13、味わわせて頂きます!
「ん~……美味しいね、さほちゃんのカレー」
ふおおおおお!
目の前で……というか、真横で推しが……推しがカレーを食べてるっ!
私が作ったカレーを笑顔で食べている!!
眼福でございます。
「あれ、さほちゃんぜんぜん食べてないね」
胸がいっぱい、お腹もいっぱいです。
「どこか悪い?……大丈夫なの?なら、しっかり食べないと。オレが食べさせてあげようか?ほら、あ~ん」
ひえええええ!
推しの押しが強いいいぃぃっ!!??
遡り……という程、遡る必要はないんだけどね。
十数分前。7時になろう時間。
すでにご飯も炊けて、カレーもそろそろ頃合い。
私のお腹も良い空き具合で、頃合いになっていた。
一人分にしては多いが……というか、玉ねぎだけじゃ水分量が気になってトマトも追加したら、更に量が増えた。
まぁ、カレーなら二杯、三杯と食べられる気がするから良いかと開き直った訳です。
ご飯も余った分は冷凍しておいたら、また温めれば炊きたてと変わらないし問題ない。
ちょっと量が多いことぐらいなんてことない。
シェアメイトはまだ誰も帰っておらず、勝手に使用した食材で作った料理を先に頂くのは申し訳ないが、先に頂きます。
さぁ、皿によそおう!
と思ったところで、玄関の方が音がした。
いつかは誰か帰って来るのは解ってはいても、ドキリとするよね。節くんかもしれないし、そうじゃなかったら知らない人達だし。
つい、誰が来るか身構える様にそちらを凝視してしまう。
顔を見せたのは、節くんだった!
私に気付いてニコリと笑って「ただいま」と言ってくれて、私も「おかえり……なさい」とドキドキしながら返しました。
ただいま、おかえり、を言い合って……まるで一緒に暮らしているみたい。
いや、一緒に暮らして…………暮らす、のか?
「カレーの匂い。これからご飯?」
「は、はい!」
元気良く返事をし過ぎて、クスクス笑われた。
笑いながら近付いて来た節くんは鍋を覗き込み……。
「一人分にしては……多いよね?オレも貰って良いかな?」
え、節くんが食べてくれる!?
あああああっ!こんなんだったら、もっと手の込んだものを作れば良かった!!
返事をせずにいたから、小首を傾げて「ダメ?」ともう一度聞いてくる節くん可愛い!
反射的に「喜んで!」と言っていた私は馬鹿だ。何が、喜んで!だよ私。
「じゃあ、オレ着替えてくるね」
と、節くんは自分の部屋?に向かって行った。
なんと、私の部屋の隣の部屋だった。
ええー……生活音とか聞こえるよね?毎日がドキドキじゃない?
音が聞こえなくても隣の部屋に節くんがいると意識したらドキドキが止まんないよ?
私の心臓持つかな??
少しの間、部屋の方を見ていたけれど、ハッとする。節くんが戻ってくる前にご飯を用意してしまわねば!と。
皿にご飯をよそって、カレーを注いで、二人分用意。
テーブルに運ぼうとしたら、後ろから伸びて来た手にひょいっと拐われた。
「オレが運ぶよ」と笑顔の節くんの、私服姿も良い……。
うっかり、ぽけぇ~と見惚れている内に持って行かれてしまったから、周章て出して置いたスプーンを持って追い掛けました。
脚が長いから速いね!
テーブルに置かれたタイミングで「ありがとうございます!」と言いました。お礼は大事!
置かれた席に躊躇いなくスプーンも置かせて頂きましたが、その席で良かったんでしょうかね!?
向かい合って座るのかなぁ?と想像してによによしていたんだよ。
でも、真横だった!
朝と同じで真横に座るのですよ!
横だからって、終始前だけ向いていなきゃいけない訳ではないの。
声を掛けてくれるから、自然に節くんの方を向けるし、私の作ったカレーを美味しそう食べてくれている眩しい御尊顔を間近で見れる。
なんて幸せ!
見惚れてしまっても仕方がないよね!
で、冒頭に戻る訳です。
「あ~ん」をされて口を開けるべき??
攻略対象の何人かが恋人になった上、好感度MAXのデート時に見せてくれる超レアなことだよ!
節くんもやってくれる系なの!?
しかも、他の攻略対象は向かいの席に座ってだから距離があるけど、節くんはお隣!
距離が近い!!!
今、前世も含めて人生全ての運を使ってしまっているんじゃなかろうか。
ええい!余計なことを考えるのはヤメだ!!
この瞬間の幸せを目一杯味わわせて頂きます!
【サポートキャラだって恋したい!】




