天空
どこかに消えた心
失って
飛空艇にのる
明け方の風
頬から後ろへ
たなびく風
草原に浮かぶ
何も言わない雲
何かを隠しているように
青い空
どこまでもつづく
知らない旅
鳥たちは光へ
真っ直ぐに飛ぶ
指し示された
失われない方角
消えてしまった過去
いつだってただひたすら
天使のような白い服きて
幻みたい
向こう側まで透けてみえる
聴こえる声
耳もとに少しだけ揺れる
星ふる鈴の音
みえない翼
この背中から生まれる
吹きおろす風
のって
飛空艇より
空高く
追い越して
アルプスの羊たち
野生のイルカたち
手をふる
青空の彼方
乱気流が昇る
積乱雲
視界に吹き荒ぶ風
風巻く暗黒
雷鳴轟く一瞬の閃光
その中に
いた
誰か飛んでる
追いかけた
消えていく
雲間
風の向こう側
決して開かれること無かった
風の道
あなたの後ろ
急速に開かれる視界
失われた記憶
心がつぶやく
刻まれた言葉
地球儀のパズル
ルービックキューブ
今も動き続ける
無人
誰かを待つように
眠りから醒めた宝石
失われない命の系譜
さらさらと流れゆく水
大樹の中で
君と出会う
手招きしている
祠はつづく
地底の洞窟
いつかの孤独
目の前に揺らいでは
消えてゆく
姿
影
君をまとって
どこかへ彷徨う
光
点々と
たどりつく
終焉の間
見えないほど高い天井
暗黒の先
右にも左にも
揺れる天地
骸がならぶ
幾世代にもわたる言葉
身体に刻んで
迸り目醒める過去からの光
瞬きの夜空
迎えられ閃く雷光
闇砕く静寂
光の言葉
あなたの口もとが動く
ひと文字の言霊
暗闇光る青空の雫
あなたの胸の奥から
わたしの心臓の奥へ
ゆっくりと鼓動する
めぐりゆく世界
目を閉じれば
宙に浮く身体
どこまでもつつまれる
光
わたしの身体
暗闇照らして
あなたが入って来る
頬伝う涙
暗黒がひび割れる
光の筋
雲間の向こう側
一瞬にして晴れわたる
空も海も
水平線の彼方へ
青色に溶ける
地上の遥か上空
飛んでいる
見えない翼
背中から広げて
風にのる
白い服きて
天使みたい
あなたの微笑み
ゆれる
草原
草花の大地
遥かなる上空
つづく
時の彼方
青空の彼方
どこまでも見上げる
わたしの胸と手と間の光
指先から
どこまでも指し示す
失われない光
この地上から
夜の闇
風きって
突き進む
あなたの手をとる