあるヒロインになりたかったんだけど……。
「いきなりこんなことしてごめんね?でも、キミがここにいるのが嬉しくて」
ぎゅって抱き締められる。
小さなサポ子が潰されちゃうんじゃないかと心配したけど、彼は優しく優しく抱き締めてくれていた。
心臓バクバク。
でも、心地良い。温かくて、良い匂い。
イケメンは全てにおいてパーフェクトなのか。
夢なら抱き付き返しちゃっても、良い……よね?
彼の背中に恐る恐る手を回してみた。
ピクリと反応して、「ヤッバ」と呟いていた。
何がヤバいんだろ?
……ん~、背中が広くて私の腕じゃガッチリホールドするのはムリ!
190㎝あるってプロフィールには書いてあったから、体格差から難しいか。
ふふん、推しを堪能。
こんな幸せを夢でも堪能出来るなんて嬉し過ぎる。
「ホント、ヤバい……さほちゃんかわいすぎ」
ちゅっちゅっちゅっと頭、こめかみ、頬とキスされて、また至近距離で見つめ合う。
かわいいと言われて嬉しい。
推しにかわいいと言われているんだ。嬉しくない訳がない。
しかも、さほちゃん呼び!
甘々な表情で微笑まれているし、私もヤバい。
「……うぅ、せつくん……しゅき」
気付いたら、声に出してしまっていた。
推し尊い!
「それ、ホント?」
額と額、鼻先までくっ付けて聞かれて、くらくらする。
「うん」と頑張って答えたら、「両想いだ!」とまたぎゅってされた。
ヤバいヤバいヤバい。
心臓が爆発する。
幸せ過ぎて、このまま死んでも良い……と想いながら、夢の中で気を失った。
優しい手で頭を撫でられる。
夢の続きでも見ているみたいで、ヘラリと笑ってしまう。
微睡む中、二度寝しそうなところで……。
「また遅刻しちゃうよ。さほちゃん?」
と推しの声。
夢と言うには頭が冴えてきて、頭から頬に移った優しい手が温かく存在を主張する。
ガバリとベッドから飛び起きて、私の脇……ベッドに座る制服姿の推しを見た。
夢じゃない?本当にいる??
「おはよう。目覚めた?」
デジャヴウウウウウッ!!!!
朝から目映い笑顔いただきました!!
目映過ぎて目が潰れる!!!!!
両手で顔を覆った。
寝起きの汚ない顔も隠せた。
なんで?どうして?どうなってんの!?
【サポートキャラだって恋したい!】