25、何処か出掛けたいね!
ゴールデンウィークなんです。
長い連休になって、「お客さんも少ないからお店もお休みにしようか」と店主さんが言ったのでお休みになって時間がたっぷり出来てしまった。
シェアメイトが揃ったその日の夕方に喫茶店に行ったらね、言われたの。
店主さんの都合だから、有給にしてくれる破格の待遇!
ありがたいけど……三人分の有給って大丈夫かな?大丈夫じゃなかったら言わないか?
行っても閉まっているから、休みは堪能しようとは思いますよ!
何処か出掛けたいね!
後、一週間ぐらいあるんだもん。
翌日はお出かけスポット探し!
学園協賛の町なら黄王地学園の学生限定の特別割引が使えて、お得!
受験生の節くんは参考書片手に、ゲームヲタの蒼くんは携帯ゲーム機を弄りながら、その間でスマホでスポット探しをする私の手元を覗き込んでいる。
なんだ?この状況。
「あ、ランド良いんじゃなーい?ランド!」
後ろからソファーに寄り掛かり、加結さんも口を出してくる。
なんだ?この状況。
「ランドはダメだよ。初めて行くならオレとのデートじゃなきゃ!」
「えぇー!?おーじ先輩ズルーイ!あたしもさっちんとランド行きたいのにー!」
「なら、こっちのモールは?観覧車ある」
勝手に私のスマホ操作しないで!蒼くん!
というか、知らない内にみんなで行く感じになってる?
「観覧車良いねー?さっちん一緒に乗ろー?」
「だから、オレと二人で乗るの!」
「なにー?二人で乗ってチューする気ぃー?おーじ先輩スケベー!」
「ちょっ、七草ちゃんヤメテ!さほちゃんに嫌われたらどうしてくれんの!?」
「実際、観覧車でキスするカップルってどれだけいるんだろうな……。手助は観覧車でキスしたいって思ってないだろ?」
「うん、そだね」
よく解ったね。
人に見られるかもしれないところでしたいとは思わない。前世で観覧車乗った時に人様がしているの見ちゃったからかなー。恥ずかしいじゃん、普通に。
でも、節くんも加結さんも「え!?」とちょっと残念そうだ。あんたらはやりたい派か。
二人のことは無視して、蒼くんも「俺も見える場所でしたくない」と同意してくれた。蒼くんとは結構意見合うんだよね。居心地良いのはこのせいか。
「モールじゃなかったら電気屋とかはどうだ?共同生活なら、みんなで食べたりもするしホットプレートがあっても良いと思う。他にも欲しいのあるし」
「私も家電みたいかも」
大型家電は備え付けらしいが、他は個人で持って来たり、買ったりするものだとか。私が来た時には十分な食器類や家電が揃っていたから気付くのが遅れたけど。
私もホットプレートは欲しいかな。
後、何処かで鍋も探したい。温かくても鍋物は食べたくなるんだもん。その為の卓上コンロも必要だね。
こういう買い物はアルバイト代でじゃなく、実家から出して貰っても良いことになっている。
生活費は自分で賄うから、私も実家から生活に必要な物は余程高くなければ買っても良いとお小遣いを貰っていた。
シェアが終わった後も自分で買った物は持って行けるから、あった方が便利な物は買っておきたい。
あぁ……ドライヤーとかは一人暮らしになった時に買い足さないといけなくなるか。今は良いけど、後々考えないと。
「じゃあ、近い大型家電量販店は……“東町”か」
“東町”は学園の東側に面した都会って雰囲気の町だったと思う。
「それって電車でGOーみたいな?」
学園協賛の町をグルーっと通る線があって、どの町にも行き易くなっている。
でも、加結さんは電車が嫌なのか、さっきまでとは打って変わって引き攣った笑みを浮かべた。
「隣町でも電車になると思いますけど……。七草先輩は電車嫌なんですか?」
「イヤってゆーかぁ、苦手?あたしはバスで行くから現地集合にしよー?」
「先輩がそれで良いなら」
空いた日を確認したら、明日は四人共大丈夫ということで明日に決定した。
……のだが、夜になって節くんのところに玄井先生から連絡があったらしく、話があるから少し遅れて現地で合流することになった。
詳しくは言わなかったけど、たぶんシェアハウスの件だろうな……。
私は良いのかな?
【サポートキャラだって恋したい!】




