表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
番外編だよ! オールラウンダーズ!!【コミック3巻発売】  作者: サエトミユウ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/12

コミック二巻発売記念SSその1〈ソードと二人で旅をしているときの一コマ〉

「オールラウンダーズ!!」のコミカライズ2巻が4/26に発売されましたー!

 この巻のお話、書籍だと起承転結の承が一番の山場!みたいになってしまっていますがコミックはいい感じにまとまっていますね。

 おまけマンガもついてますのでぜひともご購入の検討をお願いいたします!

 長いトンネルのような洞窟を抜けたら、目の前に大猿が立っていた。

 …………。


 当初の予定より早かったにしろ、ようやくあの屋敷をオサラバし、ソードと一緒に旅立った私。

 領地を抜けソードおすすめの町に行く道中、ずーっと山を登ったり下りたりしていたのですが、ワタクシ、いまだに魔物と出くわしたことがないのですよ。

 冒険者となるからには、やっぱり魔物退治してみたい! その前に魔物を見てみたい! と思って、ソードに魔物がいそうな場所に行ってみようと提案したけど、ソードは即却下。

 ぶーぶー言いながらてくてく歩いていたら、とっても怪しげな洞窟を発見!

 ソードの制止を聞き流し、喜び勇んで突入して、今ココで大猿と見つめ合っている最中です。


 私が驚きの声を上げる前に、

「キ━━━━ッ!」

 という凄まじい悲鳴を大猿があげたんだけど。

「……オイ!?」

 追いついたソードが慌てて私に駆け寄る前に、大猿が跳んで逃げた。


 私は絶句して、その後ろ姿を眺めながら考える。

 …………なんか、ひどいことされたような気分。

 なぜに私の姿を見て驚くのよ!? まぁ、百歩譲って出会い頭にお互い驚くのはしかたないけどさぁ、あんなにデッカい猿がよ? 凶悪な魔物に出くわして、恐怖で必死に逃げ出しました、みたいな風情を出すのはどうかと思うの! 臆病すぎるだろ!

 しばし呆然と立ち尽くしたあと、ソードに言った。

「ソード! 追うぞ!」

 ソードも呆然と大猿を見送っていたけど、私の発言に驚いて我に返った。

「なんでだよ!?」

「やつの態度が気に入らん!」

 私のセリフを聞いたソードが、呆気にとられ口を開けた。

「いかにも凶悪そうなボス猿のくせに、か弱く麗しい私の姿を見て悲鳴を上げて逃げ出すとは失礼すぎる! お仕置き案件だ!」

 ソードがガックリ、と肩の力を抜いてうなだれた。

「……確かに、パッと見、驚いた様子は妖精みたいなんだけどな。初見で、おとなしくしていればな」

 ソードがなんかブツブツ言ってるぞ。

「言いたいことはハッキリ言った方がいいぞ?」

「たぶんここは、今逃げたキングバブーンの巣なんだろ。普通の人間は、あからさまに怪しげな洞窟を通り抜けようなんざ思わねーんだよ。だから抜けてきたお前を見て驚いたんだろ」

 ソードがハッキリ解説してくれた。

 なるほど、人の姿を見たことがないからあんな反応をしたのか。納得できるような、できないような。

「だが追いかける」

 ソードが盛大なため息をついた。


 キングバブーンの巣は、きれいな場所だった。

 今まで通ってきた、藪と蔓で覆われた木がみっしりと生えているうっそうとした森ではなく、木漏れ陽が差し、適度に木が並ぶ、別世界の避暑地にある林道のような趣の、普通に散歩したらきれいかなーと思える森だ。その魔物がお手入れしてるのかな?


 ――その森を、おっきい猿が必死で逃げ回ってます。

 ――その森を、可憐な美幼女が飛び回って追っかけてます。

 ――その後ろを、疲れたおっさんがだるそうに追っかけてます。


「……インドラ! いい加減止まれ! 巣だっつってるだろうが! コイツらは、群れる習性があるんだよ! お前が追っかけてるキングバブーンの危機を感じて、仲間が集まってきた! いくら俺でもな、連中全員の相手は不利なんだよ! 集まりきらないうちに逃げるぞ!」

「いーやーだー!」

 危険がいっぱいなのが冒険だ!

 私は猿を捕まえようと追いかけ続け、ソードは私を捕まえようと追いかけ続け、鬼ごっこは延々続くかと思われた。

 だが、とうとう猿がとある木の下で止まった。

 大猿が、おびえた顔ですくみながらこっちを見ている。なんでだよ!?

「こんな可憐な美幼女を、お前はなんて顔で見るのだ!」

 お仕置きしてやる!

 ……と思ったら、猿が両手を震わせながら何かを差し出してきた。

 首をかしげてそれを見ると、なんか、果物っぽい、何か。

「ふむん?」

「……それは……!」

 ソードが声を上げたので、私はソードを振り返って尋ねた。

「ソードはそれが何か知ってるのか?」

「〝バブーンフルーツ〟って呼ばれる、コイツらが好んで食べる果物だ。ちなみに、連中が近くにいるときにその木の実をもぐと、連中が怒り狂って襲ってくる、って話だな」

 と、解説してくれた後に、ソードが私を嫌な目で見たぞ。

「……その、襲ってでも守りたいフルーツを、お前に差し出してるんだけどよ?」

 …………。

「まぁ、くれるならもらってやろう」

 受け取った。

 途端に、周りにいたらしい猿たちがキーキーと鳴く。

「うるさい」

 一喝したら途端に静まった。

「うーわ、キングバブーンの頂点に立ったぜコイツ」

 ソードがなんか言いだしたけど、言いがかりにもほどがある。

 私、何もしてないじゃん!

「違うな。きっと、私が可憐な美幼女だから、プロポーズのつもりなのだろう。だが断る」

「……お前って、ホンット、前向きだよね。あ、違うな。自惚れすぎ、っつーのか」

 ソードがヒドイこと言うんだけど。


 バブーンフルーツは、さすが猿が襲ってでも守るだけあって美味しかった。

 そして、今後この山で出遭うキングバブーンからはバブーンフルーツをもらえるようになった。

 なんでぇ?

(終わり)


 いかがでしたでしょうか。

 時期的には、おまけマンガのその前……涎を垂らしながら大の字で寝ているインドラを膝枕しつつ苦悶しながら座って寝ているソードの扉絵のあたりになります。


 次回は、サンガの嫁さんの話を書こうとしたらなぜかソードとサンガの出逢いの話になっちゃったのでついでにコミック2巻発売記念SSにしてやれ、って話を更新します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

本編はこちら「オールラウンダーズ!! 転生したら幼女でした。家に居づらいのでおっさんと冒険に出ます(web版)

書籍化しました!2巻発売中!
2021年9月10日 カドカワBOOKSより発売

オールラウンダーズ!! 2 転生したら幼女でした。家に居づらいのでおっさんと冒険に出ます


著者: サエトミユウ / イラスト:又市マタロー


+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ