23、美形が集まると壮観だね!
これから一つ屋根の下で一緒に暮らす6人がリビングに集まった。
ドキドキしたけど、上級生と思われるギャルっぽい女生徒以外は見知った顔が並んでいた。マジか。
彼らを連れて来た玄井先生を含めたら、まさかの攻略対象揃い踏み。ほぼハーレムルートじゃん。ひなちゃんに知られたら、ますます嫌われそうな展開になってきた。
でもね、気持ちは萎えないよ。
タイプの違う美形が集まると壮観だね!眼福だね!
なのに、特に眼福な推しコンビが私の両隣に座ってしまったから、見辛いこと見辛いこと。自然に視線を向けられる位置に座ってくれた方が嬉しかったなー。お隣に座っておいて贅沢な望みだけど。
まずは自己紹介からということで、L字の大きなソファーに座り、三年生から始める。
「三年、白金秋です。生徒会長をしていますが、これから共に暮らす者として、シェアハウスでは気安く接して頂けたらと思います」
まだ逢っていなかった、攻略対象の最後の一人。生徒会長の白金先輩だ。
気安くと言うけど、固いんだよね。カッチカチな堅物キャラだから、融通が利かないタイプ。
攻略対象の中では女顔って言われて、線が細いの。声も少し高めだね。声優さんは男性がやってはいたけど、サンプルを聞いた時は女性声優さんかと思った程。
背は幾つだったかな……180㎝は無かった筈。
女性も羨む艶やかな黒髪に、灰色の瞳。
私はもっと男臭さのある方が好きだから、一回攻略しただけであまり詳しくないんだ。
後は……千夏ちゃんとは幼馴染みで仲が良いってことぐらい?
美人さんだから、見惚れはしちゃうけど。
と見ていたら、ふいに白金先輩と目があって……何故か睨まれた?睨むまではいかなかったかもしれないけど、自己紹介をしていた時よりキツめの視線が向けられた気がした。
……気がしただけ、かな?
お次は我らが節くん。
「三年の黄王地節だよ。オレが勝手なことしちゃった所為で、みんなには迷惑掛けてごめんね?できたら……仲良くしてくれたら嬉しい。これから宜しく」
キャー!ステキ!こっち向いて笑ってー!
ファン心情で隣を見上げたら、蕩ける様な笑顔を向けられた。
鼻血出そ……。
鼻を押さえて反対側に身体を傾けたら、呆れ顔の蒼くんが支えてくれた。……ごめん。
「七草加結でーす!二年ね。こんなイケメンさん達や可愛い子ちゃんとご一緒できるなんて光栄!かゆって呼んでねー!」
七草……粥?
染めているのか金色で、少し波打った長い髪をポニーテールにしている。目は大きくて黒かな?睫毛がワサワサしてて凄い。
見た目ギャルっぽいお姉さんだ。
私以外に女はカユさんだけだから、仲良く出来たら良いな!
次は千夏ちゃんなんだけど、みんなの視線が向くのにソファーの端でそっぽを向いて何も言わない。
そんな千夏ちゃんの隣に座っていたカユさんが声を掛ける。
「ちーくんの番だよー?」
「ちーくん呼ぶな」
「後輩ちゃん達困ってんじゃーん」
順番だからね。
二年の千夏ちゃんが言ってくれないと先に進まないもんね。
「千夏」と白金先輩が呼ぶと、顔はそっぽを向いたまま、溜め息一つ吐いて「朱薪だ」とだけ名乗った。
千夏呼びはされたくないから、千夏ちゃんは名字しか名乗らないのだ。
カユさんが補足する様に「生徒会長に頼まれてメイトになったんだよー」と。
千夏ちゃんはそれが気に食わなかったのか、カユさんを睨んで「余計なこと言うな」と怒るが、「照れてんのー?ちーくんウケるー!」とケラケラと笑われていた。
二年生の二人は仲良さげ?
一年の番が回ってきて、蒼くんにお先を譲った。
「一年、蒼春樹。趣味はゲームなんで対戦相手になってもらえたら嬉しいっす。よろしく」
ん?
蒼くんの公式設定は身体を動かすスポーツ系じゃなかったっけ?趣味はサッカーとかだったと思うけど……。
記憶に無い設定につい呆けていたら、「さほちゃん」と節くんが呼ぶ。
あぁ、私の番だった。
「一年、手助小保子です。よろしくお願いします!」
元気が良いだけで、上手く自己紹介なんて出来ないよ。コミュニケーション能力乏しいからね。
心の中で空笑いしていた。
のだけど、節くんが私の肩を抱き寄せて……というか、節くんの方から身体を寄せて来て、肩を肩を抱かれる。
「オレの可愛い可愛い恋人だから、手出さないでね?」
にっこり笑顔なのに、声がちょっと……いや、かなり冷ややか。
これはあれか。牽制ってやつ?
ひゃー!こんなの初めて!
節くんにはいつもドキドキさせられるね!
と浮かれていたけど、ふと見た白金先輩が節くんの声に負けないぐらい冷ややかな目を私に向けていた。
【サポートキャラだって恋したい!】




