詩は
詩は
彫り出すものだったり
捻り出すものだったり
叩きつけるものだったり
導き出すものだったり
滲み出すものだったり
このどれでもないものだったり
好きにすればいいけど
私は
彫刻刀で掘れる空気の中に
女神像を見つけて
それを彫り出そうとしてみたら
悪魔だった時の喜び
好きだし
なかなか出て来るものがなくて
でも詩は確かに私の中にあって
捻り出そう
捻り出そうと頑張ったら
出て来たものは
わかるよね?
そんな快便だった時のスッキリした喜び
好きだし
怒りのままに
ガラス瓶を床に叩きつけたら
床の材質が床とは思えないほどの
柔らかい人の頭
だった時の
罪悪感にも似た爽快感
好きだし
必ずしも
噴火口に2人で歩いて行って
飛び込もうとして
へんな音が底からしてるのに気づいて
周りをぐるぐる回って
ためらってためらって
マグマを聞いてたらどうでもよくなって
死にませんでしたっていう優しさなんかじゃなくても
いいし
結局詩は
人の中になんかなくて
電話帳のように
今では寂れた電話ボックスの中に置いてある
閉じ込められながら開いている
そんなもののようで
なくて
いつかなくなって
でも
いつか
戻ってくる
そんな
人とは関係のない場所から
人に読まれないと存在できない
もので
ものじゃないような
もので
私はそうして
ようやく詩を思い出す
あの時
詩は
私に言ったのだった
好きにすればいいだろ
なんでも書けよと