表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初めてのVRMMO ~三十歳から始めるオンラインゲーム~  作者: こばやん2号
第一章 とりあえず、やってみた
5/26

5話「小石売却と公式掲示板」

よければ、ブックマーク&評価をお願いします。



「ふぅー、結構集まったな」



 あれからひたすら道端に落ちている小石を集める作業に集中すること四十分ほど、手持ちの小石の総数は二百五十を超えた。どうやら小石以外にも【綺麗な小石】というアイテムもたまに見つかり、俺は無我夢中で小石を拾いまくった。



 集めた小石は、収納領域ストレージと呼ばれる場所に入れることができるらしく、今の俺は手ぶらで街を歩いている。全部で五百ほどのスペースがあって、一つのスペースに収納することができる量は九十九個のようだ。



 それから目についた小石を小まめに集めながら、俺はある場所へと向かった。街の中にいる住人にアイテムを換金してくれる場所はないかと尋ねたところ、アイテムの換金を行ってくれるのは【冒険者ギルド】・【素材屋】・【商会や個人経営の露店】といったところらしい。その他にもプレイヤー個人とも取引ができる機能があるようで、珍しいアイテムを手に入れたら交渉してみるのもいいかもしれない。



「いらっしゃい、素材屋へようこそ」



 一先ず、集めに集めたアイテムを換金してもらうため素材屋へとやって来た。買い取ってもらいたいものがあると店員に伝えると、「では出してもらえますか?」と言ってきたので、それほど大したものはないことを伝えながら小石を収納領域から取り出していく。



「お客さん、小石ばっかりだね。まぁうちは素材屋だから、ほとんどのアイテムは買い取れるし問題ないんだけどね」



 そう言うと、手慣れた手つきで小石を手に取って見ていく店主。こちらとしては、持っていても何の意味もないガラクタ同然の物を買い取ってくれるというのだから大人しく見守る。五分ほどして査定が終わったようで、店主が結果を伝えてきた。



「ええと、小石が二百十一個に綺麗な小石が四十三個で合計二百五十四個だったよ。小石一つで1ゴル、綺麗な小石一つで3ゴルになるから合計で340ゴルになるけどどうする?」


「それでお願いします」



 店主が結果を伝えると同時にウインドウが出現し、「以下のアイテムを売りますか?」という売るアイテムの一覧と売却額が表示され“はい”と“いいえ”の選択肢に俺は“はい”をタップする。元々持っていた所持金は1000ゴルだったので、これで所持金の合計額は1340ゴルとなった。



「ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」



 店主にお礼を言ってから素材屋を後にした。ちなみに今回人が多すぎて断念した【スフェリカルラビット討伐】と【ハイルング草納品】のクエストを攻略すると報酬金が支払われるのだが、スフェリカルラビットのクエストが500ゴルで、ハイルング草のクエストが450ゴルだった。街を歩いている時に他のプレイヤーの話し声に耳を傾けると、どうやらあのおしくらまんじゅう状態はしばらく続くだろうとのことなので、クエストを攻略する以外でお金を稼げる方法は何気に有難かったりする。



「とりあえず、最初はこれくらいにしてログアウトするか」



 気付けばゲームを始めて二時間ほどが経過していた。一区切りついたと判断し、ログアウトするために近くの宿屋に入り、店員に話し掛ける。宿はログアウトをする他にも部屋を利用することで、HPとMPを回復させることができる。料金はログアウトだけであればタダで利用できるらしいが、部屋の利用は20ゴルほど掛かってしまうと店員の口から聞かされた。



「とりあえず、今回はログアウトだけお願いします」


「わかりました。それでは、お疲れさまでした。またのログインお待ちしております」



 そんなやり取りを店員とした後、ウインドウに“ログアウトしますか?”の選択肢が出たので“はい”を選択しログアウトする。その瞬間最初にログインした時と同じ意識が遠のいていく感覚に襲われた。



「う、うーん」



 気が付くと、そこは見慣れた自分の部屋だった。一瞬自分の置かれた状況が分からず若干焦ったが、すぐにゲームの世界から現実へと戻ってきたことを理解し安堵する。



「これが仮想現実、VRMMOってやつか……」



 想像していたものよりも遥かに現実味のある世界に、思わずそんな言葉が漏れてしまう。とりあえず、一度体験してみた方がいいと半ば勢いとノリで始めてはみたが、正直な感想としては“凄い”の一言に尽きる。五感の全てがゲームの世界だとは思わないほどリアルに感じ、現実の世界とほとんど同じといっても過言ではない。



 しばらく、VRMMOの余韻に浸っていた俺だったが、いつまでもボーっとしているのはどうかと思い、溜まっていた一週間分の洗濯物を洗濯機へとぶち込んで風呂に入る。今の季節は夏真っ盛りの暑い時期のため、専ら風呂はシャワーだけで済ませている。二十分ほどで風呂から上がり、体を拭き服を着たタイミングで洗濯物が洗い終わったので、部屋の中に干して乾かす。そうこうしているうちに時刻は夜の十一時になっていた。明日は土曜日のため仕事は休みだが、初めてのVRMMOということもあり、精神的に疲れていたようですぐに眠気が襲ってきた。



「ふぁー、今日はもう寝て明日に備えるかな」



 そう言うが早いか、部屋の明かりを消しベッドへと潜り込んだ俺は、机に置いたヘッドギアに視線を向ける。



「これから、楽しみだな」



 まだ見ぬ未知が待っていると思うと、年甲斐もなくわくわくしてしまう。遠足前の小学生みたいな自分に苦笑いを浮かべながら、ベッドに身を預けるとそのまま意識を手放した。







 【雑談掲示板 No1】



 1:【名無しのプレイヤー】


 てことで、立ててみたんだが……。



 2:【名無しのプレイヤー】


 おつおつ、いよいよ始まったね。



 3:【名無しのプレイヤー】


 バーチャルリアリティを使ったゲームって、今までは視覚や聴覚だけだったけど、今回のは五感全てを網羅してるからね。



 4:【名無しのプレイヤー】


 ところで、お前ら職業何にした?



 5:【名無しのプレイヤー】


 戦士!



 6:【名無しのプレイヤー】


 俺も!



 7:【名無しのプレイヤー】


 あたしはシーフだね。



 8:【名無しのプレイヤー】


 僕は魔法使いです。



 9:【名無しのプレイヤー】


 割合的には戦士と武術家が半分くらい居て、魔法使い・僧侶が三割で、残りの職業が二割を占めてるって感じかなー。



 10:【名無しのプレイヤー】


 くそう、スフェリカルラビットが雑魚過ぎて死に戻れないぜ……



 11:【名無しのプレイヤー】


 職業以前にプレイヤーが多すぎてスフェリカルラビットが狩れないんだが……(´・ω・`)



 12:【名無しのプレイヤー】


 あれはカオスな状況だったなww

 でも、初期のオンラインゲームの最初の狩場って大体あんな感じになっちゃうよな。



 13:【名無しのプレイヤー】


 あれは……まあしょうがないよね(笑)



 14:【名無しのプレイヤー】


 だな、オンラインゲームの風物詩みたいなもんだ。




――――――――――――――――――――――――



 470:【名無しのプレイヤー】


 職業の話はこれくらいにして、そろそろ他のことも話さないか?



 471:【名無しのプレイヤー】


 例えば、どんなこと?



 472:【名無しのプレイヤー】


 NPCのこととか?



 473:【名無しのプレイヤー】


 仮想現実だけあって、美男美女が多いとか? 



 474:【名無しのプレイヤー】


 確かにそれはあるけど、職業の次の話題がそれかよww



 475:【名無しのプレイヤー】


 おっぱいが現実世界より揺れて素晴らしいです!!



 476:【名無しのプレイヤー】


 こら! それはいろいろと問題のある発言だぞ(笑)

 まあ、それは否定はしないが……。



 477:【名無しのプレイヤー】


 ったくこれだから男ってやつは……。



 478:【名無しのプレイヤー】


 でも実際NPCの女性もそうだけど、プレイヤーもかなり揺れてたぞ?


 

 479:【名無しのプレイヤー】


 開発スタッフにおっぱい星人でもいるんじゃないか?



 480:【名無しのプレイヤー】


 スタッフ「この揺れるギミックだけは譲れません! 絶対に!!」とかか?



 481:【名無しのプレイヤー】


 現代の最先端技術の無駄遣いww



 482:【名無しのプレイヤー】


 おっぱいの揺れがすごいのはこれくらいにして次の話題に移らないか?




――――――――――――――――――――――――




 893:【名無しのプレイヤー】


 堅気だけど、893ゲットだぜ!



 894:【名無しのプレイヤー】


 だからどうしたよ?



 895:【名無しのプレイヤー】


 ホントどうでもいいことだよな、それ?



 896:【名無しのプレイヤー】


 まあまあ、そういじめてやるなよ。

 なんてたって競争率五百倍以上と言われた中に選ばれたんだから、そりゃ多少はテンション上がんだろ?


 

 897:【名無しのプレイヤー】


 改めて言われると、そうかもな。



 898:【名無しのプレイヤー】


 それにしても、金銭の報酬はないけどゲーム機本体が報酬とか運営も気前がいいよな?



 899:【名無しのプレイヤー】


 噂じゃ、開発費だけでも日本の国家予算の何分の一かに届くって話だぜ。



 900:【名無しのプレイヤー】


 マジかよw

 たかがゲームに国家予算並みの資金を投入するとかww



 901:【名無しのプレイヤー】


 それだけ夢とロマンがあったって話だろ。

 考えてもみろ、宇宙旅行ですら夢のまた夢って言われてた時代があったんだぜ?

 それと比べたら仮想現実なんて可愛いもんだろ。



 902:【名無しのプレイヤー】


 今じゃ、“大型連休を利用して宇宙旅行してみませんか?”なんて広告をよく見かけるしなw



 903:【名無しのプレイヤー】


 よく爺ちゃん婆ちゃんが言ってたセリフを思い出したわ。“凄い時代になったもんだ”ってな。



 904:【名無しのプレイヤー】


 これからは、家にいながら旅行が楽しめる時代になるのかもな。



 905:【名無しのプレイヤー】


 ますます、インドア派が増えていく気しかしないww



 906:【名無しのプレイヤー】


 話が妙な方向に飛んだな、ゲームの話に戻すぞ



 907:【名無しのプレイヤー】


 早く、あの“おしくらまんじゅう”を何とかして欲しい……。





(その後も、【アーベントイアー・フライハイト・オンライン】の公式掲示板で議論(?)が続いた)

よければ、ブックマーク&評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ