17、スミマセン!
商店街前で集合して、店を覗きながら、お昼を食べられそうなところを探した。
安くて美味しいところがあったら良いなー、と思っていたら、丁度良い感じの定食屋さんが脇の小路に入ったところにあった。
からあげ、しょうが焼き、ハンバーグ、とんかつの定食といった定番中の定番もメニューに並んでいるし……焼き魚も捨てがたい。
悩んだ結果、コロッケにした。
男子達はガッツリお肉系を選んでいたね。
良い匂いだぁ……。
味も美味しい!私の好きなジャガイモがゴロゴロしているタイプのコロッケで好きー。
ご飯を食べながら、ご飯の話をした。
私が捕まえた二人は料理が出来ないからという理由で寮に入ったと言う。寮は部屋にキッチンがない代わりに安価で寮に併設された食堂が利用出来て、前日までに頼めば翌日以降のお弁当も用意してくれるらしい。ただ、毎日だから食費は家賃以上に掛かりそう。
なら、こうして外食するのは今後減っていくかな。
ファーストフードが好きなのにあまり食べに行けそうにないことを嘆き、蒼くんはそんな二人を見てファーストフードの方に興味を持っていた。
気さくで話し易いから忘れがちだけど、お金持ちのボンボンだった。お抱えのシェフがいる訳ではなくても、実家には家政婦さんがいて毎食しっかり作ってくれるらしい。外食しても馴染みのレストランとかだけでファーストフードは食べたことが無かった。
「じゃあ、また今度食べに行こうな」と言った友達に嬉しそうに頷いていた。
可愛いなー。と、のほほんと聞いていた私にもお声が掛かって、いつの間にかその時は私も一緒に行くことになった。
まぁ、良いけど。
定食屋さんを出てからは、また店を見て回った。
店先に張ってある求人を確認しては、この店には誰が似合いそうとか、反対に似合わないとか、似合わないけど働いていたら面白そうとか、話していた。
他には、飲食店だと賄い付きだから食費が浮くとか、ここの賄いは絶対美味いとか、割りと食べることに関する話題が多くなった。その気持ちは解る。働くなら飲食店が良いなと私も思うからね。食い意地だけの話じゃなく、少しでも自由に使えるお金は多い方が良いし、働くのは大変だけど旨みというものはあった方が頑張りがいがあるもん。
沢山歩いた後に商店街でたい焼きを買って、近くの公園で休憩にする。
大人しくベンチに座らない。
シーソーでギッコンバッコンさせる二人を他所に、私と蒼くんはブランコでユラユラ。
「で、手助はどうだった?」
どうだったって……何ぞ?
「働いてみたいって思う店あった?」
「うーん、どうだろ。実際働いてみないとやっぱりわからないかな?三年間ずっと同じところじゃなきゃいけない訳でもないし」
「あぁ、知り合いに聞いた話だと短期バイトにしてあちこち行ってる人もいるんだってさ。季節の……海の家やクリスマスとかの短期は結構時給良いらしいから、そういう時を狙って」
「へぇー」
なるほど、なかなかの猛者がいそうだね。
大体の人が休んで遊びたい時に一番忙しくなる仕事を積極的にするなんて……私は遊びたい人だったから、前世は休んでいたよ。一緒に過ごす恋人なんていなかったけどね!
代わりに幼馴染みというか、腐れ縁がいたからそいつと遊んでいた。顔が良いクセに、モテまくりなクセに、全員フッておいてモテませんとシレッとした顔で言う奴だった。
前世でも近くには結構美形がいたんだよね。
懐いてくれていた後輩くんもだし。
しかし、色気のある関係にはならなかった。私が平凡過ぎたからかな。これと言って目を惹く容姿でもなく、特別何か優れた才能も無かったからね。
小さいけど愛らしいサポ子として生まれ変わったら、すぐに恋人出来ちゃったもん。しかも、相手は美形の代表たる攻略対象。一目惚れって言っていたから、やっぱり美少女は得なんだなー。
脱線したけど、その季節のアルバイトには興味はある。確か、誰かを攻略する時のイベントにもなっていた気がするから。
ぶっちゃけ、私が攻略しに行く為じゃなく、起こるかもしれないイベントを見に行きたいだけです。スミマセン!
【サポートキャラだって恋したい!】




