序章
初めて魔法と剣の中世ヨーロッパ風ファンタジー書きました。
よろしくお願いします。
『ノルデスラムトに伝わる伝承』
昔むかし、世界に魔法が満ちていた頃のお話です。
人間と大地の精は心を通わせていました。
大地の精は人々を愛し、人々も大地の精を愛していました。
大地の精は、人々の想いに応えようと考えました。
しかし大地の精の力は大きすぎて、人の手には余ってしまいます。そこで大地の精は、自分の力を一部の人々に注ぐことを思いついたのです。
そうして魔法使いが誕生しました。
魔法使いは人々に尽くし、人々は魔法使いを慕い、お互い助け合って暮らしました。
魔法使いたちには、ふたつの魔法体系がありました。
ひとつは白の魔法。
そしてもうひとつは、黒の魔法です。
白の魔法使いは生命を司る力を振るい、人や家畜の病気を治し、よい野菜が採れるように畑を元気にしてくれました。
また、めったにありませんが、危険な獣が村人に襲いかかってきたときには、黒の魔法使いの生命を奪う魔法により、獣を倒すこともありました。
それで魔法使いは、どの町でも大切にされたのです。
しかし、月日は人の心を変えていくものです。
最初はありがたいと感じられたことも、そのうちに当たり前になり、次第に魔法使いへの要求は多くなっていきました。
「この病気が治せるなら、もっと重い病気も治して」
「死んだ人を生き返らせて」
「魔法が使えるなら、代わりに働いて」
「もっといい暮らしをさせて」
「気に入らないヤツを倒して」
人々の果てない要求を魔法使いが断ると、人々は怒って言いました。
「なんだと生意気なヤツだな」
「役立たずめ、出ていけ」
人々は手のひらを返し、魔法使いは、追われるように出ていきました。
あとに残されたのは、魔法使いに頼り切った挙げ句、なにもできなくなってしまった怠け者だけだったのです。
続いて1話の途中まで投稿します。