18、ずっとずーっとステキ!
公園で休んだ後は、近くにある商店街から外れた店も見て歩いた。
普通にコンビニもあって、商店街の店より時給が良かった。こっちの方に希望者が集まったりしそうな気もする。
そういえば、ひなちゃんが言っていたケーキの美味しい店は何処だろう?
ついさっき擦れ違ったんだけど……もう行った後かな?
擦れ違い様にめっちゃ睨まれたよ。相変わらず、蒼くんが見てないところでだったから私以外には気付かれない様にしているのかと思った……ら、男子二人には気付かれていた。
「うっわ!」とか「何あれ、怖っ!」とか気付いた瞬間声を洩らしたり、私の背中をバシバシ叩いて言ってくる。痛いな……でも、君らもそう思うよね。私も何度も思った。
知らない蒼くんは「何?」と首を傾げていたから、男子達が話してしまってバレた。
ひなちゃんの好感度下がっているよ?彼らがゲームではモブに当たるから気にしていないのかもしれないが、気を付けた方が良いよ?
敢えて、言ってはあげないけど。自分で気付いてね。
夕方になる。
男子二人とは別れて、蒼くんと二人だ。
彼にも「帰らないの?」と聞いたら、「夕飯食べて帰るから」と私に付いて来た。
何となく彼氏と胸を張って言い辛くて知り合いと濁して、その人のアルバイト先でご飯を食べると話していたからだろう。
カフェか喫茶店……どっちだったか忘れたけど、所謂カフェ飯にも興味がある様で一人で知らないところに入るより友達が行くならと体験してみようという感じがする。
店が近付き、気持ちがそわそわし出す。
もう節くんは働いているのだろうか?
学生服にエプロンだろうか?
笑顔で迎えられたら堪らない。その場で悶えて、転げ回りたくなる。しないけどね!
教えてもらった場所は、商店街から学校の方へと伸びる大きな通りを10分程歩いて、ある脇道に入って二回曲がった先。
外観は落ち着きながらオシャレな喫茶らしい喫茶だ。
ドキドキしながら扉を開けるとベルが鳴る。
こういうドアベルの音好きだなー。
中も落ち着いた和モダンな雰囲気。
丁度接客中の節くんの姿があって、ドキドキが止まらない!家のエプロンとは違うシックな黒いエプロン姿が格好良い!
チラリと視線だけ向けてくれたけど、注文を聞いている最中な様だから、すぐに視線はお客さんの方に戻った。
邪魔しちゃ悪いから、蒼くんとカウンターの方に行った。
カウンターの中に男の人が「いらっしゃい」と声を掛けてくれて、好きなところに座っても良いと言ってくれたので蒼くんと話してカウンター席にした。カウンター席ってちょっと憧れていた。なんか格好良いじゃん?
で、この人は店主だろうか?
ご高齢に見えるが、若い頃はかなりモテまくっていただろうと想像出来るぐらいの男前だ。後四じゅ……いや、三十、歳を食っていたら惚れていたかもしれない。
なんて考えたりしたけど、近くに節くんがいるからね。そっちに目が行っちゃう。
メニューを見せてもらいながらだったから、蒼くんに気付かれて「知り合いってあの人?」と。ハハ……テーブル席ならもっと自然に見れたかも。
頷いたら、「やっぱり」と言う。
やっぱりってなんだ?
まぁ、こっちのご高齢の店主さんより知り合いだと思えるだろうけど。
後、よく聞き取れないけど、ぶつぶつ何か一人言を言っていた。そんな印象はないからちょっと驚き。こういうところが現実との違いなのかな?ゲームでの攻略対象は世間知らずではあっても、ずっとキラキラしていたもん。
今の方が人間味を強く感じるから好きかもしれない。節くんも……見る度に違う表情を見せてくれるしね。一定パターンしかないゲームより、ずっとずーっとステキ!
この世界のことも、みんなのことも、もっと好きになる。
【サポートキャラだって恋したい!】




